アメリカ合衆国首席戦略官・大統領上級顧問であるスティーブン・バノンが、米国の歴史は80年ごとに危機を迎えるという説を信奉しているのだそうだ。奥山真司氏のブログで知った。
この説を唱えたのは、ニール・ハウとウィリアム・ストラウスという2人のアマチュアの歴史家だ。二人の共著、『フォース・ターニング:米国の預言』(The Fourth Turning: An American Prophecy)を奥山氏が翻訳中ということで、その詳しい内容を日本語でも近日中に読めるようになりそうだ。
具体的な80年ごとの危機は、
- アメリカの独立戦争から憲法制定までの時代(1774-1794)
- 南北戦争とその後までの時代(1860-68)
- そして世界恐慌から第二次世界大戦までの時代(1929-45)
であって、次の危機(フォースターニング)は、2009-2025年に来ることになる。バノン氏は、中国や中東との戦争を予想しているようだ。
この80周年周期説が正しいかどうか現時点ではわからないが(株式投資にも応用できる考えだが、過去から未来は予測できない!)米国と中国の衝突は避けられないと思う。その衝突が軍事衝突を含むのか、経済戦争程度で終わるのかわからないが。米中の衝突が回避されるとすれば、中国側が変わるしかない。米国側が譲歩してしまうと、中国が巨大覇権国となってしまう。
最近の物騒な世相を作り出したのは、トランプではなく中国である。メディアではなぜだかトランプのせいになっているが・・。
ちなみにバノン氏は保守派のニュースサイトの運営にも携わったとあるが、そのニュースサイトはこちらである。
日本にも適用できる80年周期説
先日、浅井隆氏と小黒一正氏の「預金封鎖、財産税、そして10倍のインフレ!!」を読んでいたら、日本は40年毎に絶頂と下落を繰り返しているという指摘があった。つまり80年ごとにクラッシュするのだから、上述のニール・ハウとウィリアム・ストラウスの説と同じである。
小黒一正 私も同じことを考えています。明治維新の1868年から約40年が「上り坂」で、そのピークが日露戦争の1905年。それから40年が「下り坂」で、その終着地が第二次世界大戦の敗戦、すなわち1945年の「焼け野原」で、この80年間が1サイクルです。次の80年のサイクルのスタートは、1945年からの戦後復興で、高度成長もあるそれから40年の「上り坂」で、そのピークが1985年のプラザ合意の年。そこからバブルが発生して1990年頃にバブルが崩壊、その後は平成金融危機や人口減少が始まり「下り坂」で1985年に40年を足すと2025年です。偶然のようにも思いますが、この年は団塊の世代が全員75歳以上になって医療・介護費が急増し、財政が急速に悪化する年ですね。
浅井隆 そうですね。私の場合は、終戦後5年間のドサクサの混乱期は除いて朝鮮戦争(1950年)から40年にしたのです。そうするとバブルのピーク(1989年)の年となり、そこから40年後となると2029-30年なのですが、2025年に老人大国のピークが来るのでいずれにしてもその前後が大底かなと。
最初の危機が、明治維新(1868年)、次が第二次世界大戦敗戦(1945年)、次のサード・ターニングが2025-2030年という説だ。この本は財政危機について論じたものなので、この時期に財政危機の影響が本格化するかもしれないと二人は論じている。
財政危機がどのように我々の生活に影響を与えるか、それはいつごろやってくるかについてはまた記事を改めて紹介したい。