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日本が貧乏なのはほぼ経営者のせい!?会社員時代の経営者の思い出

      2017/01/18

GDPは、GDP=人口×生産性 と近似することができる。日本の生産性は諸外国とくらべて異常に低いそうなので、生産性を上げていけば経済成長もまだまだできる。

という内容のことをデービッド・アトキンソン氏の「新・所得倍増論」で読んだ。氏は、日本での生活が長いイギリス人で、元はゴールドマン・サックスで日本企業のアナリストをしていた。氏の主張をざっくり読んでみたい方には東洋経済オンラインにおける氏の連載がおすすめだ。

デービッド・アトキンソン 記事一覧

日本がめちゃくちゃ経済成長できるのであれば、自然と税収も増えるだろうから、財政赤字問題にも目処がつき、老人に払っている社会保障費をカットしたり、増税したりしなくて済むので皆嬉しいだろう。アトキンソン氏は日本はGDPを770兆円まで増やせると試算している。現状の1.5倍だ。ここまでGDPが増えれば75兆円は税収増加が期待できるとのこと。これだけ税収が増えれば財政が一気に黒字になる。

さて、氏の著作によれば日本経済の足を引っ張っているのは経営者だそうだ。

「日本政府はできることをほとんどすべてやってきましたが、効果が出ていない」と書いているが、さすがにこれは言い過ぎだろう。日本には奇妙な規制が残っていて、それが経営者の足を引っ張っている面も多分にあるはずだ。たとえば、薬の販売時に薬剤師に説明を義務付けたり、農業法人に農業関係者以外の者が2分の1しか出資できなかったり、金銭解雇が労基法に明記されているのにできなかったりといったことだ。

しかし経営者に問題が多いのも事実だろう。

アトキンソン氏の生産性向上のための提案は、政府がGPIFを通して、上場企業の経営者に時価総額増加のプレッシャーを激しくかけさせる、というものだ。確かにこの作戦は悪くないだろう。容易に実行できる。時価総額を上げられなかった経営者はどんどん首にし、時価総額を上げることができた経営者には自社株の付与などを通して大きな報酬を払えばいいだろう。

氏の著作には、日本の経済がイケていないことを示す様々なデータが載っており一読に値する。

私が見た経営者の思い出

アトキンソン氏は日本企業の経営者が全然ダメだと指摘しているが、この記事では、私が会社員時代に見た経営者の思い出を記してみたい。

いい経営者もいれば、悪い経営者もいただろうか?いや、悪い経営者しかいなかった・・青太字がその経営者を見て得た教訓的なものである。

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成長とかどうでもいい、今の暮らしが守れればそれでいい

非上場企業で老舗の建材メーカーで働いていた時、経営者一族は上記のように考えている節があった。日本の建築市場なんて縮小しているし、苦労して成長なんて求めたくないよ・・、

かつて海外進出を目指してアジアの某国に子会社を作ったらしいが、その国の人に騙されて会社のハンコを盗られ、会社ごとパクられたとのことだった。その時、子会社の社長だった人物は、経営者一族のメンバーだったので、私が入社した当時は日本で普通に役員をしていた。同族経営企業にありがちなことだが、一族の誰かが致命的なミスをしたとしても強く責めることができず、なぁなぁで済まされてしまうのだ。

海外進出に失敗したせいもあって、その企業が努力を傾注したのは経費削減だけだった。「いかに経費を節減するか」に血眼だったので、費用の一要素である社員の給料・福利厚生は年々下がり、残業代はカットされ、有給も使えない雰囲気になった。当然、社内の雰囲気も陰気だった。

やはり社員が元気な雰囲気で働くことができ、給料を上げてもらうには企業が成長して行かなければならないのだと今振り返って思う

その企業は相続対策の一環で、もともと1つだった会社を販社と製造会社の2つに会社分割をした。これに関して、コンサル会社に結構な手数料を払い、また管理部門は余計な工数を負担させられたが、企業価値自体は全くあがっていない。相続のために非合理なことをしがちなのは、非上場企業の特徴ではないだろうか。

