現在のアメリカと中国の関係は冷戦状態である。兵器こそ使用していないものの、それ以外のすべての手段を使って相手国を弱体化させようとしている。
この状況下で奇妙に思うのは、アメリカのNY市場に中国企業がどんどん上場していることである。
2018年1-9月の間に米国に上場した中国企業は23社、資金調達額は73億ドルを超えたそうだ。(参照記事:米中貿易戦争の最中に中国企業が続々と米国市場に上場する背景)
冷戦状態にあるにもかかわらず、中国企業を米国で上場させることには不利益が多いはずだ。
外貨が減少しているとされる中国の企業に外貨での資金調達を許すことになる。米国の投資家が中国株を買うことで、米国人が、中国株が下がる政策を嫌悪するようになってしまう。創業者の売出しによる利益確定を米国人が助けることになってしまう。
利点といえば、中国経済に関するデータが米国の基準で手に入ることくらいだろうか。
証券取引所や証券会社は反対するだろうが、今後はNY証券取引所に中国企業が上場することは何らかの形で制限されていくと予想する。そうでないと思いきった戦争ができないからだ。
※追記(2019/5/23) スティーブ・バノン氏も同意見のようだ。
2017年8月にトランプ大統領によって解任されたバノン氏も、中国企業を米国資本市場から締め出すことを求めている。
「我々が次に行う事は、すべてのIPO(訳注:新規公開株 )を停止し、中国共産党に資金を提供している米国のすべての年金基金と保険会社を廃止することだ」と同氏は述べた。
「この抜本的改革を(彼らは同意する)まで、中国企業の資本市場へのアクセスを制限する大きな動きがウォール街に見られるだろう」