民主主義国家に住む我々日本人からしてみれば、大半の中国人は独裁を行う中国共産党のことが嫌いで、嫌々、中国共産党に従っているのだと思ってしまう。いくらなんでも中国共産党の事を好きなわけがないと。
しかし、実際にはほとんどの中国人、特に若い中国人は中国共産党のことが積極的に好きなのではないだろうか?
たとえば、こちらの記事。
China has ‘a lot of spies’ in Ireland, activists claim (アイルランドには中国のスパイがたくさんいる、と活動家が主張)
アイリュッシュタイムズに載った記事をtarafuku10氏が翻訳しているが、記事中には、なぜアイルランド在住の中国人が中国共産党に協力的なのかの説明として、本土出身の香港デモ支持者は、
香港のデモ参加者を支持する本土出身の中国人男性は、アイルランドのより広範な中国人コミュニティも、監視ネットワークの一部であると信じている。「中国のスパイがたくさんいる」と彼は言う。頼まれたからスパイをする者もいるし、中国と中国共産党を愛しているからスパイをする者もいる、と彼は言う。「彼らは、中国と党を同じものだと見ている。しかし、党は非常に邪悪だ。それは独裁政治だ」
中国共産党を愛しているからスパイをする者もいると指摘している。
奥山真司の地政学・リアリズム「アメリカ通信」でもこの記事を取り上げていて(動画の36分あたり)、
一部、文字起こししてみると、
奥山真司 外国に住んでいる中国人も、最近来る奴らは皆、親ペキンだと。ほとんどが親ペキン派になってて、我々(反・中共派の中国人)のことを敵視してくるようになると。(略)
新しく本土から(アイルランドに)来た人たち、親ペキン派なんですけど、彼らは実は、外国に来るとペキンってすごい批判されているわけじゃないですか?ウイグル人の件とか。そういう、自分の国が批判的に海外のメディア、この場合はアイルランドのメディアを見た時に、すごくウチラ不当に批判されているよねと感じるらしいんです。
なぜかというと、本国に帰ると中国国内の放送って、めっちゃポジティブらしいんですよ。共産党が全て正しいことをやっていると。だから放送自体は明るく楽しいペキン。最高、幸せみたいなポジティブな所から来るんですけど、海外に来ると実像は違うぞということを思い知らされるんですけど、それで(反中に)ひっくり返るかというと、親ペキン派の人たちはひっくり返らずに、むしろ、なんで俺たちがこんなに正しいことをしているのがわからないんだ!?ということで・・
和田憲治 ペキンの正しさとか、中国っていい国だという思いがなぜ海外だと否定されているんだっていうことで、怒っていると。
奥山真司 外国メディアを逆に敵視する方向に行くっていうんです。確かにそうだなっていう。
和田憲治 日本でいろんな国の人たちが来て、議論する番組があって、バラエティ、その中でウイグルの事とか来たら、チベットの事とかいうと、中国人の普通の女の人みたいな人まで、急にでかい声だして、「内政干渉だ!それはなんだかんだ」ってすごい言う人がいたんだけど、あの人はペキンから言わされているのかなと思ったら、そうじゃない部分があるんだよね。
奥山真司 あるんです。
和田憲治 本当にペキンがやっている政治がよくて、中国はいいとこでって心から思っている人たちだったかもしれないということですね。(文字起こし終わり)
これらの指摘は、様々な事象と合致するのではないだろうか?例えば下記の動画。
香港デモに対抗するため、世界中の中国留学生が作ったPR動画をご覧ください
海外にいる中国留学生は現代文明を理解し、母国をよくするという説は、とんだ勘違いだ。
いい留学生はごく僅かしかいない、ほとんど中共の予備軍だ。国防動員法が発動しなくても、自主的に中共に協力している。 pic.twitter.com/XuE25IA49Y
— 地蛋 (@Wl9uZ) December 12, 2019
世界各地で中国人留学生が、愛国と反香港デモのために集会をしている模様が紹介されているが、彼ら全員が嫌々やっているとは思えない。大半の参加者は、愛国心から自発的に、進んで中国共産党支持を掲げているように見える。
掛谷英紀先生も、中国からやって来る留学生について次のように分析している。
私の印象では、中国人留学生は日本に同化したい人と、単に日本を利用したいだけ人の割合がほぼ半々。前者の人は、夏目漱石や太宰治を読んだりしていて、普通の日本人より日本文化に詳しいこともある。リアルの中国と日本を知っているので、左翼言論人のようにイデアとして外国を語らないのも良い。
— Hideki Kakeya (@hkakeya) May 23, 2019
スポーツの試合を見ていても、外国で行われる試合で、自国の選手をことさら応援しているのは中国人である。国籍にこだわらずにいい選手を応援したいというスタンスではなく、中国の選手だけを愛国心から積極的に応援しているように思う。
生まれた時から「中国は正しい」「中国共産党はウイグルやチベットを救った」などの情報にさらされている中国人は、その価値観にどっぷり浸かっていて、それに違和感を感じていない人が大半だ。そしてそれらの情報は、中国人にとって気持ちの良いものであるはずだから、それに反する情報に接しても、そこから抜けたくないという心理が働くだろう。認知的不協和から、逆に外国メディアの方こそおかしいと開き直るのだ。
多くの中国人が中国共産党と一心同体かもしれない
欧米のメディアでは、「中国と中国共産党は別物」、「中国人と中国共産党は別物」ということが殊更言われたりするが、実際には、中国人は中国共産党を愛していて、中国=中国共産党だと思っていて、中国共産党の隆盛が自分の利益に適うと考えているようだ。
そして中国では愛国心を持つことが奨励されているから、中国人の愛国心(愛共産党心)は他国人よりも強い。
日本に来ている中国人も、「中国が嫌で日本が好きだから日本にいる」というよりも、「日本にいるけど中国共産党LOVE」な人たちの方が多いだろう。
欧米のメディアが作り上げたがる、「中国共産党は悪だけれども、個別の中国人は善良、犠牲者」というようなイメージは現実に必ずしも適合していない。下記動画に紹介されるような生粋の愛国者がたくさんいるというのが現実なのだ。
NBAの件で中国で話題になった動画に字幕をつけてみた
中国ではこういう若者は小粉红(ピンク)と言い、愛国者の別称。正確な統計を取れないが、中国人としての経験で言うと、中国の若者80%以上は粉红だと思う。
日本にも多くいるので、共生社会を目指すなら、彼らの価値観を認めないとうまくいかないよ pic.twitter.com/s5OzxzyvTm
— 地蛋 (@Wl9uZ) October 11, 2019