また相続準備のために、個人株主から強制的に株を買い直したことがあった。簿価で買い取ろうとして株主から文句を言われ「なんて強欲なんだ」と怒っていた。30年以上前に出資した人から強制的に買い取る価格が簿価!結局多少上乗せして買い取ったはずだがほとんど簿価の2倍程度だったように思う。

これらの行いを通して、非上場のオーナー企業のオーナー一族は基本的にやりたい放題であり、社員(少数株主も?)はやられ放題だということも学んだ

ちなみにここの経営者が会社の金で株式投機をやっていたので、私は株取引を間近で見ることができた。経営者のおばあちゃんは、株で利益が上がると自分のボーナスを増やすように役員会で主張したが、損をした時は黙っていた。最強の投資家である。

またこのおばあちゃんや、その兄弟のおじいちゃんはネット系の証券会社の手数料が、対面系と比べてとても低いということを知らず、仕手株の売買を電話注文で行っていた。しかも、直接証券会社に電話するのではなく、経理部長に内線電話で売買の指示を出し、経理部長が証券会社に電話をするのだった。SBI証券などすでにがあった時代の話である。

N村やMずほの営業にすすめられて5%の手数料で仕組債や投資信託を買っていたが、投資信託がタコ足で配当を出しているということは説明しても理解できていなかった。

社内のリソースを自分の勢力を強化するために使う男

次に転職した先は上場企業の子会社だった。まだ設立されて間もない時期だったのでガバナンスはゆるゆるだった。この会社をD社と呼びたい。

D社の社長をやっていたのは、オーナー一族ではなかった。D社の親会社は、比較的規模の大きな上場企業で、オーナー一族以外の者でも頑張れば役員になれる会社だった。子会社の社長は、出世コースを走っている親会社の中堅社員が任されることが多かった。

設立から数年後に私は入社したが、D社は増収増益を続け、イケイケだった。そのせいもあったのか、D社の社長は接待交際費を湯水のように使うのだった。経理の仕訳上は、「接待交際費」だったが、社長が使う飲食代金は取引先をもてなすために使われることはめったに無かった。誰をもてなすために使われたかというと本社(D社の親会社)から出張してきた社員をもてなすためだったり、D社内の自分の勢力下にある部下と飲み食いをするためにもっぱら飲食代は使われていた。

部下と地方に出張に行き、拠点に戻る。すでに夜遅い。「よし、疲れたしちょっと寿司でも食ってから帰るか」こんな風に社員同士のただの飲食に会社の経費が使われていたのだった。セクシーな女性が横についてくれるお店も非常によく使われていた。

無駄に株主の利益を削っていると私は思っていたので、D社の監査役(非常勤の監査役で、普段は親会社の社員をやっていた)に「こんなんでいいんですか?」と聞いてみたが、監査役は、「俺、ここの監査役やることで追加の手当とか貰ってないし・・」というばかりで同世代の出世競争の最前線を走るD社の社長に苦言を呈することはなかった。

パブ

D社の社長は接待交際費に太っ腹なだけでなく、社員の給料にも太っ腹だった。社内には給料規程や昇進のルールというようなものは無く、給料が上がるかどうかは社長の一存によった。

社長からしてみれば、そういう風にしておけば社員の皆が自分の言うことを聞くし、社員の給料を上げてやれば恩を売ることもできるので全く問題はないのだった。給料は自分の懐から出ていくわけではない。株主の懐から出ていくのである。社長は上場している親会社の株を持っていなかった。

私もそのご相伴にあずかって、こんなに貰っていいの?と思える額を貰うことができた。その高給(?)を株式投資に回し私は専業投資家への道を歩むのだった・・。

社員の誰かが社長と交渉して、給料をXX万円まで上げることができたら、その情報は社員間に共有され交渉の道具にされた。「社長、なんで僕の給料だけ△△円なんですか?」というわけである。

