三-3.フリーメーソンの国々

前述の通り王政復古のハンガリー、ファッショのイタリー、ナチスのドイツはフリーメーソンに解散を命じたが、米国はワシントンを始め代々の大統領マツキンレー、タフト、ルーズヴェルト、ウィルソンも現大統領ルーズヴェルトも皆フリーメーソン結社員である。また英国はフリーメーソンの元祖であるだけに、皇室以下その有力者は大部分フリーメーソン結社員で、英国の政策すなわちフリーメーソンの政策であり、英国が今日の大を為したのは、フリーメーソンの力によるものとさえ言われている。

フランスは現在全くフリーメーソンに占領された国家といっても過言ではあるまいと思う。昨年の2月パリにスタビスキー事件というのが起こって、当時各新聞紙上に報道され世界の人々を驚かした、この事件はロシア生まれのユダヤ人スタビスキーという男が、バイヨンヌ市営質屋の証券を偽造して、6億フランの金を詐取しておったことが、暴露されたのである。

しかし単に大金詐取が暴露したというだけなら大した問題ではなかったのであるが、有力な両院議員から内務省までその黒幕で、しかも内相兼首相のカミーユ・ショータンまでその背景を為し、スタビスキーは単にその手先に過ぎなかったというのであるから、騒ぎが大きい。この一味は、全部フリーメーソンの有力者で、ショータン首相のごとき、フリーメーソーの最高階級第33階の位を持ち、その全閣員は皆結社員であった。そしてこの事件から不可解なことが次から次へと生まれた、すなわちこの事件に関係したブランデス判事は、テイション市外の鉄道線路上に死骸となって現れるかと思うと、事件の中心スタビスキーはシャモニーの山の中で横死をしている。しかも司法警察そのものの事件取扱いがすこぶる不思議を極めた。そしてこの事件は結局闇から闇へと消え失せてしまった。

フリーメーソン結社員が、相連絡して国家に大損害をかけたのであるから、この事件以来仏国人民のフリーメーソンに対する憤激は非常に高まり、パリでは動乱まで起こりかけたが、なんとか治まった。これがためショータン内閣は崩壊したが、次いで起こったのはドーメルグ首相、これもフリーメーソンの手先で、外相バルトウ初め閣員は皆その結社員である。この内閣が倒れると更にフランダン首相内閣を組織したが、これまたフリーメーソン内閣である。

しかしフランス内閣のフリーメーソンはショータン内閣から始まったのではない、その前を遡って見れば、カイヨーも、ボール・ボンクールもステーグも、皆フリーメーソンの錚々たる連中である。もっともフランス革命そのものが、既にフリーメーソン革命であったことに想到すれば、フランス共和国の内閣のフリーメーソンであることを不思議に思う方が、むしろ変なことである。

目下フランスのフリーメーソン結社員数は約5万といわれているが、首相以下この5万人でフランスはフリーメーソンの目的に向かって左右されている訳である。

スタビスキー事件以来、フランスにはカトリック連盟、王党を初めド・ラ・ロック大佐の率いる在郷軍人団たる十字架団等の反ユダヤ、反フリーメーソンの団体が国民の間に結ばれて、活動を開始しているのであるが、この歴史的フリーメーソンの大磐石の土台は小動きしそうもない。

最後にフリーメーソンすなわちマツソン結社なるものは、我が帝国と相反するものであるけれども、元来秘密結社だけに、彼らの国家的あるいは世界的大波乱を巻き起こすような大計画は、最高統帥部にある上層階級の人々の画策するところであって、見習や徒弟の人々が、一々これに参加するわけのものではない。したがって下っぱの結社員は、平常単にフリーメーソンの人道的なる自由、平等、博愛の国際主義を宗教的に奉事しつつ、フリーメーソンの相互扶助の恩恵に、浴しているのみである。故に某氏がフリーメーソン結社員として、加入しているとしても、この人が直ちに我が帝国の転覆陰謀に参加していると考えるのは、過早であると思う。

なおこのフリーメーソンのほかに、ブナイプリスあるいはブネプリツトと称する結社がある、これは全然他民族を混じえないユダヤ人のみの、いわばフリーメーソンで、すこぶる猛烈なものであるが、目下ちゃくちゃく東洋に進出しつつある。

今や日本は、未曾有の国際的危機に向かいつつある折から、このフリーメーソンの活動に対しては、慎重に考慮すべきであると信ずる。

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