「ユダヤ人と歴史」について誰か交通整理する人が必要だ

現代日本人の意識を再びユダヤ人に向けようと最も努力している言論人は、元外交官の馬渕睦夫氏だと思う。といっても、氏の著作を読んでも、氏が出演している動画を見ても、「ユダヤ人が~」とは言わず、「グローバリストが~」「ロシア革命の担い手が~」という風に間接的な表現をしている。

現代の言論環境にあってはそうするほうが賢明であるし、馬渕氏の言うグローバリストにはユダヤ民族以外の人も含まれているだろうから、そういう表現のほうが正確なのかもしれない。

それはともかく、最近は、戦前の日本人が書いたユダヤ人に関する研究書がkindleで復刊されているし、歴史修正主義が対中、対朝鮮についての史観をきちんとした証拠に基づいて覆していることもあるので、ユダヤ人が歴史の中で果たした役割についても、明らかにする時機だと思う。

しかし、ユダヤ人批判が戦後タブー化されたせいか、ユダヤ人にまつわる言説は、どれが陰謀論でどれが史実なのかわからなくなっている。

先日、四王天延孝氏(1879年生まれの陸軍軍人だった人。ペンネームではない)が書いた本(「猶太の思想及び運動」)を読んでいたら、第一次世界大戦の発端になったオーストリア皇太子の暗殺を実行したのはフリーメーソンの下っぱのユダヤ人だったと書いてある。なぜそうわかったかというと裁判でそういう証言があったからだと書いてある。

こういう記載については、事実なのか事実でないのか調べれば白黒つくので、誰かがきちんと調べてユダヤ人と歴史の関わりについて史実を明らかにすべきだと思う(もちろんヘイトにならないように気をつけてである)。

この四王天延孝氏の著作の復刻の前書きを板垣英憲氏が書いているが、失礼だけれど、板垣英憲氏が前書きを書くようでは読者の広がりを欠くわけで、もっと保守言論人の主流の人が係わるべき仕事だと思う。

百田尚樹氏が日本併合下の朝鮮について交通整理したように(「今こそ、韓国に謝ろう」)、誰かがユダヤ人について交通整理しないと日本人の知識が広まっていかない。

また、ユダヤ人が発明に携わったもののすべてが悪いわけでは当然なく、当初、どのような思惑で成立したのかは措いておいても、フランス革命のスローガンだった「自由、平等、友愛」のような概念によって幸福になった人もいるだろうし、現代の中央銀行は基本的に公益に資しているはずで(日本銀行が現在やっている事は微妙だけれど)、「ユダヤ人が発明したもの=悪」と決めつけるのも混乱を招く。国際連盟や国際連合も人類に貢献している面があるだろう。

統合失調症的な陰謀論者と、直言しない保守言論人のせいで、ユダヤ人についての言論はふわふわしている。そして、多分、多くの人に「ユダヤ人関連=陰謀論」という先入観を持たれてしまっている。誰か交通整理をしてほしい。

↓この馬渕氏と河添恵子氏の対談動画はおもしろい。メルケルはヒトラーの冷凍精子から生まれたという説があるそうだ(この説については調べても白黒つかないだろう)。

コメント

  1. 竹槍 より:

    Wikiによると、ユダヤ人とはユダヤ教徒のことであって、人種的な民族のことではないとのこと。

  2. nextir35 より:

    >竹槍さん
    実際上は、血筋としてのユダヤ民族はかなり重視されていると思います。というのも、キリスト教徒社会に浸透するために表面上
    改宗するユダヤ人もいるからです。
    一方で、トランプの娘イヴァンカは、クシュナー(ユダヤ人)と結婚してユダヤ教徒に改宗しました。
    血筋と宗教面、両方を見ていくのが妥当かと思います。