中国人の生育環境に思いをはせる

中国の暗いところがつまったような夢を見て目が覚め、改めて中国人の生育環境の悲しさに思いが至った。

10年くらい前、初めて中国に行った頃、路上で物乞いをよく見たが、物乞いは同情を買うための小道具に子供を使っていた。それらの子供は、実子だったり知り合いの子供であることもあるのだろうが、さらわれてきた子供である事もしばしばだった。

警察は子供がさらわれたという親の訴えを聞かずに、ろくな捜査をしなかったから、さらわれた子供が発見されたのは、子供をさらわれた親のネットワークの努力によってだった。子供達は監禁され、拷問され、調教され、商売道具(奴隷労働、物乞いの道具・・)となっていた。

そもそも中国では、子供を一人しか作れない時代が長く続いた(最近では方針転換されたが・・。同情心によってではなく、国家の損得計算によって)。一人っ子政策がきちんと守られるように、既に子供を一人生んだ女性に対して、地域によっては強制的に女性が不妊手術を受けさせられたりした。

中国の環境の道徳的なひどさを示す出来事はとほうもなくたくさんある。そういった話を読みたい方には、福島香織さんの本をおすすめしたい。

心が凍るような事態に遭遇する中国の暮らしだが、中国にはほとんど心の癒やしになるような宗教施設は無い。神の摂理に触れる機会は阻害されている。

一方で冷酷な振る舞いをする中国政府が、一方で道徳を称揚したりして、宗教の役目を引き受けようとしているのである。そのような状況で人間の良心を信じられる人はまだ幸せであるが、多くの人間は、受けた教育と自身が目にした社会の有様によって、より無神論的・唯物的になっていくのではないか。

悲しい出来事やつらい出来事が、しばしば信心への契機になると聖賢は言ってきたが、中国国内にはそもそもそういった霊性・宗教性へアクセスが無いのである。

中国人の態度や信念はしばしば先進国の人間の侮蔑の対象になる。しかし、彼らが育った環境を考えると、同情してしまう。

私は外国からの移民受け入れにはどちらかというと反対だが(日本人の賃金が上がらなくなるし、法整備が追いついていないし、人口減少自体それほど悪いものだとも思わないので)、中国その他の国から来た人には、冷たい態度をとらないように気をつけようと思う。

聖母マリアも危惧した共産主義という悪

最近、聖母マリアが世界各地でその身を現して、信徒にメッセージを送っている話を書いた本を読んでいたのだが、ポルトガルのファティマで御出現された際には、聖母マリアは当時のソ連を問題視していた。「もし私の願いが聞かれれば、ロシアは改心し、世界に平和が訪れる。もしそうでなかった場合、世界中に誤った教えが広がり、戦争、教会の迫害がさらに広がる。そして多数の民族が消滅する」(1917年のメッセージ)と。

参考記事:ロシア革命と「ファティマの予言」

参考記事:法王のファティマ巡礼

今では、ソ連もロシアとなり、ソ連時代よりはまともな国になったように思うが、ソ連で実現した共産主義(の残滓)はいまだに中国に残り、悲劇を生み続けている。誤った教え(無神論、覇権主義)が広がり、戦争の火種を燻らせ続け(中国対台湾、日本、フィリピン、アメリカ、インド・・)、教会の迫害(あらゆる宗教に対する弾圧)を行っている。

聖母マリアの言によれば、「祈り」も世界の平和に貢献する。これ以上の悲劇が広がらないように祈りたい。