韓国系ゲーム会社のネクソン(3659)は毎年結構な利益を出しているが、配当は出していない。
2016年までは出ていたが、2017年からは無配だ。↓ネクソンの営業成績と配当の推移。
利益は出ているのに、配当は出していないということはかなりキャッシュが潤沢になっているのかと思うだろうがそうでもない。
直近3年のキャッシュフローは下記のようになっていて(単位は百万円)、
営業活動で稼いだお金を投資活動でほぼ使っている。2016年~2018年の累計の利益は1840億円ほどだが、現金及び現金同等物の残高は500億円程度しか増えていない。そして有利子負債はもともとほとんどなかった。
では投資活動で何をそんなにお金を使っているのか?金額が大きいものをピックアップすると
「その他の預金」にお金を使っていることがわかる。その他の預金は全額が満期が3ヶ月以上の定期預金だそうだ。満期が3ヶ月以上の定期預金は、CF計算書上の「現金及び現金同等物」に含まれない。
連結財務諸表上では、その他の預金の額は(単位は百万円)
2015年末 97,105
2016年末 173,226(前年比+761億円)
2017年末 234,092(前年比+608億円)
2018年末 276,550(前年比+424億円)
と毎年積み上がっている。
連結ではない、単独の財務諸表(ネクソン日本の財務諸表)には「その他の預金」という項目はないので、「その他の預金」はネクソン日本以外のどこかにあることがわかる。
日本の金利は低いので、もっと金利が高い国に資金移動させて金利を稼いでいるのだろうか?ネクソンのCF計算書では「利息及び配当金の受取額」は下記のように推移している。
利息と配当の内訳がわからないが、全額が利息だとすると、2017年度末にはその他の預金が2340億円ほどで、2018年に75億円弱の利息を受け取ったことになるので、金利3%前後の定期預金に預け入れていると推測できる。
近年のネクソンは稼いだお金を、一切配当に回さずに、どこかの満期3ヶ月以上の定期預金に回しているのである。
なぜ、配当を出すのをやめて、こんな事をしているのだろうか?私はネクソンの株主ではないが全く共感できない。
日本に上場した!利益は出ている!しかし配当は出さない!配当を出すくらいなら金利のいい定期預金に回す!
そんな気持ちが透けて見える配当政策である。
さらにネクソン日本の財務諸表を見ると、関係会社長期貸付金とそれとほぼ同額の貸倒引当金が積み上がっていることもわかる。