まだお金があった頃、山林を買った。20年以上放置されていたと思われる山林で、主に杉が植えられている。
山林で小遣い稼ぎ的な収入があればいいなとも当初は考えていたが、山林から収益を上げるのは難しいとやがて分かった。
↑のような書籍が小規模林業を勧めているが、その地域にあまり良くない木材でも買ってくれる主体が存在してくれれば、多少の収益にはなるという話で、普通の地域では立派な丸太でないと買い取ってもらえない。立派な丸太は、軽トラでは運搬できず、人力で積み込みもできないので普通の地域では小規模林業は成り立たない。
そこで、どうせ杉が利益にならないのであれば、落葉広葉樹を植樹していって、いわゆる「豊かな森」を作ろうと考えた。
初心者がチェーンソーを使って、大きな木を切るのはハイリスクだが、木の周囲に傷をつけていって立ち枯らせていく手法があるので、既に生えている木を間伐していくのは、素人でも時間をかければできる。下記書籍にその手法が書かれている。
チェーンソーの使い方は、各地域の林業団体が講習を行っているので、初歩的なことはそこで習うことができる。
チェーンソーや防護服、ヘルメットなどを購入し、放置林にはびこっていたツル系の木を切ることから、まず始めてみた。
それと同時に広葉樹の苗木を空いている場所に植えていったが、それが植えるはしから食べられてしまうのである。
というのも、今、各地の山では鹿が大量に生息していて、植物をどんどん食べていってしまう状況にある。この2-30年で山の植生は大きく変わったそうだ。
私が所有している山林も、若木は鹿が食べないオオアサガラの木しか生えていない。リスが運んだと思われるクルミの殻やクリなどが落ちているが、そういった広葉樹は若木が生えていない。
草類も、鹿が食べない系統の植物だけが残っている感じで、なんというか荒涼としている。
普通、空いている敷地があれば、植物が繁茂して土が見えなくなるが、山では逆に土が見えるくらいスカスカになっている。
その結果、土砂崩れが頻繁に起きる。雨が降れば、道路に石や泥が流出する。
現状、山作りとか、里山作りとかをやる場合、最終的に「鹿にどう対処するか」に行き着く。新たな木を植えて育てたいのであれば、苗木を一本一本カバーで覆って保護する方法がある。
しかし、草類も含めて、植生全体を保護したいと考えるのであれば、敷地をフェンスで囲うしかないだろう。
当然、そういった防護柵を設けるにはお金がかかるし、いずれそれらは自然を害するゴミになる。だから心理的に抵抗があるが、鹿に対抗する手段が他に思いつかない。
また、大量の鹿の生存は、人間を含めた、鹿以外の生き物への負の影響が大きすぎるので、鹿を殺して数量を減らす政策を地方自治体が採っているのはやむを得ないと思う。
コメント
鹿と猪の食害は深刻ですよね。鹿や猪が増えすぎて、山から人が住む住宅や畑に入り込むのですが、どうも鹿や猪が人間の生活環境に迷い込んだと勘違いしてそれらを捕獲するのはけしからんとツイッターで暴れている人達を見てげんなりしました。夜の道中で衝突、下手をすると高速道路でも平気で出てきたり、猪が襲ってきたりとかもあるので、本当に現代の社会問題でもあるのですが、理解がぜんぜんされていない実情もありますね。私たちが食べる野菜や果物、家畜の飼料もこういう食害があるので、ハンターの重要性は高まるばかりですが、狩猟は悪という動物愛護や猟友会の高齢化で色々大変です。
ハンターになるのも面倒な手続きやらもありますしね。
>O1S3さん
現状、増えすぎた獣は殺して減らす以外に対処法がないですよね。「かわいそう」だと思う人達の気持ちもわかるのですが、被害が大きすぎです。