ウェブサービス業界では各種口コミサイトが盛況だ。レストラン(ぐるなび、食べログ、Retty)だけでなく美容院(リクルート)や学習塾(イトクロ)、観光地(Tripadviser)、学校、病院(デザインワンジャパン)など無数にある。
しかし同時にグーグルもこうした口コミを手がけているわけで、上記のサイトがどれくらい生き延びられるのか疑問だ。
グーグル口コミは、詳細な検索をできるわけではないので、特定の業種の検索に特化したサイトがすぐに価値をなくすわけではないだろうが、グーグルが同様のサービスを始めないとも限らない。グーグルから、たとえば美容院を検索するときに料金の上限や禁煙かどうかなどのオプションもつけて検索できるようになるかもしれない。そうなったら、日本企業の細々とした評価・口コミサイトの大部分は駆逐されるのではないだろうか?
日本企業の特定の業界に特化した口コミサイトがグーグル口コミに駆逐されると思う理由を書いていくと、
1.グーグル口コミは検索上位に表示されるから
現在、「地名 レストラン」などで検索すると、グーグルマップが検索上位に来る。マップの下には一部の口コミも表示される。
ネットの評価サイト・口コミサイトなのだから、当然、検索上位に来ている方が利用される。
下図は「新宿 レストラン」の検索結果の第1位だ。2位と3位が食べログで、4位がトリップアドバイザー、5位がぐるなびだった。
2.わずらわしい会員になる手続きを経なくても口コミを書けるから
一部の口コミサイトは、わざわざ会員になってからようやく口コミを書けるようになる。しかし、そういった手続きは面倒くさい。
グーグルの口コミであれば、誰もが持っているであろうグーグルアカウントさえあれば書き込めるので、書き込みの敷居が低い。なので口コミの書き込みも多数寄せられることになり、使える情報が増えていく。
3.グーグル口コミは全領域的に展開しているから
グーグル口コミは、特定の業種に特化せず、地図に載っているものなら、何でも口コミの対象にしている。
なので、複数の業種の口コミをグーグルから見ることができて便利だ。特定の地域の複数の業種のサービスを調べる際に、グーグル以外だと複数のサイトを見なければならない煩雑さが生じる。
4.低評価の口コミも掲載してもらえるから
先日、安倍総理が焼肉店に行ったところ、焼肉屋の店主がTBSに総理のクレジットカード情報を話してしまったことがあった。
参考記事:安倍総理のカード支払い情報をTBSに話した山梨県富士河口湖町の「焼肉 鉄庵」 Googleマップの口コミ欄に批難殺到で炎上状態
それをきっかけにこの焼肉屋のグーグル口コミに低評価がつきまくったが、私が思うに人が口コミを書きたくなるのは、むかついた時だ。
「なんだ、あの店のサービスは!むかついた、二度とこねぇよ!復讐してやる」という思いが動機になって口コミはなされる(と私は思う)。グーグル口コミは、★1の低評価でも簡単に掲載される(でたらめを書いて訴えられるリスクは書き手が負うのだろうが)。
一方で、日本の企業が運営しているサイトは低評価を書き込めなかったりする。私は以前、デザインワンジャパンが運営しているエキテンに某病院の口コミを書いたが、掲載されなかった。
そのときに受け取ったメールが下図だ(クリックすると大きく表示されます)。クレームを含む口コミはご遠慮いただいているとのこと。
いいところだけを指摘した口コミサイトなんて誰が見るんだ?とまず思うし、こんな制限があるなら、今後口コミを提供するのを止めようとユーザーも思うのではないだろうか?
以上の理由から、各種口コミサイトはグーグルに駆逐されていくのではないかと思う。デザインワンジャパンやイトクロなど各種企業によって、今後の成長見込みに違いはあるのだろうが、私はこれらの企業の株を買う気がしない。