メディアとつきあう際に生じる困難

現代においてメディアとつきあうのは難しい。

この記事では、メディアと付き合う際に生じる困難を指摘してみた。赤太字が言いたいことのまとめだ。

「日本のメディアが中国や北朝鮮に操られている」説は陰謀論なのか?

日本のTVメディアと一部の新聞が中国や北朝鮮、韓国等に操られていると一部の人は信じている。この仮説を補強する材料というか状況証拠のようなものはたくさんある。

しかし確かな証拠は無いようにも思える。

NHK出身の和田政宗氏も、TBS出身の山口敬之氏もメディア内部に第三国人の勢力が入り込んでいるのを見たとは言っていない。

保守論壇の江崎道朗氏はフェイスブックで「マスコミの大勢は反安倍ではない」とさえ言っている。

しかし地上波TVの偏向ぶりは、明らかに特定の方向を向いているように感じられ、「日本のメディアが中国や韓国、北朝鮮に操られている」説を陰謀論の一種と言い捨てるのは躊躇われる。

この「メディアが中国人等に操られている説」を決定的に補強するために、メディアの偏向を定量的に分析した結果(誰を擁護し、誰をけなしたか?偏向の頻度、報じられないニュースの種類)が欲しい。

メディア問題を考える際に生じる困難の一つは、自分が陰謀論にハマっているのかどうかわからなくなる、だ。

外国でも狂った価値観が優勢だ

日本だけが狂った報道、価値観の蔓延に苦しめられているのなら、それは敵対する国家がしかけた情報戦だと推定できてスッキリするが、現在の世界では日本以外の国でもトチ狂った価値観が猖獗を極めている。

リベラルとか人権派と言われる人たちの唱える価値観が、国を愛する既存の住民の日常生活を毀損するレベルで優勢を保っている。

自国民の生活を第一に考えようと呼びかける人たちは、偏狭・利己主義・レイシスト・極右などのレッテルを貼られる。

どこの国でも被害者(難民等)が大手を振って自分たちの権利を訴え、彼らを助けることを生業にしている人たちに国民が言いくるめられてしまう。

合理的な域を超えたリベラル的価値観が先進国を蝕んでいる。

外国でも狂った価値観が優勢だという事実は日本人の心理に微妙な影響をもたらす。

言葉の意味がずれていく

中国政府が大切にしている価値観を、中国政府は「社会主義の核心的価値観」として下記12項目を取り上げている。

富強、民主、文明、和諧、自由、平等、公正、法治、愛国、敬業、誠信、友善

これを見ると、「民主」や「自由」が採用されていて、まるで中国が西洋型価値観に向かっているかのように見える。しかし、中国政府がこれらの言葉を取り上げる際は、微妙に本来の意味からずらして使用しているように思える(これらの言葉はほとんど日本から逆輸入しているので、もともとの言葉の意味は日本と同じである)。というのも国家として行っていることとこれらの言葉の本来の意味とがあまりにも不一致だからだ。

現代社会には、言っていることとやっていることが違う現象が溢れているが、メディアが適切なツッコミを入れないので一般人は混乱するばかりだ。

先程も言及した日本解放第二期工作要綱には、価値観の意味をずらして浸透させるようにという指示がある。

人間の尊重、自由、民主、平和、独立の強調

ここに言う「人間の尊重」とは、個の尊重、全の否定を言う。
「自由」とは、旧道徳からの解放、本能の開放を言う。
「民主」とは、国家権力の排除を言う。
「平和」とは、反戦、不戦、思想の定着促進を言う。
「独立」とは、米帝との提携の排除、社帝ソ連への接近阻止をいう。

「人間の尊重」とは公に奉仕する精神を否定することではないし、「自由」とは本能のままに振る舞うことでもない。「民主」は国家権力への反抗ではない。「平和」=不戦でもない。

上記引用部の言葉の意味は、ずらされているが、現代社会では引用で示された用法がまかり通っている面もあり、混乱は深まるばかりだ。

フェイクニュースという言葉の意味もずらされている。既存メディアがフェイクニュースと言う場合、フェイクニュースはネット発のでたらめな噂話を指している事が多い。しかし、一般のネットユーザーにしてみれば、フェイクニュースとは、既存のマスコミが視聴者の意識を特定の方向に誘導するために放たれた手の加えられたニュースのことである。

