政治的スタンスが変わり、今では保守層から評価されていない小林よしのりだが、「戦争論は名著だった」という声は今でも聞かれる。
1998年に刊行された戦争論の1巻を、刊行後約20年の今読んでみたが、内容はびっくりするほど古びていない。
20年も経ったのだから、「今ではそんなこと常識ですよ、当時はこんなことを指摘していたのですか?」と言えるような項目があってもよさそうなものだが、現在の保守論壇の人々は「戦争論」1巻に書かれたことを未だに啓蒙してまわっている。
では小林よしのり「戦争論」1巻はどんな主張を含むのか?下記に羅列してみた。
- 平和の反対は混乱(無秩序)であり、「話し合いという手段」の反対が「戦争という手段」であり、戦争は政策の一つだという認識
- 日本人は無自覚に左翼的な戦後民主主義的価値観にとらわれ、その空気(同調圧力)の中で生きているということ
- 第二次世界大戦当時、欧米人はアジア人を差別的に見下しており、アジア諸国を植民地にしたが、その状態を日本人が変えたこと
- 米国が行った日本への爆撃は戦争犯罪的だということ(民間人を狙い、戦争終結が見えていたのに原爆を2発落とした)
- 支那兵は残虐行為、卑劣な行為(便衣兵)を散々していたこと
- 米国や支那が行った戦争犯罪的行為は、戦勝国だからという理由で不問にされていること
- 戦後の日本人はWGIPによって洗脳され、過剰な罪悪感、当時の軍部への憎悪、戦争への忌避心を抱いていること、プライドを持てないでいること
- 第二次世界大戦に日本が参戦したのは米国の謀略にはまった要素が大きいこと
- 第二次世界大戦時に日本が掲げた「八紘一宇」「大東亜共栄圏」という理想は評価されるべき点を持つこと
- 第二次世界大戦地に日本が朝鮮を併合し、満州を獲ったのは地政学的観点からすれば当然であること
- 日本兵がしたとされる残虐行為(南京大虐殺など)は大部分でっち上げであること
- 現代でも日本を貶めよう弱体化しようとして、日本の戦争犯罪をでっちあげ広めようとしている勢力がいること(情報戦の存在)
- 逆に日本人が被害者だった悲惨な事件(通州事件、満州や朝鮮から引き揚げてきた日本人がソビエト人や朝鮮人にされた行為)についてはあまり知られていないこと
- 戦争は一概につらいものだとは言えず、興奮する面、ワクワクする胸躍る面も持つこと
- 現代の日本人は、公(国家など自分が所属する集団)を軽視するあまり、個としても生きにくくなっていること
- 戦後民主主義の反動か、公のために個が奉仕するという行為が貶められていること
- 自衛隊員は、公(日本国)のために尽くしているのに賞賛されず、(一部の人からは)非難の対象になっていること
ざっとこんなもんだろうか?
