2017年12月にネットでの選挙投票を可能にするかについて有識者研究会が開かれた。
インターネットから投票ができれば便利だし、投票率も上がるだろうということで多くの人はネット選挙投票解禁に賛成だろうが、私はどちらかというと反対だ。
理由は、
- オフライン投票を廃止できないので結局コストがかさむ
- 票の売買が進むことが予想され、市町村選挙では馬鹿にならない影響を及ぼす
- 違反行為が行われた場合に短期間で立証できるのか疑問
- 期日前投票があるので忙しい人にとっても十分投票しやすくなっている
だからだ。
ネット選挙投票でコストがかさむのではないか?
仮にネットでの投票が解禁されたとしても、一定のネット環境がない住民向けにオフラインの投票所は維持されることになる。そうなるとネット投票のコストが追加でかかることになり、費用がもったいないのではないか?
票の売買のハードルが下がるが摘発は難しいのではないか?
ネット選挙投票が解禁されたら、今よりもずっと票の売買が行われるようになるのではないだろうか?投票券にネット投票用のIDとパスワードが書かれて送られてくるとすると、それを第三者に譲渡すれば、第三者は本人になりすまして投票することができる。
これまでのオフライン選挙では、
- 投票する本人が投票所に行かなければならない分、手間がかかった
- 投票者が依頼された候補に本当に投票するかわからなかったので依頼する方もためらいがあった
などのコストとリスクが票の売買の歯止めになっていただろうが、ネット投票となれば、投票券を買い集めるブローカーが出てきて、候補者側も票を買うようになるだろう。もちろん候補者側も、疑われにくい様に複数の作業者が複数の場所と時間で分散してなりすまし投票を行うだろう。
下図は2017年11月の葛飾区区議選の選挙結果の一部だ。
2176票以上獲得した候補が合格している。一票差で敗れた候補もいる。これを見ると多くの候補者が当落線上にあったことがわかる。受かるかどうかぎりぎりの候補にしてみれば、票を買えるなら買いたいだろう。1票5,000円だとして、100万円で200票買うことが出来る。100万円の追加コストで当選確率を上げられるなら割に合うのではないか?
選挙違反を低コストかつ一定の期間で捜査できるのか?
上に書いたような選挙違反(票の売買)や、ハッキングによるなりすましなどがあった場合に一定の期間とコストで選挙違反の有無を捜査できるのだろうか?
期日前投票の期間は十分長い。ネット投票が解禁になっても投票率は変わらないのではないか?
現在では、期日前投票の期間が10日ほど設けられており、いくら忙しい人でも選挙に関心がある人なら投票に行けるようになっているだろう。
ネット投票が解禁になれば投票率が上がると思われているが、関心がない人は徹底して関心がないのでネット投票が解禁になっても数%しか投票率は上がらないのではないだろうか?
先のニュースでは障害者や海外居住者が投票しやすい環境を作りたいとのことだったが、一定の障害者や要介護者は郵便による投票ができるようになっている。
海外居住者が投票しにくいなら、海外居住者のみ、ネット投票解禁でいいのではないか?海外居住者は人数が限られるので、不正があったとしても被害は限定的だ。わざわざ全国民に対してもネット投票可能にする必要はないように思われる。