私は幸運なことに花粉症ではない。
しかし、やや遅れて中国からやってくる黄砂やPM2.5には体が敏感に反応し具合が悪くなる。
PM2.5が最初に騒がれた頃、長期出張で上海に居た。ひどい時は50メートル先が見えないくらい視界が真っ白だった。慢性的に喉が痛み、泊まっていた建物からは夜中も咳の音が止まらなかった。
そういった状況で生活していると自然とテンションが高くなる。体が危機を感じ、生存本能を刺激されているからなのか、普段の状態ではなくなる。
無意識のうちに空襲警報を聞ききながら暮らすような日々。命に別状はなくとも、常に何かに追われているような、急かされているような、閉じ込められているような感覚にとらわれる。そうした感覚は人を攻撃的にし、物質的な欲望を強める。
今日、再びPM2.5で体調がやや悪化して、当時の事を思い出した。
日本人からすると中国人の感性や価値観は理解不能な面があるが、彼らは、体が常にアラームを発する異常な状況で生きていることで、何かがおかしくなっている、そういう一面もあるのだろうなと思い至った。
できるだけ穏やかなかたちで中国社会がまともになっていくことを願うばかりだ。
↓この本は読みかけだが、面白いと思う。中国要人の発言と各種データを突き合わせて、中国経済の本当の実力を探っている。