親会社で役員をやっていた男が、D社のお目付け役として会長職に就いていて、年に数回出張に来ていた。会長は、D社の人間に今年は売上高○○円を達成するように!と申し渡すのだが、D社の社員たちはそれを逆手にとって、宴席で酔った会長にこう言うのだった。「会長、売上目標がんばりますんで、達成したら特別ボーナス☓☓円を社員全員にくださいよ~」社員全員のボーナスということで、宴席にいる全社員(小さな会社だったので一つの会場に全員入れたのだ)から会長コールが起きる。酔っていることもあるし、会場の全員にお願いされれば断りきれないので会長は結局OKを出してしまう。

こうして給料だけでなくボーナスも私達は余計に貰っていた。

もちろん会長もオーナー一族の者ではないし、親会社の株を持っていない。特別ボーナスを約束したからといって自分の懐が痛むわけではない。株主の懐が少し痛むだけだ・・。

社長も会長もとんでもない男に見えるかもしれない。しかし両者とも外国の大学を卒業して入社し、同期よりずっと出世しているエリートなのだ。ただ適切な目標(インセンティブ)が設定されていなかっただけだ

社長に課されていたのは売上目標だけ。利益目標はなかった。だから交際費もたくさん使うし、社員の給料もどんどん上げる。適正なガバナンスを根付かせるようにという目標も課されていない。社長を監督するはずの監査役・会長ともに適切な目標(インセンティブ)が設定されていなかった。だから社長の経費の使い方を咎めるより、仲間になって一緒に会社のお金で遊興してしまう。

私はこの会社で適切なインセンティブが経営者には必要であるということを学んだ。普通の会社員は、企業価値の増大なんて考えていない。いかに社内で出世できるか、自分の仲間を増やしていけるか、会社の金で遊べるかをもっぱら考えている。

ちなみにD社の兄弟会社の社長をやっていた男は、企業価値に敏感だった。だから不要な社員は解雇するし無駄な経費は使わせない。その結果、その男の下々の者からの評判は散々だった・・。

経営会議でも貸借対照表は出さない男

次に働いた企業は、非上場の製造業で同族経営だった。会社を起こした創業者がかなりの年配だったが会長として代表権を持っていた。が、社長業は長男が行っていた。そして管理部門の長は次男が務めていた。

この企業は不思議な企業だった。赤字で黒字になる見込みのない米国子会社を抱えているのに一向にたたむ気がないのだ。上司が言うには、その国に会社を持っていれば、グリーンカードを持つことができるので、そのステータスを失うのが惜しいから廃止しないのではないかとのことだった。

米国企業の経営を任されていたのはしたたな爺さんだった。毎年赤字の責を問われて日本にやってくるのだが、来年こそは黒字にすると英語でまくし立てて、同族役員たちを説得してしまうのである。実際の会談の様子を見たことはないが、おそらく役員たちは自分が手を汚すのが面倒だったのではないかと思う。特に創業者の息子が二人だったのが悪かったように思う。一人なら、子会社が毎年赤字を垂れ流していれば「俺が相続する予定の財産が減っていくぅ~」と危機感を持っただろうが、二人なので、「会社の財産ったって、俺だけが継ぐわけじゃないし何より親父がNOと言わないならどうでもいいや」と思っていたのではないか。

私はこの企業で経営会議向けの資料などを作成していた。そして不思議に思っていた。同族一族以外の執行役員も含めた役員会議で使う資料に貸借対照表が無いのである。

というのも貸借対照表には、同族役員が社宅として使っている豪華家屋が固定資産のところにデカデカと出ていたからである。どういうスキームなのかわからないが、アジアの子会社がその不動産の保有者になっていた。

この会社の役員も上述の非上場企業の役員と同様に、「今の暮らしがずっと続けばそれでいいよ~、めんどくさい変化は結構」と思っていた節がある。

同族経営の企業は、親族複数で経営される場合、役員間の責任が曖昧になり黒字でさえあればいいやとなりがちである。特に2代目以降の代ではそうだ。

同族役員

社長「君も株やれば!?」 俺「野菜のカブしか買えないんですけど・・」

最後に書くのは20代前半の頃に働いていた企業だ。創業社長は私が入社してすぐに亡くなってしまった。独身だったので、後を継ぐ身内は無く、主要取引先から社長が派遣されることになった。リフォーム業などをやっていた企業だった。

