以前、男系継承者には特別の愛着を自分の家系に対してですら感じると書いた。
参考記事:Y染色体共有体への異常な愛情
日本会議の会誌「日本の息吹」(平成30年9月号)に元駐日イスラエル大使エリ・コーヘン氏のインタビューが載っている。コーヘン氏は、天皇家の男系継承を支持しているが、理由はユダヤ教も同様の伝統を持っているからだそうだ。該当する部分を引用して紹介してみたい。
インタビュアー コーヘン家はユダヤ教の祭司の家系とか。
コーヘン そうです。コーヘンを名乗る家系はいくつかありますが、私の家系は、モーゼの長兄アロン・コーヘンの直系です。3500年間、男系で祭祀を守ってきました。
インタビュアー 男系継承なのですね。
コーヘン そうです。母親がユダヤ人であればその子供はユダヤ人ですが、その子がコーヘンの名を継ぐには父親がコーヘンでなければダメなのです。それが祭司の一族であるコーヘンの掟なのです。私は毎日の祈りで、モーゼは叔父、アロンは父だと感じています。
インタビュアー 天皇陛下も皇祖皇宗の天照大御神、御歴代の天皇にそのような近さをお感じになっておられるのではと拝察します。ところで、皇位継承に関して、近年、女系を導入しようという動きがあります。
コーヘン それは大きな間違いです。私には娘しかいませんが、弟には息子がいます。ですから次の祭司は弟の家系が継いでいきます。日本でもずっと男系で継承されてきたのであれば、それは絶対に守らなければなりません。伝統とはそういうものだからです。ましてや神話に由来する世界最古の王朝であれば、なおさらその伝統は決してゆるがせにしてはいけないのです。
天皇一族は日本開闢からあらせられ、一神教的における神のような存在というより、日本の八百万の神と共に時間を過ごしてきた祭司のような存在だと私は考えている。
日本の皇統とユダヤ教の祭司が共に男系継承であるというのは興味深い。コーヘン家の歴史は3500年に及ぶというのも驚きだ。
もし日本の天皇家が男系継承である点が、時代遅れだとか男女差別だとか非難されたら、ユダヤ教の祭司も男系継承であることを指摘して、反論の一助にできるのではないだろうか?
シオニズム運動の始まりと日本には関係があった
さらに同インタビューで、イスラエル建国運動(シオニズム)の草分けであるヨセフ・トランペルドールが、シオニズムに目覚めたきっかけの一部が日本にあることが紹介されていた。関連する部分を紹介してみたい。
コーヘン ヨセフ・トランペルドールは、ロシア出身のユダヤ人で、日露戦争に従軍、旅順要塞で日本軍と戦い、片腕を失い、捕虜となり、日本の大阪の浜寺捕虜収容所に送られます。ロシアで過酷な差別を受けていたのに比して、捕虜生活では日本人はユダヤ人を差別することなく、寛大な措置で信仰の自由も与えてくれました。そこで彼はユダヤ人が宗教や民族によって差別されることなく、自由に暮らすためには、主権を持った自分たちの国をつくらなければならないとの思いを強くします。そしてユダヤ人捕虜に呼びかけて、シオニスト協会を発足させるのです。こうして、捕虜生活を終えた彼はイスラエルの地に渡り、シオニズム運動の先頭に立つことになるのです。
インタビュアー トランペルドールの話は、近代において日本とイスラエルが近い関係にあったことの象徴ですね。
コーヘン トランペルドールは明治天皇に単独拝謁の栄に浴し、義手を下賜されています。捕虜に対しては異例の待遇です。これは私の想像ですが、明治天皇は、日露戦争の資金援助をしたシフなどのユダヤ人のことが念頭にあられて、ユダヤ人に対して格別のご関心をお持ちになっておられたのではと。
シオニスト運動の中心人物が日本で捕虜生活を送って、ユダヤ人国家創設への思いを強くしたという点は初めて知った。
不思議なのは、トランペルドール氏が天皇陛下に単独拝謁できたことだ。ただの捕虜がそんな扱いを受けるはずがない。コーヘン氏はシフのことが念頭にあったからではないかと発言しているが、それなら他のユダヤ人捕虜も呼ばれてもいいはずで、なぜユダヤ人捕虜の中からトランペルドール氏だけが明治天皇に呼ばれたのかがわからない。何か裏がありそうである。
コメント
あなたのブログ面白いね。天皇制度(神道)とか民族の思考に興味あったので。ユダヤ人についてもね。性愛についてとか女に対する見方は異議あるけど。
>薫さん
ありがとうございます。
女系容認ってことは他の家の男が入ってくることだからね。それこそ天皇制度の意義が揺らぐ。ユダヤ人の一神教以前の多神教文化みると日本と共通点ありますよね。私はケルト人にもそれを感じる。
長々すいません、では。