最近の中国関係のニュースを見ていると、「これは実際の戦争が起きてもおかしくない」と思うことがある。
しかし、実際に中国が戦争を始めてしまうと、中国には次の一手が無い。戦争では勝てない。戦争を仕掛けた後は、仕掛ける前よりもきつい罰を受けるし、その罰は中国の国力を一気に減退させる。
習近平は毛沢東に憧れているらしいが、習近平は毛沢東のようには振る舞えない。毛沢東時代の中国と今の中国はあまりに違うからだ。今の中国は経済的に豊かになり、軍事的に強くなり、国民の教育水準が上がった。それが習近平が毛沢東のようには振る舞えない、今の中国の弱点となってしまった。
毛沢東は原爆は張り子の虎で、中国の国民の半数が死んでも全然平気だと言った。それは虚勢ではなく、彼の本心だったに違いない。毛沢東は生涯に渡って、自分の支配を確立するために自分の部下や人民をいじめ抜いた。毛沢東が恐怖政治で人民を摩耗すればするほど、人民は毛沢東に反抗する気を無くし、毛をカリスマとして崇めた。
そんな経済的にも豊かでなく、クレイジーな男が支配する「ややこしい」国を獲りたい・支配したいという外国勢力も無かった。
しかし今の中国は、多々問題はあるとはいえ、国民は教育を受け、市場経済の中でどのように振る舞うべきか知っている。直接中国を併合して統治したいとは思わなくても、市場としての中国を獲りたい・支配したいと考える外国勢力は多いはずだ。
毛沢東時代とは違って、今の外国勢力には、中国共産党を排除したいという動機があるのである。
毛沢東時代の中国は、「失うものがない貧乏人の狂気」がその強気発言の裏付けだったが、今の中国の強気な態度の裏付けは「実際の経済力と軍事力」である。だから、それらが失われれば、他国は中国を今までのようには扱わなくなる。習近平は経済的・軍事的な衰退を恐れているはずである。
いったん貧乏になった後、また雌伏をして覇権を狙えるかといえば、難しいだろう。中国共産党の本当の性格や、悪質なやり口がばれてしまったからである。
また、毛沢東は人民に対してどんな放言をしても平気だったが、習近平が「自国民の半分が死んでも平気」などと言おうものなら、中国人もカチンと来るだろうし、その発言はいくらネットが統制されていても広まるだろう。
毛沢東は自分への支持が弱まったと見ると、国民同士を争わせて恐慌状態を作り上げたが(文化大革命)、習近平が漢民族に対してそれができるかといえばできないだろう。今更、貧乏な中国人に対して、金持ちを襲わせることができるはずがない。
だから国民をとことん疲弊させて、反抗の芽をそぐという手段は使えない。
毛沢東 | 習近平 | |
強気な態度の裏付け | 失うものがない強さ | 実際の軍事力・経済力 |
軍事的・経済的な凋落に対して | 怖くない、元々貧乏だから | 怖い、それが支えだから |
中国共産党の本音・中国のやり口 | 知られてない | ばれた |
国民の民度 | 低い | それなりに高い |
文革的な恐慌状態 | 作れる | 漢民族には作れない |
他国から見た中国 | ややこしい国、欲しくない | 市場としては魅力的 |
一か八か軍事的冒険に出るか、少しずつ衰退していくのを眺めているか。習近平にはあまり選択肢が無い。軍事的冒険は、その後に中国の凋落を招く。これまでのところ、中国はアメリカに突っ張り通しだが、どうするつもりなのだろうか?実戦など起こさずに静かに凋落していってほしいものだが・・。