日本人の性愛に関するお子様期間は7年伸びたと思う

kindle本で古い漫画を買う。1990年代の漫画などを読んでいて気づくのは、昔の若者は20代前半ですっかり性的に成熟している点だ。高校生だって、性愛に関しては大人の1年生という感じで一人前に扱われている。漫画作品から分析するに今の日本の若者は性的に未熟な「お子様期間」が7年程度伸びていると思う。

実際に例を出して自説を補強したい。

90年代の漫画に見る昔の若者の性愛事例

昨晩読み返していた漫画、「かんとく」(コージィ城倉)。

まず主人公である30歳の野球部監督の男(既婚、子あり)は、野球部のマネージャーとつきあっている。当時は淫行条例はなかったので生徒と教師がつきあっていても犯罪ではなかった。実際、高校生の時に教師とつきあっていたという女性が私の大学の同級生にいた。なのでこの設定は別に不自然ではない。

かんとくとマネージャー

2巻では23歳の保険の外交員あやちゃんが登場するが、彼女は肉体を使って顧客を次々と開拓している。先生が数人、野球部の部員、その父親・・。今の23歳の女性がこんな役柄の設定だったら不自然に感じることだろう。

清田亜矢

清田亜矢2

次に「さくらの唄」(安達哲)。

借金を返すために主人公の男子高校生に体で接待する女教師は22歳の設定である。

みつわゆうこ2

親戚の男にレイプされ、その後、その男の死期を早めるために逆に積極的に性交渉を持った主人公の姉も22歳の設定である。もしこの作品が現代にリメイクされたら、どちらも30歳くらいの年齢が腑に落ちるのではないだろうか?

次に「エフ」(六田登)。主人公の軍馬は1巻では高校生だが、ソープランドに行くし、使用人の女性とも性交渉を持っている。これを読んでいた当時、特に違和感を感じなかった。高校生だって金があれば風俗にも行くだろうし、相手がいればセックスをするのは普通に感じられた。

軍馬1

軍馬2

最近の漫画に見る若者の性愛事例

一方で現代の若者は漫画内でどのようにその性愛事情が描かれているか?

人気の「東京タラレバ娘」(東村アキコ)を見てみる。

主人公は33歳にもなって結婚の相手をどう選べばいいか決断の仕方がわからない。愛とは何か、恋愛とは何かといった抽象論をいまだに繰り返している。

たられば3

25歳で結婚したという話を聞いてものすごく驚く登場人物たち。

たられば1

たられば2

上記作品群を見ると、昔の高校生が今の新卒社会人レベル、昔の新卒社会人が今の30歳くらいの性的成熟度に見える。これがタイトルにある7年の出処である。

※もちろん私は、昔の若者の中にも奥手な人間がいたことを知っているし、今の若者にも性的にアグレッシブな者がいることを知っている。私の主張は若者の平均についての話であって、全員についてではない。

何が若者を性的に幼くしたのか?

少数の漫画作品を使用して、荒い論を建てたが、昔(90年代)と較べて、若者の性的な未熟期間が延長されたという説には概ね同意していただけるのではないだろうか?

何が若者を性的に幼くしたのか?やはり原因は淫行条例の制定だろう。東京都が淫行条例に罰則を設けたのが2005年。

大人の男と18歳以下の女性が性的に接触することがなくなり、これがきっかけで18歳以下の女性の性的な活動の開始時期が遅れた。これは男子高校生にも間接的な影響を及ぼしただろう。

淫行条例は規定そのもの以外にも、「若者の性は脆く、悪影響を受けやすい、大切に扱わなければならないものだ」という価値観を蔓延させ、この価値観が若者に性的な活動を自粛させたようにも思える。

他には経済の衰退が挙げられる。所得が減少したことで、男性が女性をデートに誘えなくなったという側面はありそうである。永江一石氏は若者が自動車を保有しなくなったことが、男女の交際が進まなくなった一因ではないかと推測している

他に考えられるのは性的なフリーコンテンツの充実だ。簡単にポルノにアクセスできるようになったし、ポルノに出演する女性の容姿のレベルも上がった。これによって性的充足が自慰によって行われるケースが増えただろうし、恋人に求める容姿のハードルが上がり、生身の相手とつきあいたい気持ちを減少させただろう。

若者の性的な未成熟期の延長が及ぼす影響

若者が性的な「お子様期間」を延長させたことで、世の中にどのような影響が及んだのか最後に考察してみたい。

日本全体の性的活動が不活発化した

18歳以下の若者が性的活動から退出したことで、日本全体の性的活動が不活発になったはずだ。性的な活動においては、若者ほど望ましい交際相手である。

少子化が進んだ

若者の性的活動の開始が遅れたことで結婚年齢が高くなり少子化を促進させた。

若者が精神的に大人になる時期が遅れた

性的活動の有無と、自分が大人であるか否かの認識には関係がある。性的活動が若者から後退したことで、若者は性的活動以外の分野でも自らを大人だと自己規定できなくなったのではないか。

総論

総論としては、若者が性的に成熟する時期が遅れたことは日本にはマイナスだったと思われる。淫行条例で救われた若者も存在するのかもしれないが、それ以上に淫行条例は日本を傷つけた。

勇気を持って、淫行条例を撤廃すべきだ。