先日、企業や役所が自社内の自動販売機からペットボトル商品を排除しているというニュースを見た。目的はプラスチックごみの削減にある。
一方で、そのニュースの中で「プラスチック製品の中で、ペットボトルはリサイクルのトップランナーで、自販機で販売をやめる動きには違和感を覚える」という業界団体の声も紹介されている。
果たして、この2つの意見はどちらが正しいのだろうか?ペットボトルはプラスチックごみだから、排除(売らない、買わない、使わない)するのが環境によいのか、それともペットボトルはリサイクルされているから、このまま販売・消費され続けて問題ないのだろうか?
ペットボトルのリサイクルがどのように行われているかは、資源・リサイクル促進センターのウェブサイトに簡単に紹介されている。
同ウェブサイトから画像を転載すると、下図のような過程を経て、ペットボトルは再利用されている。
つぶして固まりにして、洗い、細かくくだいた後、それが何になるかというと、
ほとんどがペットボトルにはなっていない。ペットボトルは仮にきちんと回収されても、再びペットボトルに生まれ変わるのは13%で、後はリサイクルが難しい別の物になってしまう(食品トレイはある程度リサイクルされているが・・)。つまりペットボトルは回収したとしてもほとんどが別のプラスチックごみになって、次は使い捨てられている可能性が高い。
他の飲料容器はどうかというとアルミ缶の場合、67.3%が再びアルミ缶として再利用されている。(アルミ缶リサイクル協会のウェブサイトより)
スチール缶はどうかというと、様々な鉄製品に生まれ変わる。回収されたスチール缶が再びスチール缶になる割合はわからなかった。ただし、回収されたスチール缶が鉄スクラップとなって、新たな鉄になる場合、一から鉄を製造するのに比べて70%のエネルギーが節約されているそうだ(スチール缶リサイクル協会より)。
他にガラス瓶は69%がガラス瓶として再商品化されている。
飲料容器の中で本来の意味でリサイクルされているのは、アルミ缶が67%、瓶が69%。スチール缶は鉄製品として高い割合。ペットボトルは13%がペットボトルで、後は他のプラスチックごみになっている。
これを踏まえれば、冒頭のニュースで紹介したような企業や役所の取り組みは意味があることがわかる。何か飲料を買うなら、ペットボトル以外の物を買ったほうが環境に優しいのだ。ペットボトルのリサイクルは、どんどん品質が低下してリサイクルの終焉を迎えるダウンサイクルとなっている。
また、ペットボトルのリサイクル率は84%とされているが、そのうちの多くは海外に輸出されていた。しかし、それらのプラスチックごみの輸出は、色々ニュースになっているが、受け入れを拒否する国が増えてきた。他国から受け入れを拒否されるような物に変化させることがリサイクルと言ってしまうのはおかしい。
ペットボトルは物質としても安全性が他の容器より低い。ポリエチレンテレフタレートがペットボトルの主な材料だが、高温下では発がん性の可能性があるアンチモンが滲み出すという報告があるらしい。ペットボトルを高温になる車内に放置して、何度も使っていると体に害を及ぼすだろう。(参照元:シャンタル・プラモンドン「プラスチック・フリー生活」)
ペットボトルは7本に1本は回収されていない。不法投棄ゴミとしても、高温下で中の物質が出てきてしまうという理由から、アルミ缶やスチール缶のゴミよりも悪影響を及ぼす。
ペットボトル商品を買うのはやめよう
上記の様々な理由から、ペットボトル商品は買わない方がよい。ペットボトル商品の購入は環境の悪化につながり自分たちの首を締めることになる。理想は水筒を携帯することだが、どうしても外で飲料を買うという場合は、アルミ缶かスチール缶か瓶、紙パックを選んだほうがよい。