ポケモンGOがもたらす経済以外の効果

世界中で好セールスを記録し、株式市場でも関連銘柄がにぎわったポケモンGO。拡張現実技術が使用されていること、世界を瞬く間に席巻したことなどすごい要素だらけのゲームアプリです。

ポケモンGOには、リリース会社に大きな収益をもたらす以外の、これまでのゲームには存在しなかったユーザーへの効果があると思うので、それについて書いてみようと思います。

ポケモンGOが私達にもたらす変化は次のものです。

  • 人を外出させる
  • 人を行ったことのない場所に行かせる
  • 人を歩かせる

私は、ポケモンGOの作者には、大きな志があり、ただ売れるゲームを作るのではなく、ゲームを通して、人々に良い変化をもたらしたかったのだと思います。

ポケモンGOのゲーム設計の裏に秘められた意図と、私たちにもたらされた変化を概観していきましょう。

ポケモンGOは人を外出させる

東南アジアや中国に旅行に行くと、街角に特に意味もなく人がたむろしているのを見ることができます。外に出ると、周囲に常に人がいることは、ある種の安心感をもたらします。

しかし、(他の先進国については行ったことがないのでわかりませんが)日本では、家の外に意味もなく人がいることはほとんどありません。

私が子供だった頃は、部屋の中にいるのではなく、他者との交流を求めて、軒先にいたり、外を歩いている人が現在より多かったと思います。SNSもスマホもなかったので、実際に外に出ないと誰かと連絡がとれなかった側面もあります。

それに対して、現代日本では、意味もなくその辺をうろうろしていると不審者扱いされるような空気が醸成されていて、人々は用事がない時は、他者の視線が届かない室内にいることを無意識のうちに強いられています。客観的なデータが根拠としてあるわけではないですが・・。

他者の視線を避けて、室内に居続けることは閉塞感と他者への恐れを増加させると私は考えます。

しかし、ポケモンGOはプレイヤーを外出に駆り立てます。現在、ポケモンGOで人が常にいるようになった場所は大きな公園などであって、その辺の街角ではないですが、人が外出して他の人と出会うということは精神的に人々を前向きにさせるのではないでしょうか?

ポケモンGOは、人を外出させることで、人を前向きな気分にしています

pokemongo

ポケモンGOは人を行ったことのない場所に行かせる

レアなモンスターは、特定の場所でしか手に入らないようです。モンスターによっては、アメリカだけ、とかオーストラリアだけというものもあるとか・・・。

ポケモンGOのこうした要素は、人を今まで行ったことのない場所に行かせます。

ポケストップに行くと経験値を得られますが、ポケストップ巡りも、今まで知らなかったスポットに人を向かわせています。

知らない場所を歩くことは、人の脳によい影響を与えます。シータ波とかアルファ波とか普段とは違った脳波が出るそうです。

ポケモンGOは、未知の場所に人を向かわせることで、人の感情によい影響をもたらしているのです

ポケモンGOは人を歩かせる

ポケモンGOでは、卵を孵化させるために、プレイヤーは歩かなければなりません。時速10キロ以下での移動がゲーム内で意味のある行為になっていることから、ゲーム設計者は人をもっと歩かせるようにしたかったのだなとわかります。

日本ではそうでもないですが、海外では運動不足による肥満が増えています。先月までフィリピンに滞在していましたが、フィリピンで中流以上の所得がある人は、70%以上が肥満ではないかと思われました。

ポケモンGOをプレイすることで、人は歩き、健康を増進しています

boardwalk

今後起こるかもしれない変化について

ポケモンGOは今後も変化し続けていくでしょう。新しく実装される機能によって、下記の変化がユーザーにもたらされるものと予想しています。

ポケモンGOは知らない人と会話させる

先日、ポケストップがたくさんある公園に行きました。それまでは、子どもとその親くらいしかいなかった公園に、スマホを持った大人が大量にいて驚きました。

しかし、個々のユーザーは基本的に自分のスマホを見るだけで、そこにいる他者と交流が生じているわけではありませんでした(人によっては、他のプレイヤーに話しかけたりしていると思いますが)。

私が予想するに、将来ポケモンGOに実装される機能は、周囲に実際にいる人と、広く浅く友好的なコミニュケーションをとらせると思います。

アイテムを交換したり、共同して戦ったりといった機能が実装され、プレイヤー同士に会話が生じる機会が提供されるのです。逆に、プレイヤー同士が戦う機能は、リアルファイトを生み出しかねないので実装されないと思います。

日本では特にそうですが、悪いニュースが延々と繰り返され、知らない人≒危険な人という認識が、実際のリスク以上に広まっています。なので、私達は年々知らない人とは会話しなくなっています。

ちょっとした友好的なコミュニケーションの増加は、相互理解と積極性をもたらすのではないでしょうか?(もちろん、こうした機能が実装されれば、トラブルも増えるとは思いますが)。

記事を書いた後の変化(2017/8/13追記)

この記事を書いて一年になる今、いまだにポケモンGOをやっています。その後、どのような変化が起きたかも書いておきます。

レイド戦が実装され、複数のプレイヤーが協力してプレイする要素が追加されました。上記にあるように、「周囲に実際にいる人と、広く浅く有効的なコミュニケーションをとらせる」変化だと思います。

レイド戦においても会話が生じているとは限りませんが、同時に戦いを開始しないと強敵には勝てないので、以前よりも会話が起きる可能性は高まっています。

ただ稼ぐだけじゃないことの凄さ

私は、ポケモンGO製作者の意図を想像して、この記事を書いていますが、実際、ポケモンGOの設計を見る限り、製作者たちには

「ただ収益を上げるだけではなく、世の中にいい影響を与える」

という志があったと思います。これはなかなかできないことです。

「ただ収益を上げること」すら、普通の人には難しいです。さらに「世の中にいい影響を与える」も達成するとなるとかなりの難易度です。

私達は資本主義社会で生きていますので、能力のある人には、ポケモンGO製作者たちのように、「収益を上げる」と「世の中にいい影響を与える」の両方を成し遂げてほしいと思います。

↓ポケモンGO用に買ったモバイルバッテリー、販売店はHamee(3134)でした。