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元日銀マンが考える預金封鎖対策(追記あり)

      2017/01/14

2007年に書かれた「元日銀マンが教える預金封鎖」

最近NHKが取り上げたことで注目をあびることになった預金封鎖ですが、2007年時点で、日本の財政悪化から預金封鎖がありうるとした著作が出ていました。著者は、元日本銀行勤務の本吉正雄氏です。ウェブサイトを見る限り、大阪大学→日本銀行→ベネッセコーポレーション→松井証券→作家という経歴のようです。タイトルは元日銀マンが教える預金封鎖です。著書の内容を参考に、まずはかつての預金封鎖がどのように行われたかを見ていきたいと思います。

第二次世界大戦後の預金封鎖

第二次世界単線中は、戦費をまかなうために日本はがんがん国債を発行していました。国債を日銀が引き受け、紙幣をどんどん刷ったことから戦後の日本はハイパーインフレとなりました。著書によれば、昭和21年ごろ、物価が三か月で10倍になったそうです。

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というわけで、当時の日本は、紙幣の流通量を統制することと国の借金をチャラにすることを行う必要があったんですね。そのための方策が、預金封鎖&新紙幣切り替え&財産税です。

昭和21年2月16日に公布された金融緊急措置令等の内容は下記のものでした。

  • 現在流通している紙幣の通用は3月3日までとする。
  • 新紙幣と旧紙幣の交換期間は2月25日から3月7日までとし、交換限度は一人につき100円。それ以上の旧紙幣は預金として封鎖。
  • 封鎖預金からの現金引き出しは、世帯主ならば一か月300円まで、その他の家族は一人につき一か月100円まで。
  • 3月3日午前零時現在で財産調査を行い、財産税算定の基礎とする。

紙幣を新紙幣に切り替えることで、紙幣の流通量を制限し、預金封鎖をしたことで、その後の財産税の徴収をすみやかに行えるようにしました。このときの財産税の税率は、累進課税方式で、資産1,500万円超だと95%でした。すごいですね。戦時国債および戦時補償も日本は支払をやめました。国債の踏み倒しです。このようにして、戦後の日本は財政赤字とハイパーインフレを乗り切ったのでした。

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ちなみに、このとき、旧紙幣で株を買って売却すると売却代金を新紙幣でもらえたので、株取引が預金封鎖の抜け道となっていたそうです。

預金封鎖が行われる前提は、国が借金をしすぎて返せない状況になってしまうことです。では、戦前の債務残高がどれくらいだったかというと対GDP比で204%でした。それが、1950年時点で14%にまで縮小しています。後で紹介する小黒一正氏の「預金封鎖に備えよ」では、このような短期間に債務残高が対GDP比で減少したのは、財産税のおかげというより、ハイパーインフレの影響が大きかったと分析されています。

インフレで物価が10倍になれば、100億円持っていたとしても、その価値は10億円になります。90億円は課税されたようなものです。

現在の日本の政府債務残高がどれくらいかというと、2016年で対GDP比232.4%です。世界一位の対GDP比での政府債務残高となっています。

 今後の預金封鎖に対する対策

本吉氏は、今後来るかもしれない預金封鎖&財産税に対する対策として下記を挙げています。

1.日本以外にある外国の銀行に口座をもつ(外貨預金もしくは外国株)

外国の銀行には日本の法律が及ばないのでこれは安全だと推奨されています。しかし、おろしてきたお金を日本で両替する際に、個人向けの不利な為替レートを国が創設する可能性を本吉氏は挙げています。アルゼンチンが通貨危機に陥った際は、為替レートが二重レート制(通常の為替レートのほかに、国民が両替時に使う為替レートがある)になっていたとのことです。これに対する対策としては、円で外国の銀行に預金するという手があります。HSBCは円で預金ができました

しかし何だかんだいって信任のある外貨(ドルやユーロ)で外国に預金として持っておくのが最も安定した対策になると思います。

2.海外へ移住する

海外移住はハードルが高いと感じる方もいそうですが、国によっては、少ない資金でも居住ビザを取得することができます。アジアであれば、マレーシアとフィリピンの2国がビザ取得のハードルが低いです。

海

3.財産として補足されないような物のかたちで財産を保有する

本吉氏は、不動産や金、国内の銀行預金には反対しています。なぜなら政府に残高を捕捉されうるからです。残高を捕捉されれば財産税を課税されるでしょう。しかし、古本や切手、骨董品という換金可能な趣味の物という形で財産をもっておけば財産税は逃れられるのでは?という案を挙げています。

宝石などの小さな貴金属もそう簡単にはみつからないでしょう。

4.外貨をタンス預金する

通常の預金だと政府に残高を捕捉されますが、タンス預金なら捕捉されません。しかし、円でタンス預金をした場合、戦後のように新紙幣に切り替えられるとどうしようもありません。ですので、外貨でタンス預金を本吉氏は推奨しています。

 将来の危機に対する対策をこうじることは被害妄想なのだろうか?

預金封鎖&財産税対策を今から練っておくことは妄想狂のやることなのでしょうか?ひょっとしたら、日本の経済にはこれといった変化がなく平穏に生活できるのかもしれません。

しかし多くの過去の経済データは日本の今の状況をヤバイと告げています。せっかく株式投資で資産を作り上げても、とんでもない累進課税方式の財産税をとられ、国債の償還にあてられてはたまったものではありません。コツコツ準備しておいても損はないと思います。

2016年末頃から、日本のネット論壇で、FTPL(Fiscal Theory of the Price Level)という経済理論の実施可能性が検討され始めています。これは簡単にいうと、政府が放埒な財政を行い、わざとインフレを引き起こすことで政府の実質債務を減らせるのではないか?という政策です。この政策のいいところは、増税や預金封鎖と比べて国民感情の反発を招きにくい点でしょう。悪い面は、インフレが暴走してしまう可能性があることです。

何にせよ、日本の財政赤字に対する対策として、政府が取りうる手段は下記3つしかありません。

  1. 増税・増社会保険料で政府収入を増やし財政を良化させる(預金封鎖も一種の財産税ですのでここに含んでいいかと思います)
  2. 政府支出を減らし財政を良化させる(現在の政府支出で最も多いのは社会保険支出ですのでここが削られるでしょう)
  3. インフレで実質債務を減らす

それぞれ対策はありますので、どう備えるか自分なりの対策を練っておくといいでしょう。

預金封鎖関連資料の紹介

まずは本記事を書くきっかけになった「元日銀マンが教える預金封鎖」です。第二時代戦後の日本で起こった預金封鎖とその抜け道について書いてあります。2004年の本で絶版のようです。中古でお求めください。

 

次は財政学者小黒一正氏の「預金封鎖に備えよ」です。小黒氏は一橋大学経済学研究科で博士課程を修了した後、財務省で働いています。現在は法政大学経済学部の教授です。この経歴から分かる通り、アカデミックな理論にも実務にも通じている方です。

「預金封鎖に備えよ」では、日本で行われた預金封鎖について学べる他に、なぜ現在「預金封鎖に備える」必要が出てきているのか、日本の財政状態について詳細な説明があります。

最後は、漫画です。日本の老後についての本ですが、過去におきた預金封鎖についても紹介されています。活字が苦手な方はこれを読むといいでしょう。

 - エッセイ

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Comment

  1. 南和良 より:

    いつも素晴らしい内容をありがとうございます!
    自分も一時、期金融封鎖のことを調べましたが、ここまで深く調べる事はありませんでした。
    ちゃんと現状把握し、対策することが必要ですね!
    今から出来ることをどんどん実行します^_^

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