共産党はなぜこんなに議席を減らしたのか?

統一地方選挙で20以上の議席を獲得し、躍進した「NHKから国民を守る党」。投票率が横ばいで、同党の候補が新たに当選した場合、他の候補者がその分、割を食うことになるはずだが、それは日本共産党だったのではないだろうか?

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いくつかの「NHKから国民を守る党」の候補者がそれなりに得票を得た選挙区では、日本共産党の候補者の落選が散見された。

もちろん、日本共産党の候補者の落選は、他の要因で起きたのかもしれない。選挙区によっては、候補者を増やしすぎたせいで一人あたりの得票数が減ってしまい、共倒れになったように見えるところもある。単純に全体の投票率が下がったり、有権者数が減って、共産党の得票数が減ったのかもしれない。

また、「NHKから国民を守る党」の候補者が出馬していない選挙区で、日本共産党の候補者の当落がどうなっているか比較していないので、「NHKから国民を守る党」が日本共産党から票を奪っているとは証明できないが、下表からはそういう傾向が読み取れるように思う。

NHKから国民を守る党との関係はともかくとして、共産党の得票数の減少と、落選が目につく選挙だった。

※目視で数えているので間違いがあるかもしれません。

※船橋市は前回(2015年)もN国党からの候補者がいたので、データから外した。

※定数が変わった選挙区はデータから外した。

2015年 2015年 2015年 2019年 2019年 2019年
共産党 共産党 共産党 共産党 共産党 共産党 共産党 N国党
選挙区 総得票数 候補者数 当選者数 総得票数 候補者数 当選者数 総得票数差 得票数
苫小牧市 8,911 4 4 8,604 5 3 -307 1,478
宇都宮市 9,088 2 2 8,213 3 3 -875 2,131
高崎市 9,847 3 3 7,931 3 2 -1,916 1,850
習志野市 5,398 3 3 4,325 3 3 -1,073 1,370
市川市 13,965 5 5 12,317 6 5 -1,648 2,954
流山市 8,194 4 4 7,051 4 4 -1,143 1,509
練馬区 27,938 6 6 22,674 6 5 -5,264 4,862
渋谷区 10,616 6 6 8,004 6 4 -2,612 1,428
豊島区 13,738 6 6 11,755 6 4 -1,983 1,855
新宿区 19,908 9 8 17,753 9 6 -2,155 1,843
中央区 5,125 4 4 4,128 4 2 -997 1,100
墨田区 12,395 5 5 11,745 6 5 -650 2,161
北区 27,607 9 9 24,343 9 9 -3,264 2,360
板橋区 34,263 9 9 28,667 9 9 -5,596 4,120
世田谷区 27,888 5 5 16,391 4 3 -11,497 3,780
文京区 14,382 7 7 13,444 7 6 -938 1,669
千代田区 2,118 3 3 1,841 3 3 -277 405
荒川区 14,931 6 6 13,480 6 6 -1,451 1,467
江東区 26,385 8 7 22,076 8 3 -4,309 2,880
中野区 16,647 7 7 14,592 7 6 -2,055 1,606
大田区 37,031 9 9 30,373 9 8 -6,658 3,036
杉並区 24,514 6 6 20,050 7 6 -4,464 2,719
江戸川区 26,642 5 5 23,032 5 4 -3,610 3,316
八王子市 23,271 5 5 20,446 5 4 -2,825 3,160
狛江市 6,513 5 5 6,217 5 5 -296 691
川口市 21,913 7 6 18,660 7 5 -3,253 3,392

NHKから国民を守る党が出馬していない選挙区の共産党の状況

では、N国党が出馬していない選挙区はどうなのか、ということで少し調べてみた。

2015年 2015年 2015年 2019年 2019年 2019年
選挙区 総得票数 候補者数 当選者数 総得票数 候補者数 当選者数 得票差 減少率
帯広市 6,745 3 3 6,262 4 3 -483 7.1%
木更津市 3,223 2 2 2,444 2 1 -779 24.1%
浦安市 4,273 3 2 3,036 2 1 -1,237 29.7%
伊勢崎市 5,631 2 2 5,720 2 2 +89
調布市 11,403 4 4 8,462 4 4 -2,941 25.7%
府中市 9,855 4 4 9,053 4 3 -802 8.1%
青梅市 5,924 3 3 5,496 3 3 -428 7.2%
福生市 2,710 2 2 2,043 2 2 -667 24.6%
ふじみ野市 7,721 5 5 6,738 5 5 -983 12.7%
金沢市 12,693 4 3 9,929 4 3 -2,764 21.7%
あま市 3,088 3 2 2,877 3 2 -211 6.8%
枚方市 13,894 5 4 12,355 5 4 -1,539 11.0%
宮崎市 6,230 3 3 6,214 3 1 -16 0.25%

これを見ると、共産党票の減少はN国党のせいではなく、全国的な減少のようだ。ほとんどの地区で共産党への投票が減っている。共同通信によると、

統一地方選後半戦での41都道府県294市議選は22日午前、無投票を含め6724人の当選が決まった。自民党の当選者は698人で前回2015年(改選定数6865)の634人を上回った。共産党は615人で前回672人から減らした。

のだそうだ。

なぜ共産党は全国的に議席を減らしたのか?

なぜ共産党は全国的に議席を減らしたのだろうか。支持者が高齢層に多く、4年の間に支持者が多く亡くなったからだろうか?

それとも共産党について嫌気がさした人が全国にまんべんなくいたのだろうか?

公明党がそれほど議席を減らしていない中で、共産党が議席を減らしている理由が知りたい。