日本政府の国債発行を増資とみなすとどうなるか

2019年1月29日の産経新聞に福井義高氏が「本当に国は『借金』があるのか」という文章を寄稿している。

福井氏は、ファイナンス研究のジョン・コクラン氏の言を引いて、国債は民間企業でいうところの負債ではなく、株式に相当するという知見を紹介している。

民間企業が借金をした場合は返済ができなくなると倒産してしまうが、政府は徴税によって自力で資金を捻出できるので、資金を全て株式で調達している民間企業と同様に、政府は形式的には破産することはない。

国債が株であるのなら、株価があるはずで、この場合は物価水準の逆数がそれに相当すると福井氏は指摘する。現在の国債の実質価値は、政府の将来のプライマリーバランス黒字額の割引現在価値に等しい。なので、国の物価水準は日本の財政が将来どのようになるかという見込みに応じて変化するはずである。

増税や歳出抑制によって、将来財政健全化が実現し、プライマリーバランス黒字化が進むのであれば、国債の株価である物価水準は安定する。

現在の日本の物価は安定しているが、福井氏は、これが「市場が日本の将来の財政健全化を確信しているから」なのか、「みんな財政再建などは無理だと思っているけれども、自分は国債暴落前に売り抜けられると考えていることから生じるバブル」なのかは分からないと言う。

ともかく、日本の財政に対する信用度や健全化見込みが落ちれば、インフレになるという結論は、通常の財政学者が指摘するところと同じである。福井氏は、もしも安倍総理が増税による財政健全化ではなく、ハイパーインフレによって財政赤字を清算することを狙っているなら、大多数の庶民にとってはその方が痛みが少ない可能性があるので、「大変な策士というしかない」と指摘している。

結局、国債を国の借金と見ようが、国の株式発行と見ようが、財政赤字の継続がもたらす結果は同じなのだ。インフレか、増税と支出抑制による財政健全化である。

高橋洋一氏が主張するような話にはならない。

参考記事:高橋洋一の財政理論は間違いだらけ

参考記事:高橋洋一の議論はやっぱりおかしい

福井氏はたくさんの歴史本を書いているが、どれも面白いのでおすすめである。

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