一-1.平和戦の雄 ユダヤ民族

今世界は激烈な平和戦の真っ最中である。けだし我が国の非常時、世界の非常時というも、これを意味するものではあるまいか。私がここに平和戦というのは思想戦、宣伝謀略戦、外交経済戦等、見えざる戦いを指すのである。この各種の見えざる戦いが、今国際間ばかりでなく、一国内にも相綜錯して行われている。そしてこの平和戦の絶頂に達したところ、鉄火を発し、人類争闘の極点であるところの武力戦を展開し、地も空も硝煙におおわれている。

見よ、スペインを、共産主義、社会主義、無政府主義等、あらゆる左翼団体の合同軍の人民戦線と、ファシスト、愛国党、王党、キリスト教団等の右翼団体、すなわち国民戦線と、首府マドリッドを中心に同胞相撃ち、しのぎを削っているではないか。人民戦線にはソビエトロシアを始めとし、フランスチエツク等が加担し、国民戦線には、ドイツ、イタリー、オーストリア等が公然支援し、甚だしきはこれらの義勇軍同士が、スペイン人そっちのけで国際戦闘を続けている。スペインはまさに世界思想戦の白熱化の縮図である。

しかし顧みて我が皇国の現状を見る時、世界無比の国体を有する我が国は、果たして純日本の大思想に全国民が統一されているだろうか。はたまた、(第一次)世界大戦以後今日までの我が思想界は果たして如何。我が神聖なる皇国内に各種の思想相克するものなしと断じ得ようか。

それはさておき、現ソビエトロシアのトロッキー対スターリンの争闘もまた民族争闘なると共に、立派なる思想戦ではあるまいか。

「思想は何人も持ちうべき人間の最も偉大な武器である」と昔英国の宰相ピットが述べたが、幾多の平和戦中最も恐るべきは思想戦であろう。この思想戦にみるに、その性質の矯激なると共に、その破壊力および侵蝕力の最も強烈にして、社会人類に深刻なる影響を与えているものは、すなわちユダヤ民族に根源を発するところの思想であろう。

実にユダヤ人は世界思想戦のオーソリティーである。

ソビエトロシアを根拠とするところの、赤の思想戦の根源はユダヤ人マルクスであることは、あまりにも有名なことで、なおその実行者も同じく半ユダヤ人であるところのレーニンであり、トロッキーであり、ジェノヴィエフであり、ラデックであり、リトヴィーノフ等である。また逆にユダヤ人の有名なる人々、例えば詩で有名なハイネ、ドイツ帝政転覆に活動したりしリーブクネヒト、相対性原理で有名なアインシュタイン等の思想をみる時、いづれも非国家的左傾思想の多分に現れていることを我々は否むことができない。

さて現在世界にはその国家体系において、各種各様の国があるが、世界的の隠然たる勢力を有する一つの世界国家なるものを我々は認めないわけにはいかない。これがすなわちユダヤ人の世界国家なるものである。そこで世界の国々を表国家とすれば、ユダヤの見えざる国家は裏国家である。特に我が国は表国家中の代表的なるものである。したがって日本およびユダヤ国民はお互いに正反対の立場にあることを、我々は認識しておく必要があると思う。

ユダヤ民族は大昔アッシリアのために国家滅亡し、その後諸国の属領として幾変遷を経たが、西暦135年、ローマの追放政策によって、三々五々世界に流浪し、今ではおよそ人間の住むところ、ユダヤ人の姿を見ないところがないほど、世界中に分散してしまった。目下日本および支那だけでも1万5千のユダヤ人が活動している。

しかしながらユダヤ人は、エホバの神に対する熱烈なる信仰と、強靭なるその民族的伝統力と、燃えるような民族愛と、年と共にいよいよ熾烈なるところの故郷聖地に対する愛着の念とによって、その民族的結合は、その世界分散と共に、ゆるむことなくますます強固を加え、あらゆる迫害に抗し、日に富み、月に栄えつつ、ついに今では見えざる世界ユダヤ国家を形作ってしまった。すなわち裏国家とはこの滅亡して、形の見えざるユダヤの特殊国家を指したのである。

この人一倍強烈なる民族意識と、ユダヤ人のみ独り神に選ばれたるものなり、との自負心を有するユダヤの人々が、国家なくして存在するためには、我ら、国家を有する民族と異なった民族争闘の方式を選ばねばならなかったことは当然である。

そこで武器を持たない彼らとしては、先に述べた平和戦の方式を自ら採用したのである。従って彼らは独り思想戦の大家であるばかりでなく、経済戦においてはまさに世界の雄であり、また宣伝に、外交に、謀略に彼らの右に出づるものはないと思う。

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