投資家を惹きつける決算説明会資料と中期経営計画
決算説明会資料などを読むと、その企業がどのようなビジネスを行っているか理解しやすい。中期経営計画があれば、今後どのような売上・利益を計上する予定なのか理解できる。
投資家にとって、その企業の株式を買うか買わないかを決定する場合に考慮するのは、主に
- 企業の価値に対して株価が割安だと思えること
- 企業がどのような商売をしているか理解・納得できること
- 企業の見通しが満足できるものであること
の3点だと思われる。
中期経営計画の策定や、決算説明資料による事業内容の説明は、上記2と3を高めるので、その企業の株価が上がりやすくなる。
しかし、同時に潜在的な同業他社を含む同業他社に、自社のビジネスモデルが模倣されるリスクを高めてもいると思う。
ライバルも引き寄せる決算説明会資料と中期経営計画
中期経営計画を見て、「そんなに儲かるビジネスなら、当社でも真似しよう」と思う企業が増える。もちろん同じ業界内にいれば、優れたビジネスモデルが存在することに、決算説明会資料などがなくても気づくのかもしれないが、決算説明会資料はより多くのライバルに気づきを与えてしまう点は変わりない。
最近の決算短信や決算説明会資料を見ていると、パルマやエリアリンクが手がけている収納トランクサービスを始めている企業が増えていることに気がつく。エリアリンクの決算説明会資料は、ビジネスモデルの仕組みや将来性について詳しく語っているので、多くの投資家を惹きつけたが、同時に多くのライバルを増やした気がしてならない。
他社が模倣できないような参入障壁のあるビジネスモデルでないかぎり、積極的に自社のビジネスモデルを開陳することはその企業の将来性を減じている可能性がある。エリアリンクの中期経営計画は、どの程度ライバルの増加を織り込んでいるのかと心配になってしまう。
収納トランク以外にも、電子書籍、カラーコンタクト、水産居酒屋、出会い系アプリなど儲かる事業はライバルがどんどん増えている。
企業は儲かる業態を見つけても、積極的には開示せず、注意深く短信や有報を読んでいる投資家だけ気づくくらいささやかにビジネスモデルを説明したほうがいいのではないだろうか?
コメント
もうすでに亡くなられていますが、邱永漢氏の本では
儲かる事業(本ではエビやうなぎの養殖、ワンルームマンションなど)が儲かると
うわさを聞きつけて次から次へと参入者が出てくる様子が書かれています。
非上場の個人事業でもこうなのですから事業説明を公開する上場企業は
推して知るべしでしょうね。