まだ織田信長が生きていた時代の人物、ルイジ・コルナロ(1464-1566)という人の書いた本が販売されている。コルナロはヴェネツィア共和国の貴族だったが、暴飲暴食に明け暮れる毎日を過ごした結果、40代にはさまざまな成人病で死にかけていた。
医者が彼に与えたアドバイスは、食事の量をぎりぎりまで減らすというものだった。極少食を実践したところ、コルナロは健康を取り戻したので、以後そのまま少食を維持したところ、精神的にも肉体的にも健康なまま102歳まで生き、死因もおだやかな自然死だった。
コルナロは、少食が健康の秘訣であることを本に書いたが、コルナロの各文書とそれに対する現代医学の見地からの解説をつけたのが、本書「無病法」である。
中倉玄喜氏のつけている解説によって、コルナロが勧める少食がたまたま健康に効いたのではなく、理論的に健康を増進するものであることが分かる。
コルナロは年をとるにつれて食事量を減らしていったそうだが、一日の食事量は350グラムの食べ物と400ccの飲み物で、それを二度に分けて摂っていたとある。中倉氏の解説によれば、それは茶碗一杯のご飯と缶コーヒー1缶ほどの水分だそうだ。
少食が体にいい、あるいは長寿の秘訣であるということはさまざまな人が語っているが、少食どころか不食(何も食べない、飲まない)の人もいる。
例えば、弁護士の秋山佳胤氏で、氏はオーストラリアの不食家ジャスムヒーン氏のセミナーに出て、不食を試してみたところ、それが快適だったので、その後どんどん食事量が減り、遂には食べなくても平気になってしまったそうだ。水も飲まなくても平気で、マラソン大会に出て、汗をたくさんかいた後も、水を飲まなかったそうだ。
では、ジャスムヒーン氏や秋山氏は何をエネルギーに生きているのかというと、プラーナ(気)なのだそうだ。秋山氏は不食を始める前に気功をやっていたし、気功をやっていなくても、体を少食に慣らしていけば、体がプラーナから栄養を取り始めるようになるらしい。
このように不食・超少食で人が生きていけるようになれば、多大なメリットがあるだろう。
不食・少食が広まった場合のメリット
- 病気が減る。多くの病気が食べすぎから発生しており、健康寿命が伸びる可能性が高い。
- 時間を有効に使える。食後の眠気、頭がぼーっとした感じから解放され、頭脳明晰な時間が増える。さらに食事に当てていた時間を他の事に使用できる。
- 食費の節約。食費に費やしていたお金が浮く。
- 資源の節約。人が食事量を抑えて生きていけるのであれば、さまざまな資源や動物、魚類の命を取らず済む。
- 現代科学を超えたものへの認知が広まる。秋山氏が言うように、気によって人体が生命を維持できるのであれば、これまでの科学を超えた知見が広まっていくだろう。
不食・少食の注意点
不食や少食が素晴らしいものだとしても、いきなり始めて大丈夫なのかどうかはわからない。
少食を勧める本はたくさんあるが、本によっては食事量を少しずつ減らしていき、1年くらいかけて1日1食の状態に持っていくことを薦めていたりする。
だから、仮に本当に少食が健康にいいのだとしても、それなりの手順がありそうだし、個人差も大きいと思われる。肉体を激しく使う仕事やスポーツをする人とそうでない人との間では条件も変わってくるはずだ。
試してみる人は、無理のないように自分に合った方法を探るべきだ。
下の「食べない人たち」の中では、まずは少食を目指すことが推奨されている。手順としては、
- 間食や夜食をやめる
- 朝食をやめる
- 昼食をやめる
- 一日一食にする
という順序で長い期間をかけて、まずは少食(1日1食)に到達するのがよいのだそうだ。私も少食に挑戦しているが、胃腸が消化にかかずらわっていない時、確かに体調が良く感じる。おすすめの健康法だ。