主要取引先というのは、有名なインフラ系の上場企業だった。新しく来た社長は、高卒でその上場企業に入り50代まで勤め上げ、最終的に取引先である我が社の社長としてやってきたのだった。

上場企業から来た男と言っても、別に経営について何か知っているわけではない。人事や経理についても別に知らない。

社長は、この企業にやってきて人生で初めて採用面接の最終決定者をやったのだった。ちょうど事務社員が足りていなかったのだ。

6人と面接をした社長は、翌日の朝礼で興奮気味に「全員が素晴らしい候補者でね、全員採用しようかと思ったよ」と語っていたが、その時採用された事務員の一人は、後に社員間で「白痴ではないか」と疑われるほど抜け作だった。外回り候補として採用を決めた新卒の男子は、親がヤクザで、携帯には一目で不良とわかる弟の写真が入っていた。

社長はインフラ上場企業からの出向として働いていたので、給料は上場企業の社員だった頃と一緒だった。確か月に50万円くらいだったと思う。そして手取り18万円だった私に「社長なのに給料が安くてさ、いやになっちゃうよ・・」と愚痴を言うのだった。さらに続けて「最近はさ、株の収入の方が給料より大きいもんね、どう、君も株買ったらいいんじゃない?」と無邪気にすすめてくるのだったが、手取り18万円で家賃4万円代のアパートに住む私には「野菜のカブ」しか買えなかった。一流上場企業から出向でやって来た社長は、下々の者の給料や暮らしっぷりを理解していない。

この企業は営業部長だった方も変わっていて、セクハラ・パワハラ発言が大好きな、肥満でスキンヘッドの、普段はコワモテだが酔うとオカマちゃんになるという噂のバツ3男だった。英語のニックネーム(?)を持っていて、機嫌がいい時は「俺のことをチャーリーと呼べ」と言っていた。ある不動産会社と懇意にしていて、そこの新築住宅にエアコンを納入するのだが、いつも赤字販売だった。しかし売上至上主義、利益は不問という企業体質だったので、そういった売上を計上してはドヤしていた。

営業部長

ある日、営業部長が車で遠出をする際に人足として着いていったことがあるが、車内で「俺、実は刀とか集めるのが趣味で家にいっぱいあるんだよね~」と打ち明け話をしてきた。営業部長にむかついたある日、警察に電話してみたような気がする。はっきりとは覚えていないけれど、「でもそれ、君の上司でしょ?」と迷惑そうな返答をされた記憶がある・・

営業部長がめちゃくちゃな男であることは、新社長にもじょじょにわかったようで、翌年から営業部長は支店長となって別の支店に飛ばされた。不遇を嘆いた営業部長は何をどう考えたのか知らないが、設備屋として独立してしまった。勤め先からエアコンなどの住宅設備機器の設置を請け負うのである。

元営業部長は特に設置に詳しかったわけではないから、じょじょに仕事を委託されなくなり消えてしまった。

そういえば、元営業部長は、ヤクザとつきあうのも好きだった。会社が入居していたマンションにヤクザが住んでいたのだが、彼にいい顔をしようとしていた。このヤクザは、武富士について書かかれた本に事件屋として名前が出てきていた。しかし、数年前にこのヤクザのマンションの部屋は火事で燃えてしまい、彼も死んだかどうかしたと聞いた。

曖昧な話が多いのは、もう15年以上も前のことだからだ。自分で書いていて、おとぎ話のような、夢の中の話のような気がしてくる。

この企業で得た教訓は、下請け企業に勤めていると、元請けからどうしようもないのが社長として派遣されてくることがあってつらい、だろうか?

私の少ない会社員経験からすると、アトキンソン氏の主張は正しいようである。

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