中国からのやらせレビューが横行し、検索結果の上位に表示されるのが中国製製品ばかりになってしまったと言われるアマゾン。
これに対して2019年の12月から、アマゾンが対策をしたようで、日本で評価が行われたレビューには「日本でレビュー済み」という表記がつくようになった。
では、「日本でレビュー済み」という表記が信用できるのかと言えば、あまり信用できない。なぜなら表示される日本語のレビューには全て「日本でレビュー済み」と書かれているからである。
もちろん外国人が作った本や音楽のレビュー欄には、「アメリカでレビュー済み」「フランスでレビュー済み」などの表記がある。
しかしそれ以外の製品のレビューには全て「日本でレビュー済み」のタグがついている。これはどういう事なのだろうか?日本の顧客には、日本でレビュー済みのレビューしか表示しないようにしているのだろうか?
例えば、下記製品の評価の数は現時点で585個ある。
しかし、レビューの件数は全部で554件となっている。
評価の数とレビューの数の差は何なのか?
一つは星の数で評価はしたものの、レビューを書いていない評価だと思われる。
こちらの掲示板を読むと2019年の9月頃、アマゾンはカスタマーレビューの投稿に際して、星の評価のみ投稿できるサービスをしていたことがわかる。しかし、現在ではレビュー文章なしの星のみの評価はできない。
それ以外が日本以外でレビューされたレビューの件数だと思われる。しかし、全レビューを新しい順に並べて、順番に読んでいっても、日本以外の国でレビューされたレビューを見つけることはできない。
だから、日本以外の国でのレビューは、評価の数に最初からカウントされていない可能性がある。評価とレビューの件数の差は、コメントなしの星のみの評価の数なのかもしれない。
現在アマゾンで表示されるレビューは全てやらせなしなのか?
では、「日本でレビュー済み」というタグが付くようになった後、私達がアマゾンで見ることのできるレビューは全てやらせなしなのだろうか?というと、やはりやらせは含まれているだろう。
中国からレビューしているけれども、IPアドレスを偽装して日本からレビューしたように見せかけているかもしれない。文字コードをUTF8にして日本からレビューしたように見せかけているかもしれない。実際に日本に住んでいる人に協力してもらって、やらせレビューを書いてもらっているのかもしれない。
しかし、アマゾンのレビューには、「日本でレビュー済み」のタグ以外にも「アマゾンで購入」というタグも存在する。
これは実際に、レビュワーが商品をアマゾンで購入したことを証明するものであって、ここを偽装するのは難しいと思われる。
そして、アマゾンに存在する「日本でレビュー済み」のレビューのほとんどに「アマゾンで購入」マークが付いている。なので、評価件数が異常に多い中華製品の星5のレビューでも、実際に購入した人が書いている可能性が高いのである。
もちろん商品の売り手が、商品の購入代金も上乗せして、やらせレビューの書き手に謝礼を払っている可能性もある。しかし、それだとやらせレビューにかかるコストが大きくなってしまう。
なので現在、アマゾンで表示される中華製品の星5のレビューは、やらせではない、本気の評価が大半である可能性が高い。
中華製品のレビューに星5が多いのはなぜなのか?
異常に評価件数が多く、しかも評価のよい中華製品。これらの中華製品の評価値が高いのはなぜなのか?以下の可能性があると思われる。
- やらせレビューで商品の評価と件数をかさ増しした
- 単純に中華製品の品質が素晴らしい
- 安い値段で売り出すことで販売個数を増やし、結果としてレビュー件数が増えた
- 広告費を払ってスポンサープロダクトに長期間表示させ、販売個数を増やし、レビュー件数も増やした
- 日本人の星5(★★★★★)に対する価値観が変化し、簡単に星5を与えるようになった
以前は、アマゾンで中華製品のレビュー件数が異常に多く、そして評価が高いのはやらせレビューをしているからだと思っていた。もちろんそうした工作もあるのだろうが(参考:中国「やらせレビュー工場」の衝撃映像も 消費者を欺く「やらせレビュー」の実態をNHK「クロ現+」が特集)、今では3番と5番の要素も大きいのではないかと思い直すようになった。
つまり、
安い値段をつけて製品を多く売る→日本人は商品に瑕疵がなければ星5をつける習性になったので、多くの星5のレビューが集まる
というサイクルも影響していると思うのである。
5段界評価で星5は、映画評や書評では、通常「とてつもなく素晴らしい」を意味する。私にとっても、5段階評価のそれぞれの意味は、
★★★★★ とても素晴らしい(めったにない)
★★★★ 素晴らしい
★★★ 普通(ほとんどはここに当てはまる)
★★ やや悪い
★ 悪い
という感覚である。しかし、ヤフオクやメルカリ、さらにはクラウドソーシングなどでは、商取引をした相手に問題がなければ、満点の評価をするのが通常の慣行である。一つでも★を減らして評価をすると、相手から文句を言われることも多い。
こうした経験を経て、日本人のネット上の5段階評価の感覚は下記のように変化している可能性がある。
★★★★★ 特に問題がなかった(ほとんどがここに当てはまる)
★★★★ ちょっと問題があった
★★★ 悪い(めったにない)
★★ 悪い(めったにない)
★ 悪い(めったにない)
これがアマゾンでの中華製品の評価にプラスに影響していると思うのである。現代では日本の消費者は、瑕疵がなければ、星5の評価を下す可能性が高い。であるから、商品をたくさん売って、その商品に大きな問題がなければ、たいした商品でなくとも、高評価のレビューがたくさん付くのである。
アマゾンで中国製品に高評価のレビューがたくさん付いている理由の50%は、この日本人の星5に対する価値観の変化と販売個数の多さにある、というのが私の現在の推測である。
もちろん天下のNHKが報道しているぐらいだから、やらせレビューも相当ある。中華製品をレビューしているレビュワーは、不自然に中華製品ばかりレビューし、高評価を付ける傾向がある。中華製品の高評価の理由の残りの50%はやはりやらせにあると思う。
中華製品のレビュワーが他にどんな商品に高評価をつけているか見てみてほしい。怪しいユーザーがたくさんいる。
2020/1/20追記 やらせレビューを書いているのは、買収された日本人
日経ビジネスにアマゾンやらせレビューの記事が出た。日本人を買収し、やらせレビューを書かせているそうだ。商品は実際に買わせ、買った分の金額をレビュアーに振り込むのだとか(レビュアーは無料で商品を手に入れられるので、それが報酬になる)。