保守という言葉でも意味のずらしを見たことがある。護憲派の左翼が自らを保守と名乗っていた。現憲法を守るから保守なのだそうだ。無知な若者ならひっかりそうな詐欺である。

現代では多くの言葉が意図的に誤った用法で用いられ、情報の受け手の混乱を深めている。

誰と誰が戦っているのか?戦局がどうなっているのかわからない

世論操作の仕掛け手は、世論操作を仕掛けているとは言わない。誰のために世論操作をしているのかも言わない。

だからメディアを疑念とともに受け取っている者は、情報の背後にどんな意図があるのか邪推することをやめることができない。

また情報は常時様々な方角を向いたものが流れており、どちらの側が優勢なのか判断できない。

メディアに接すれば接するほど、誰と誰が戦っているのか、戦局がどうなっているのかわからなくなる。

情報戦を戦うための教科書がない

日本には、情報戦を戦うために拠って立つ知識をまとめた教科書が用意されていない。

たとえば歴史認識。国と国とが利害のために自国に有利に歴史を書き換えようとしているが、自軍が戦う上での共通の知識の基盤が確定していない。

「この歴史問題についてはこの解釈がベストだ」という判断がコンパクトにまとまっている教科書があれば便利だがそういったものはない。皆が皆、自力で理論武装をして歴史を論じている。

情報戦そのものについても、大学の特定の科目では教えるだろうが、国民一般が習う教科になっていない。だから人によっては世論操作の存在すら知らない。

情報戦を戦うための知識が編纂されたコンパクトな教科書があるといいが、存在しないので、各人が各人で非効率な学習をしている。

※この記事を書いていいて、編集者・中川淳一郎が沖縄について書いた「「これまでの記事を撤回したい…」沖縄で私はモノカキ廃業を覚悟した」を思い出してしまった。中川氏は情報工作に対してウブだったようにしか見えない。

デジタルデバイドがひどくなっているのか、私一人意識が高いのか

印象操作、捏造、意味のずらし、報道しない自由の行使・・。

メディアがからむ問題はひどくなっていっているように思えるが、関心を持っているのはごく一握りの人だ。たいていの人はなんとも思っていない。

人によっては、世論操作も捏造報道も別にOKだと思っている。自分の明日の生活には関係がないから・・。

多くの人にとって政治の問題はどうでもいいことだ。ほとんどの人は明日の金のことで手一杯だ。だから安倍政権も経済重視をうたうのだろう。

政治に関心を持ち、フォローできるのは金や時間の自由がある人、年を重ねて次世代のことが気になる人、一部の意識が高い人だけだ・・。

だからこういった問題意識は普通の人とは共有されない。それどころか意識の高い痛い人間だと思われるのがオチだ

コメント

  1. ななし より:

    調べてみたら「日本のメディアが中国や北朝鮮に操られている」説はどうやら陰謀ではないかもしれません。
    10年ちょっと前にCIAの機密文書が情報公開され、「UFO等に関しての文書もある!?」などと日本のニュースでは出ていたようですが、その中にこのような文書もあったようです。

    中国の対日政治工作 70年代から本格化 CIA文書公開
    ttp://web.archive.org/web/20041209003630/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041022-00000011-san-int (webアーカイブのyahooニュース記事)

    この中に、「中国が1970年ごろから日本のアジアでの影響力拡大を防ぐために、あえて日本の内政に干渉し、日本の軍国主義や帝国主義の復活を宣伝するプロパガンダ(政治宣伝)工作を本格的に開始した」とあります。

    これが事実なら、実際に日本は内政からプロパガンダ工作を受けており、政治やメディアなどで見かけるおかしな言動や国益に反するような行為がなぜ起こるのか、またそのような人々の持っている視点や考え方がなにかおかしいということに、説明がつくのではないかと思っています。

  2. nextir35 より:

    >ななしさん
    日本にはスパイ防止法も無いことですし、いろんな国の思惑を受けた人が言論活動をしていると思っています。
    NHKを含む主要メディアにもそれらの人たちは影響力を及ぼしているでしょう。