この間、たまたま矢作直樹氏と神原康弥氏の対談本を購読した。矢作氏は、元東大病院勤務で平成天皇を診ていた人である。退官後は、スピリチュアル関係の本、保守系の史観に立った歴史の本を出したりしている。
神原氏の名前は初めて聞いたが、対談の内容を読む限り、少しぶっとんでいるが、まぁ、こういう人もいるのかなという感じだった。
どのようにぶっとんでいるかといえば、毎年正月に宇宙会議が開かれていて、そこに神原氏は出席しているなどという発言があった。
それ以外にも、普通の人には嘘か本当か判断がつかないようなスピリチュアル話が、神原氏の発言として多くあった。
神原氏は、本の表紙を見ていただければ分かる通り、障害者である。幼少時に障害を負って、歩けないし、話すこともできないそうだ。それで初期の頃は「筆談の詩人」と言われたりしていたようだ。
彼の活動は、母親がサポートしているということが対談本からは読み取れた。
神原氏は講演活動などもしているとのことだったので、ユーチューブで動画を検索するといくつか神原氏が登場している動画がみつかった。
しかし動画を見てみて驚いたのは、神原氏は筆談すらしておらず、発言はすべて母親の神原ひで子氏がしていたことだ。「筆談の詩人」というくらいだから、文字は書けるのだと思っていたが、そのような動作は一切ない。
こちらのブログによれば、
6才の時、手や腕のわずかな動きに気づいたお母さまの英子さんと共に試行錯誤の努力により筆談による会話方法を身につけ、今では身体(手)に触れるだけで、康弥さんの「言葉」「伝えたいこと」を、英子さんが仲介してメッセージとして伝えることができるのです。
のだそうで、なんと筆談ではなく、テレパシーで康弥氏の発言を、ひで子氏が代わりに発話しているのだそうだ。
こちらの動画では、ユーチューバーの女性(右側)が神原母子に話を聞きに行っているが、虚心に見れば、母親が単に話しているだけである。
神原康弥氏はユーチューブチャンネルを持っていて、そこに講演動画も上がっているが、そちらもただ単に母親のひで子氏が話しているだけのようにしか見えない。
ひで子氏が、本当に康弥氏の思いを読み取って、あれこれ発言しているという可能性もゼロではないが、極めて低い。常識的に考えれば、神原康弥氏はビジネスのために母親に使われている。
母子の活動による収入は、康弥氏を経済的に助けているだろうから、康弥氏にとって必ずしも悪いことではないのかもしれないが、本当のところ、康弥氏はどう思っているのか不明だ。だから、私が役場の福祉関係の職員なら、明確に康弥氏の意思表示がない限り、このような活動はやめさせたいと考えるだろう。身体的自由を持たない障害者に、特定の活動を強要していると捉えられるからだ。
また、ひで子氏が嘘をついていて、本当は単にひで子氏がスピリチュアルな説話をしているのだとしたら、詐欺である。ウェブサイトを見ると、康弥氏はコンサル業務も行っているが、一時間3万6千円である。単にひで子氏が話しているだけなら、この価格が成り立つのかどうか疑わしい。
私がスピリチュアル本の出版社の編集者だったら、怖くて神原母子の作品は扱えない。