日本の所得状況と、その所得で暮らしている人たちのイメージを一目で表した図をツイッターで見かけた。ボサノバ和尚@sativa_high氏のツイートより。
従来の、一億総中流と言われた頃の日本の暮らしを実現できそうな中間層はわずか26%。富裕層を除いた残りの約70%は広義の貧困層である。
20世紀後半の日本は、一億総中流と言われていたが、21世紀の日本は、人口の過半数が相対的に貧しい、一億総貧困に近い状態になってしまった。
下記ツイートによれば、結婚している家庭の出生率は、ほとんど変化していないそうだから、少子化の原因は未婚者が増えたことにあるのだろう。
結婚している家庭の出生率は2.15と70年代から変化の無い数字。つまり結婚できる裕福な人間とそうでないない人間の二極化されているだけで新生児一人あたり1000万円を配れば配るほど高所得者が優遇されるという逆進性の強い政策になる。なお欧州にほぼ同じ先例と結末がある。 https://t.co/msV68dpc2T
— 擲弾兵 (@tekidanhei) December 26, 2019
相対的な貧困が増え、未婚者が増え、少子化が加速したと言えそうである。
自分たちの親が持っていた価値観(結婚式、専業主婦、持ち家、自家用車、家族旅行)が結婚生活には必須と考えるのであれば、今の現役世代の人たちの大半は結婚に二の足を踏むに違いない。
日本がこんな風になってしまった原因は複数ある。
- 政治が少子化と高齢化を予見できたのに実効性のある対策を打ち出さなかったこと。
- 人口が多い高齢層からの得票を失うことを恐れて、高齢層への社会保障(健康保険、年金)に大判ぶるまいを続けていること(その結果、現役層は数十年前の世代よりも多くの社会保険料を天引きされることになった)。
- 経済のグローバル化が進み、給料が相対的によかった工場の仕事が海外に移転してしまったこと。
- 解雇規制が厳しいままであるため、そのしわ寄せが若年労働層の非正規雇用の増加(そして賃金の低下)につながっていること。
などである。
現代の現役層が相対的に貧しいのは、現役層に原因があるというよりは、これまでの政策やマクロ的な経済要因でそうなったわけである。
解雇規制を緩和して20代から40代の給料が上がるようにしたり、高齢者の健康保険の自己負担割合を増やして、社会保険料の増加を抑制したり、今からでも政治でやれることはあるが、即効性のある政策がすぐに実現するとは思えない。
だから、経済的に苦しい人達も結婚や子孫を残すことを望むのであれば、様々な自助努力をして行かなければならないのではないか。
既存の価値観を捨てて、本当に大事なものだけにリソースをさくべきではないか。
貧しいけれども結婚・出産を希望する人たちには下記のような戦略・価値観をおすすめしたい。
なぜこんな記事を書くかというと、相対的に貧しい人たちにも結婚して子供を残し、日本の過度の少子化を押し留めてほしいからである。また、結婚・出産をした方が長い人生を退屈せずに生きられると思うからである。
貧しくても結婚・出産を達成するための戦略
結婚式、結婚旅行、高額な指輪などにお金を使わない。
→これらは消費であって、一時的な娯楽のようなものだからである。
本当に必要なものにのみお金を使う
→支出するのが当然と思われているけれども、よく考えると不必要な支出は切り詰めるべきだ。高い車、スマホ、旅行、外食・・。
結婚相手は貧しい(年収400万円以下)のが普通であることを受け入れる。
→年収の高い結婚相手を探し出すのは困難である。高望みしすぎると年を取りすぎて結婚相手がみつからなくなる。
結婚相手の容姿がよくないのは普通だと割り切る。
→1980年代くらいまでは、今より多くの人が結婚していた。美男美女だけでなく、容姿が悪い人もそれなりの相手を選んで結婚していたのである。結婚相手の容姿に理想を求めすぎると、当然結婚できなくなる。結婚相手の容姿については妥協するべきだ。
早く結婚する
→時間をかけて結婚相手を探しても、理想の結婚相手には出会えない(特に経済的な意味で)。だから早く結婚したほうがよい。あまりに遅く結婚すると、不妊治療にものすごくお金がかかったりする。
親の近くに住み、親を積極的に頼る。
→親、兄弟、親戚など頼れる人の近くに住むか同居して助け合うべきだ。保育園や学童に当選するとは限らない。確実に助けてくれる親族の近くで生活したほうがよい。都会に出て有名企業で就職するより、地元の親の近くで就職して実家の支援を受けて暮らしたほうがよい。
不動産には金をかけない
→不動産にお金をかけても、現代の日本ではそれが資産形成につながるとは限らない。
参考記事:家を建てる際に重要なのは素材と外見
だからわざわざ新築の家をローンを組んで買ったりするより、親と同居したり、中古の家に妥協して住んだ方がよい。
同じくらいの収入を得られるなら、田舎暮らしも検討する
→都会は地価が高く、不動産も狭い。都会でも田舎でも同じくらい収入が得られるなら、田舎暮らしも検討した方がよい。
子供の教育にお金をかけない
→若手の労働力は不足しているので、わざわざ大学まで行かなくても仕事は見つかる。また、大学を卒業したとしても給料のいい仕事につけるとは限らない。だから自分の子供は公立高校卒業後、即就職したとしても大丈夫だと思ってライフプランを建てたほうがよい。子供の教育にお金をかけるのは、新築の不動産並にリターンが不明確な投資である。習い事や部活にお金・時間をかけすぎるのも無駄になる可能性が高い。
出稼ぎに来ている外国人マインドで生きる
中流の日本人として生きようとすると無駄な出費がかかる。貧しい人は、自分が日本に出稼ぎに来ている途上国の外国人になったつもりで生きたほうがよい。