保守の人が現在出している本をamazonなどで確認していただきたいが、未だに上記テーマに関わるものが多い。
もちろん、この20年で変わった部分も多い。第一次安倍内閣は「戦後レジームからの脱却」を謳ったし、第二次安倍内閣は憲法改正を企図している。朝日新聞は従軍慰安婦についての記事を取り消した。北朝鮮は日本人拉致の事実を認めた。
しかし変わっていない、広まっていない、知られていないことの方が圧倒的に多いのではないか?戦争論1巻を何の予備知識も持たせずに今の日本人に読ませたら、「へぇ~、斬新な内容ですね~」という感想がかえってきそうである。
私は最近(2017年7月)、某所でアンケートを取った。そのアンケートの中に「朝日新聞は従軍慰安婦に関する報道が虚偽であったとして取り消したことを知っていますか?」という設問を入れたが、「知っている」と回答したのは29%だった。
同じく「南京大虐殺は捏造である可能性が高いという調査報告があることを知っていますか?」という設問を入れたが、「知っている」と回答したのは36%だった。過半数の人が、従軍慰安婦が虚偽だったことを知らず、南京大虐殺が本当にあったことだと思っていた(アンケートはネットで100人を対象に行った。男性39人、女性61人、20代以下が28人、30代が35人、40代が25人、50代以上が12人だった)。
「戦争論」1巻の価値観や情報がそれほど広まっていないのは、左に偏向したテレビ局のせいもあると思われるが、テレビの偏向性については、2002年(サッカーワールドカップ)から問題視されているにもかかわらず、全く変化がない。悪化している可能性さえある。
私が思うに、戦後の大漫画家とされる手塚治虫の全作品の価値の合計より、小林よしのりの戦争論1巻の方が価値が高い。これだけ読みやすく、たくさんの情報がつまっていて1620円だというのは奇跡の安さだと思える(※ブックオフに行けば100円で買えるだろう)。
この漫画1冊を読めば、現代の保守論壇が問題だと思っていることの70%くらいを把握できるので、参考書として、現代史理解の副読本として最高だと思う。
おまけ:どうしたらテレビ局問題を解決できるか?深夜のつぶやき。
日本を今ドラスティックに変えるにはTVメディアを変えるしかない。大多数の人はテレビを主要な情報源にしているから現状テレビ局が世論を作れてしまう。テレビ局を変えるには、株を大量に買って株主として締め付けるか放送法4条を守らせるようにするか。NHKを国が管理する国営放送にするか。
— nextir35 (@nextir35) 2017年7月3日
もっと時間が経過すれば、ネットで情報を得る人の割合が増えて、テレビが世論に与える影響が小さくなるかもしれない。しかし何年待てばいいんだ?10年後もテレビ局の影響力は今と同程度だろう。今のメディアのやり方を許して憲法改正がうまくいくとは思えない。
— nextir35 (@nextir35) 2017年7月3日
一番買えそうなテレビ局はやはりテレ東か。時価総額700億円くらい。4.8%はDHCの吉田会長が持っている。DHCテレビと業務提携して虎ノ門ニュースを朝流してしまえばいい。夜は日経の経済ニュース。それ以外の時間はアニメと早食い。
— nextir35 (@nextir35) 2017年7月3日
テレ東とDHCテレビを組ますことができれば、日本は変わる。薩長同盟クラスの歴史的な変化をもたらせる。今回の都議選で、ネットメディアの影響力は極小だとわかってしまった。テレビにのっからないと駄目だ。
— nextir35 (@nextir35) 2017年7月3日
本当に都議選の結果にはびっくりしてしまった。ツイッターで発信されている政治に関する情報も、アゴラも、虎の門ニュースも、保守系雑誌(will、hanada、正論など)もテレビに全くかなわなかった。テレビ奪還を成し遂げないと日本に変化はもたらせない。
DHC創業者の吉田嘉明氏がテレビ東京の大株主に登場するのは2016年3月からである。120万株4.17%保有で2016年3月に登場し、2017年3月までに20万株買い増して140万株4.86%保有となっている。
テレビ東京とDHCテレビが業務提携し、虎ノ門ニュースなどが地上波で流れれば日本は変わると思うのだが、みなさんはそう思わないだろうか?
gcnさんには断られてしまったが、金が余っている大投資家の方には是非、テレビ局の株を買って欲しい。片山さん、競走馬のファームの次はテレビ局いかがですか?
コメント
シンガポールで遊んでいる相続税逃れの大金持ち達に働きかけてはどうでしょうか?プライベートバンカー清武英利氏著に新富裕層の実態が書かれてました。
中央集権、特に税の首都圏集中が日本のすべての問題の原因です。それからアメリカに仕組まれた日本政治の複雑化によって迅速に変えれない仕組みが出来上がって改革が進まないことが問題です。
澤田さま
シンガポールに住んでいる人たちはこの問題に興味がないと思います。