政治資金収支報告書は見づらいがそれはそれで良し!?

毎年、11月下旬になると政治資金収支報告書が公表される。この政治資金収支報告書をもとに、毎年ニュースメディアはあれこれと書く。

政治資金収支報告書はネットで公表されているので、一般人でも、どの政治家や政党がどれくらいの寄付(献金)を誰からいくら受けたのかがわかる、はずだ。また政党や政治家がどのようなお金の使い方をしたのかもある程度わかるはずだ。

しかし、実際のところ個人で政治資金収支報告書を読解するのは大変である。

以下、その理由を書く。

1.政治団体が多数あって全部見るのが大変

普通、国会議員クラスの政治家は政治団体を多数持っている。政治団体、政党の支部、資金管理団体、その他の政治団体である。

さらにこれが総務省のHPに載る分と、各都道府県の選挙管理委員会に載る分があるので、一人の国会議員に関して調べるだけでも多くの資料を読み解く必要がある。

2.政治団体名や政党支部がどの政治家のものか調べるのが大変

国会議員の後援会が「政治家の名前+後援会」であればわかりやすいが、英友会、敬天会、○○フォーラムのような団体名であることもあり、どの団体が誰のものかを調べるのも大変である。

また政党の支部がどの国会議員のものかを調べるのも、大変といえば大変である。自民党であれば、政党の支部の名前は「自由民主党山口県衆議院比例区第一支部」のように表記されるが、この団体がどの政治家のものかは、実際にファイルを開いて、代表者の氏名を確認しなければならない。

3.公表の形式が都道府県ごとに異なるので、見るのが大変

政治資金収支報告書の公表は、都道府県ごとにも行われているが、この公表の形式は県によって異なっている。

どのように異なっているかといえば、

  • 手書きかワープロ文字かが違う
  • ファイルが分割されているか、ひとまとめになっているかが違う
  • 献金者の住所の公表され具合が違う

政党や政治家が提出した手書きの政治資金収支報告書をそのまま掲載している県もあれば、パソコンで入力し直しているかがまず違う。

政党や政治家ごとに政治資金収支報告書が分けて掲載されているか、それともひとまとめにされているかも違う。

例えば、宮城県は各政党、各政治家ごとに分けて掲載している。

宮城県のページ

しかし沖縄県はなんと一つのPDFファイルにまとめている。

沖縄県のページ

沖縄の政党や政治家について調べたい場合、上図の「政治資金収支報告書の要旨(本体)」というファイルをダウンロードして、目視でお目当ての政治家や政党を探さなければならないのである。これは相当根気がいる作業だ。

北海道もファイルを一つにまとめているが、こちらはPDFではなく、エクセルにまとめているのでまだ見やすい。

北海道のページ

このように、政治資金収支報告書をどのようなファイル形式で開示するかも異なっているのである。

また、そこに掲載される献金者の情報も都道府県によって異なっている。名前、住所(番地まで)、職業まで掲載されている県もあれば、住所情報は市町村レベルまでしか掲載していない県もある。

4.政治団体を使っていないお金の動きもあるのでよくわからない部分が残る

例えばNHKから国民を守る党は、ユーチューブ番組の視聴料の寄付(?)を募集しているが、その振込先は、立花孝志ひとり放送局株式会社である。当然この株式会社の収支状況は、政治資金収支報告書には載らないので、NHKから国民を守る党の収支はよくわからない。

政治資金収支報告書はわかりにくいが、それはそれで良し・・?

このように政治資金収支報告書はわかりにくかったりするが、それはそれでいいのではないかとも思う。全ての県が同じ形式で、詳細な政治資金収支報告書を公表すれば、一個人の献金者の住所まで詳細にネットに掲載されてしまう。

また、政治資金収支報告書を詳細に解析されることは左右両方の陣営から歓迎されていないと思われる。財団法人政治資金センターが、政治資金収支報告書をわかりやすくしてネットに公表しているが、資金難らしい。これは政治に関心がある、どの政党の支持者もやってほしくない作業だからではないか?政治家にお金を払ってもらう方も、払う方もやめてほしいはずである。

そういうわけで、政治資金の流れが完全に明確になり、わかりやすくなる事は望まれておらず、そうなる日は遠いと思われる。