四-7.ユダヤ人の民族的自覚

少なくとも現在のユダヤ人は、たとえその身がフランスの大臣であろうとも、米国の富豪であろうともまた露国の共産主義者であろうとも、最早自らユダヤ人たるの自覚に生きていない者は一人も無い。すなわち彼らはドイツ国民であると同時に、ユダヤ人であり、アメリカ国民であると同時に、ユダヤ人であるのである。先年アメリカにおいてユダヤ僧侶アツシアー氏は、ユダヤ人のケヒラ結社の席上で「我々には米国の利益を一方とし、これに対し別にユダヤの利益存す」と述べて大喝采を博した。かつて私のパレスティナ滞在中ユダヤ首領は私に向い「現下世界においてユダヤ人たる自覚に生きざるもの一人もなし」と証言した。

ユダヤ民族主義の世界的指導者であるところの米国高等法院判事ルイス・デイー・ブランデイス氏は、次のように言うている。

「ユダヤ僧侶会議等において、ユダヤ正教に帰依する者に限り、ユダヤ人たることを認むべきであるという提案が、時々出されることがあるが、ユダヤ人なる字義に対する定義を定むるには、一部ユダヤ人の間で為しうるものではない。必ずやユダヤ人全般によりて、行わなければならぬものである。しかしてユダヤ人問題というが如き場合のユダヤ人なる意味は、いやしくもユダヤ人の血を受くるものはことごとくこれを含むべきものであって、宗教を変更することによって、これを免れることは不可能である。たとえいかなる学理と信条をもってするも、ユダヤ人の本能と行為とを有するものに対しては、他と区別するに、「ユダヤ」なる語を使用するのを拒否することは出来ぬ」

西部ロンドンユダヤ教会堂の教師モーリス・ジョセフは曰く、

「イスラエル人は確かに一大国民である・・・・何人と言えどもユダヤ人を一国民とみなしておって、これを宗教上の区分と誤認するものはない。ユダヤ人の国民性を否定することは、実にユダヤ人の存在を否定するものである」

西部ロンドンユダヤ民族主義協会のアーサー・デイ・レウイス曰く、

「・・・・たとえユダヤ人にしてキリスト教の洗礼を受け、全くキリスト教に化しても、その血統その気質およびその精神的特性は、決して変ずるものではない」

かの名声赫々たるユダヤ学者で、かつ著作家であるところのレナン・シモンは、その著「ユダヤ国民性の研究」において、宗教と国民性に関する重要研究をしているが、彼は、

「ユダヤ人の宗教はすなわち国民性であって、また国民性は彼らの宗教の主要部分である」という提言を為し、次のごとく述べている。

「ユダヤ教には教義を包含せずということは、しばしば耳にする所である。しかれどもこの言は真ではない。しかして救世主時代は、ユダヤ人に取りては、単に地上に平和をもたらし、人心を善ならしむることを意味するにとどまらず、世界をしてユダヤ人とその神とを、一様に認めしむることを意味するものであった。換言すればこれユダヤ民族の永遠を語るものである。しかしてその教義たるや何人もこれを受納し得べき、単純なる教会的のものではなく、実に一国民の過去および将来に対する一の信念にほかならない。

如何となればユダヤ教は、キリスト教のごとく個人の心霊を救うの使命を有せず、実に全観念はユダヤ国民の生存と結合せるものであるからである」

グラエツヅ氏はユダヤ人中の一大歴史家で、その紀念著作は世間の標準たる権威あるものであるが、氏は曰く、

「ユダヤ人の歴史は彼らがその国家を失いたる後といえども、国民的性質を有し、決して単なる信条または教会の歴史の如きものではない。吾人の歴史は単に文学的事件の年代記の如きものとはその趣きを異にする」

歴史上有名なる人物で、古よりのユダヤ計画を具体化するに貢献したモーゼス・ヘスは曰く、

「ユダヤの宗教は何物よりもまずユダヤの愛国主義である」

「事実ユダヤ教は、一の国民性と同様自然の基礎を有し、他の宗教の如く、単にその信仰を変ずることによって、この基礎を捨てることが出来ない。ユダヤ人は自己の人種に属する。しかしてこのことは彼自身またはその祖先が、宗旨変更者たりしことは、毫も関係せざる所である」

「ユダヤ人はその欲すると欲せざるとに論なく、ことごとく同国民として堅く結合している」

古き人々の言葉はこのくらいにして、次に1920年米国ユダヤ民族主義者協会から出版されたジェーシー・イー・サンブター氏の筆になるものの一部を紹介しよう。

「ユダヤ人の国民的宗教の名称すなわちユダヤ教は、その国民的性質から生じてきたものである。たとえ無宗教のユダヤ人でも、依然ユダヤ人であって、唯ユダヤ人なる名称を拒否するもののみが、かろうじてユダヤ人として尽くすべき忠順を為さずにすむのである」

高等法院判事ブランデイス曰く、

「ユダヤ人は三千年間多少他の血統との交わりあるいはもちろんであるが、迫害偏見等の結果、他人種がユダヤ人と混血したことは極めて少なく、いかなる人種といえども、ユダヤ人種ほど純粋なるものは他にはない」

ユダヤ人記者アーサー・デイ・レウィスは、その著「一国民たるユダヤ人」中に述べて曰く、

「ユダヤ人は本来一国民にして、他の国民にも優りて一国民たるの要素、すなわち人種的要素を保持しその特質を有する、実に英国人が英人なる以上に、ユダヤ人はユダヤ人たるものである」

その国籍の如何を問わず、ユダヤ民族がユダヤ人としての自覚に生きる証言はこのくらいにしてやめよう。

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