日本という国家を単位として考えると、日本の人口減少は憂うべき事態だが、世界全体の人口が爆発的に増えていることを鑑みると、日本は無理に人口を増やそうとしないほうがいいのではないだろうか?
2018年の世界人口は74億人くらいだそうだ。私が子供だった頃は50億人だったから、短期間で1.5倍になったことになる。この増加は今後も続くと予想されていて、
2030年 85億人
2050年 97億人
2100年 111億人
になるという予測がある。
2050年であれば、このブログの読者もまだほとんど生きているだろうが、その頃には今より23億人人口が増えているわけで、今の中国とアメリカを足したよりも多い人口が地球上に追加されていることになる。
世界には下記のような問題がある。
貧困、高速道路の混雑、大量移民、石油やエネルギー資源の大量消費、大気汚染、野生動植物の減少、熱帯雨林の大量伐採、過剰な政府機関、二酸化炭素の過剰排出、重税、あふれかえる裁判所および監獄、混雑する緊急治療室および高騰する医療費、高騰する社会保障費、高騰する警察経費、ゴミ廃棄場の不足、エイズの蔓延、飢餓、あらゆる局面でのプライバシーの侵害・・
デヴィッド・R・ホーキンズ氏は、これらの問題の原因はさまざまであるように見えて、実は「人口過剰」という一つの原因が背後にあることが見過ごされていると指摘している。
世界のテクノロジーは進歩するだろうが、それでも上で予測したような将来生じる新たな人口に行き渡るほどのリソースは地球には無いだろう。石油、電気、土地、自然、仕事、健康を維持できる環境。これらは確実に行き渡らないだろう。
そうなれば、国家間の、あるいは人々の間の対立はより増加し、内紛・内戦・戦争が起こる可能性は高まるし、さらなる自然環境の破壊によって天変地異が引き起こされる可能性も高まる。
なぜ人口過剰はあまり話題にならないのか?
しかし、人口過多・人口過剰はあまり話題になっているようには感じられない。なぜ話題にならないのだろうか?
以下のような理由があるように思われる。
- 人口抑制の提言は内政干渉と受け取られかねないから
- ポリティカル・コレクトネスが邪魔をするから
- 人口は地政学的には国力につながるから
- 人口増は株価増・GDP増につながるから
人口の増加率が高い国はアフリカや中東が主である。これらの国が、仮に人口を抑制するように他国から要請されれば、内政干渉だと反発するだろう。西洋社会だってこれまで人口増を経験してきたのに、なぜ我々が人口を増やしてはいけないのか、とか、宗教上の理由で避妊や中絶はしないのだから干渉しないでほしいなどと言われそうである。
また、ポリティカル・コレクトネス意識が他国へ提言をしようとする意欲を減退させるだろう。
地政学的には、強い国家を構成する要素の一つとして、人口がある。地政学的な理由から人口の維持が求められる事もあるだろう。もしも中国の人口が、アメリカと同じ3億人だったなら、そもそも中国は覇権を目指していないだろう。
資本家にとってみれば、株価やGDPは今後も上昇していくことが望ましい。人口が今後も世界で増えていけば、売上の増加につながるわけだから、資本家は人口増に反対しないだろう。
長いスパン、広い範囲で考えた場合、日本は人口減少で心配しなくてよいように思う。今、世界に必要なのは、人口増加のためのプランではなく、人口抑制のためのプランなのだから。
今、日本人が人口減少で四苦八苦している事態を苦笑いで振り返る未来がやってくるだろう。
※こちらの動画によれば、国連は世界の人口が120億人を超えることはないと予想しているそうだ。それは、今、出生率が高い貧困国もそれなりに裕福になることで、出生率がいずれは下がっていくからである。世界が120億の人口を抱えても、穏やかに持続できるといいが・・