「キーチ!」から左傾しだしたように感じて、新井英樹の漫画を読まなくなっていたが、「SCATTER」を読んでみたら、いわゆる「ユダヤ陰謀論」を完全に咀嚼した素晴らしい作品に仕上がっていて驚いた。
過去の名作、「ワールドイズマイン」「宮本から君へ」を超えるハイレベルな作品だと言える。
ユダヤ陰謀論は、「陰謀論」と付くことからわかるように不確かな要素を含むが、歴史や政治を長く仔細に見れば見るほど否定できない世界観であって、陰謀論という呼び名はふさわしくない。
それはともかく新井英樹氏のSCATTERは10年に1本出るかどうかレベルの名作だ。
以下、雰囲気を紹介する。
支配層はグランドマスターと呼ばれる。
ユダヤ人には白人の男の子を殺して血を使用する「儀式殺人」があったと言われている。この作品内の儀式では成人女性が生贄になる。
NWO(ニュー・ワールド・オーダー)、「一つの政府」などの用語はユダヤ陰謀論学習者にはおなじみの単語だ。
共産主義もある種の資本主義も国境を否定し、世界を統一しようとする。
栽培が簡単で人類の食糧危機を救うとみせかけて、食べた人間を不妊に追い込む食物が開発される。これを支配層は「希望の種子」と名づけて売り出す。
キッシンジャーっぽい人が小泉っぽい人に、ちゃんとした食べ物を食べるように助言をするシーン。
この作品では敵は人間の精子に触れると死ぬので、主人公は精子をまきちらして(SCATTER)して戦う。