地政経済学のポテンシャルはまだわかっていない(2018年3月第4週の成績)

成績

月次 -6.0%(3/23まで)
年次 0.6%

所感

今月もマイナスです。むしろこの程度のマイナスで済んでいたのかという印象。

ポートフォリオから外需系を減らして内需中心に変更しています。

上方修正が出るかな?と思って持っていた銘柄の上方修正が出ないのは為替が不安定だからでしょうか?これだけ為替が動くと業績修正予想を出しても月末までの為替の変動で予想と実績がぶれてしまうのかもしれません。

地政経済学は今後注目されていくはず

最近の株価の下落はもっぱら米中の関税の上げ合いにあると思います。中国に対して関税アップなどで経済的に制裁を加え、国力を弱めていくべきだというのは、「米中もし戦わば」でナヴァロがかねてから主張していたことでありました。

参考:ピーター・ナヴァロ「米中もし戦わば」は米国でどのように受け止められているか?

米国と中国の関税の上げ合いを私たちは現在「貿易戦争」などと呼んでいるわけですが、これは地政経済学として将来捉え直されていくと思います。

地政経済学とは、読んで字のごとく地政学と経済学を結びつけたものです。日本語では中野剛志「富国と強兵 地政経済学序説」という本があるくらいで学問として完成している分野ではないでしょう。

これまでの経済学では、基本的に、特別に敵対しているわけではない合理的なプレイヤー同士の振る舞いが、最も効果的になるにはどうあればいいのかを問題にしていたのですが、実際の状況に合わせて考えるとこの前提は変で、現実世界では国家同士が冷戦状態にあることもあります。

敵対する国家が自国の通信産業に入ってくるのを許してもいいのか?敵対する国家に輸出していい製品はどういうものなのか?経済的な手段で敵国に最もダメージを与えられるのはどういう制裁なのか?

戦争の前段階としての経済政策、攻撃手段の一つとしての経済政策、自国の安全保障を脅かさない経済政策など、安全保障も考慮した正しい経済政策について、私たちにはまだ正解がわかっていないのではないでしょうか?

中国が他国への投資をちらつかせつつ港湾の利用権を取得していたりしますが、他国を侵略する手段としての経済政策はどうあるのが有効で、対抗策としてはどうするべきなのかなどについても教科書には書かれていません。

参考記事:宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<スリランカ、南の要衝ハンバントタ港をついに中国へ明け渡すはめに

株価の下落を目の前にして、トランプ大統領の政策についてむかついている投資家もいると思います。これまでの教科書の知識を元にして貿易戦争なんて誰にも利益が出ないのにと非難している方もいるかと思います。

しかし、戦争の前段階としての経済戦争やブロック経済についてはまだ未知の部分もあるのではないかと私は思います。日本が推し進めているTPPだって中国を閉め出す地政経済学的な面があるわけです。

武力行使に比べれば経済戦争の方がましなはずで、アメリカが仕掛けている経済戦争についてジャッジを下すのはまだ早いと思います。