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自由主義社会を支えるのは愛?

   

ここ数年注目株の歴史家・渡辺惣樹氏と宮崎正弘氏の対談本「激動の日本近現代史 歴史修正主義の逆襲」に面白い一節があった。

渡辺 これは誤解を生む物言いかもしれませんが、共産主義あるいはリベラリズムと言ってもいいイデオロギーに毒されている人たちは、母親の愛情を知らない人たちに多い傾向なんじゃないかと、この頃ふと思ったんです。それは西尾幹二さんの『少年記』を読んだからなんですが。

(中略)

宮崎 結局、左に突っ走って暴走して、火炎びんも投げていたような人たちのなかでも、転向している人たちの多くが正気にもどったのは、やはり母親の存在なんですね。林房雄は、「新人会」に所属していた本当の極左で、日本に革命を起こさなくてはどうしようもないと言っていた。その新人会でみんな合宿しているところに大分県から母親が出てきて、給食を作る、その姿を見て林房雄は目覚めるわけですよ。「あぁ、左は間違っているんだ」と。

母親の愛情の有無が、その人の政治的志向を左右するのかどうかわからないが、自由主義社会の仕組みは基本的に楽観性と信頼に基いている。

政治家として栄華を極めても、次の選挙では落ちるかもしれない。企業家として成功しても、ライバル企業にいつか負けるかもしれない。自由主義・民主主義・市場経済の仕組みには未来への不確実性が存在するので、自分の将来への楽観や、同国人への信頼(きちんとした政治家を選んでくれるだろうという信頼)、失敗したとしても次回はそれを修復できるだろうという未来への期待を持てないと維持できない。

一方、中国やソビエトなど共産主義・社会主義国の歴史に通底しているのは、他者や他国への不信や共感の欠落である。そうでないと自国民を千万人単位で殺したりできないだろう。china2049という著作を読んでも、米中の国交が樹立した後、西側社会は中国が民主化しルールに基づいた市場経済を受け入れることを期待したが、中共幹部の方針は韜光養晦(とうこうようかい)で、力をつけるまでは西側社会の意に沿うかのように振る舞っていただけだった。

というわけで、現代の自由主義社会を維持するには、人々の心の中に愛情や他者への信頼、未来への希望が備わっていなければならない。

※最近復刻されたジュディス・リッチ・ハリスの「子育ての大誤解」によれば、人の性格に親の子育てが長期的に影響を及ぼすことはないそうだ。だから、誰かが極左の活動家になってしまったからといって母親を責めるのは間違いだろう。

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弱者のずるさを教えるべき

この本で渡辺氏は、「弱者はずるい」ということを教育の場で教えるべきだと主張しているがこれも面白いので引用する。

宮崎 日本もアメリカも世論はポリティカル・コレクトネスの前にリアリズムが封じこめられている。日本の教育というのは、人間は”すべていい人”であり、世界中が平和を望んでいるというありえないことを前提に教えてきた。ですから人間の悪を見つめるような、平和を脅かすような発言をしてはいけない。ポリティカル・コレクトネスに関していえば、ある意味日本のほうが酷いところがありますね。日本はアメリカのようにマスコミ主導じゃなくて、自主規制の国である分だけ。もともとあった日本に自主規制の言論はおそらくアメリカのポリコレ運動よりも早いのではないか。

渡辺 そうですね。黄禍論に日本がいかに苦しめられてきたか、また国際政治の現場でいかに悪用されてきたか、前に見てきたわけですが、人種差別思想というのは、結局は弱い人間はずるい、弱い国もずるいということを示すものです。これは大事な視点だと思うんです。ポーランドもチェコスロバキアもオランダも、とにかく小国はずるい。ずるくなければ生存できないのです。だからそれを善悪で評価しようとは思いません。日本人のメンタリティは、リベラリズムが保守のなかにも入っていて、「弱きを助け強きを挫く」というような弱者は助けなければならないというような思想がありますね。

宮崎 それは大正リベラリズムのときからそうですよね。日本人はとにかく弱い者いじめが嫌いなのですよ。

渡辺 それはいいのですが、問題なのは「弱い者はずるいんだ」という視点が抜け落ちているところです。(中略)弱い者にはやさしくしましょう。しかしずるいから気をつけましょう。そのくらいの教育を日本はしていかないといけないのです。

上述のような視点の他に、義務教育の歴史の授業では習わないような事柄がたくさん紹介されているのでおすすめの著作である。

たとえば、

  • 西郷隆盛はいわゆる「征韓論」など言っていない。西郷は朝鮮の非礼を糺すため、道義と礼節を説くために、単身朝鮮に乗り込もうとしただけである
  • アメリカの南北戦争は奴隷解放の是非を争ったのではなく自由貿易か保護貿易かを争って起こった
  • 桂・タフト協定で、日米はフィリピンと朝鮮をバーターにした
  • 張作霖爆殺は日本軍ではなくロシアの諜報機関がやった
  • 伊藤博文を暗殺した安重根のバックにはドイツがいた(これは渡辺氏の推理)

などである。

 - 本の感想, 歴史

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