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人の死をネタにしていいんですか?いーんです!シックスサマナ第27号感想

   

※投資とは全く関係がない内容です。

井上さん死す

電子書籍シックスサマナ27号が出版された。井上さんが逝去したこともあって、「死」がテーマだ。表紙には「野良犬のように死ね!漢の逝き様」とある。

糖尿病で失明している井上さんを、クーロン黒沢氏らがカンボジアに引っ越すのを手伝ったと書いてあるのを以前読んだ時は大丈夫なのかな、何かあった時責任取れるのかなと考えた。

日本に住んでいれば、医療も整っているし、糖尿病で盲目でもそこそこ長く生きられる。カンボジアに居を移すのを手伝うからといって、クーロン黒沢氏らがつきっきりで井上さんの生活の面倒をみるわけではない。普通の日本人的感覚からすれば、井上さんが短期間で死んでしまったら、それが本人の意志だったとはいえ、責任のようなものを感じてしまうだろう。

実際、井上さんはカンボジアに2013年に移住した後、3年後に死んでしまった。

クーロン黒沢氏は、きっと今回の井上さんの死には感じ入るものがあったのではないかと思う。

「普通の雑誌」であるならば、今回の井上さんの死を厳かに扱い、何らかの自粛をしたのかもしれない。しかし、今号のシックスサマナでは、真正面から井上さんの死を扱い、どのようにして死んだのか、死後、どのように荼毘に付されたのかが克明に書かれている。井上さんが死ぬ直前や病院で救命措置を受けているところ、死体となってしまった後の写真も掲載されている。こころない読者の中には「クーロン黒沢は、人の死も自分の本のネタにしてしまうのか、なんて不謹慎なやつだ」という反応をする者もいるかもしれない。

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しかし、人命がとてつもなく尊重されるべきスペシャルなもので、軽々しく扱ってはいけないというのはある種のフィクションなのだ。地域限定・時期限定の価値観といってもいい。死んだ井上さんも、クーロン黒沢氏も、そういう世界では生きていない。

井上さんが生前に書いたという「読者が引くかもしれない」と注釈されたエッセイが3本今号のシックスサマナに載っているが下記のような内容である。

聞かなければよかった話・・・借金のカタにスワイパー村に売られてきたベトナム人女性を身請けする行為が、日本人の間で一時期流行した。しかし、娘を売春宿に売った親の中には悪い人間もいて、身請けされた娘を何度も売春宿に売り直して金を稼いだ連中もいた。何度も戻ってくる娘の顔は覚えているので、そういった娘を身請けしようとする日本人がいたら止めたほうがいいとアドバイスしたが、白馬の王子様になりきった日本人には効き目が無かったので黙ることにした。

ナミエちゃんの思い出・・・スワイパー村に安室奈美恵をさらに可愛くしたような少女がいた。美人だが価格は安かったので売れっ子だった。いつしかその少女の体にはオデキのようなものができて電気を消してプレイするようになった。しばらく時間が経った後、再会した彼女はエイズで骸骨のようにやせ細っていた。井上さんは、このエッセイの巻頭で「十人の男に身体を売る女はただの娼婦だが、千人の男と寝た女は天使になる」という言葉を引いている。

貧乏はもっと痛い・・・スワイパー村では処女とヤルのが人気だった。処女は人気で高値がついたため、非処女を処女と偽って客に提供する売春宿もあった。好き者の日本人の中には、そういった偽処女を鑑定するのがうまい人がいた。処女を売春で失った少女に「オマンコ痛くなかった?」と翌日聞くと「穴は痛くない。貧乏はもっと痛い」と返答されたことがあった。ある日、貧しいベトナム人女性に妹の処女を高値で買ってくれる日本人を紹介してくれと頼まれたが、カンボジア警察に見張られていたため断った。するとその妹は、誰かの養子となって欧米に送られていった。こういう場合、処女だけでなく臓器も売られてしまうことがあるので、心配して姉に連絡は取れているか尋ねたが、しばらくして音信不通になってしまった。処女売りを仲介してあげればよかった・・

「人命は限りなく尊重されるべき」という価値観の社会で暮らしている人間には、上記の話は不愉快なものに映るかもしれない。しかし、「人命は尊重されるべき」という理念が通じていない世界も存在する。そこで、個人がいくら頑張っても「人命の扱われ方」は変わらないだろう。それならば、その世界の流儀に則って振る舞った方が、その世界の住人にとって親切になることが多々ある。

井上さんは上記エッセイのような価値観の世界で暮らしていて、それを心地よく考えていたし、雑誌を主催するクーロン黒沢氏も同様な世界観を共有して物書きをやっている。であるならば、少女が売春婦としてリスペクトされ、美人は売れっ子としてきちんと扱われたように、井上さんもユニークな生き様をして海外で野良犬のように死んだ男としてリスペクトをもって特集されるならば、そこには何か一貫したものがあるのではないだろうか?

日本にありがちな「不謹慎プレッシャー」を無視して今号のシックスサマナを書かれたクーロン黒沢氏は正しい選択をしたと思う。

↓生前の井上さん。ソーシャルファンディングで引っ越し費用を得た際のもの。

先進国でも「無理のある正しい理念」は崩れつつある

シリアの内戦から生じた難民をドイツのメルケル氏は大量に受け入れた。難民の受け入れは、人口増から経済強化の側面があるものの、メルケル氏の決断はもっぱら人命尊重という正しい理念から発したものだと思われる。私はその決断を、当時素晴らしいものとして受け止めた。

しかし、大量の難民は治安の悪化などの負の作用が目立ち、もともとのドイツ国民からは不評である。ドイツ以外のEU諸国からも、正しい理念に基づいてなされる決断から生じる過剰な負担に不満が生じている。

先進国においても、「人命が雑に扱われる」シックスサマナ的価値観が諒とされるようになってきた、とまでは書かないが、それぞれの国の予算(あるいは受け入れ能力)を無視してまで実行される「正しい理念」は行き過ぎだと考えられるようになってきた。

「この世界に生まれてきたすべての人間が尊厳をもって扱われ、最低限の暮らしは送れるようにすべき」という価値観は立派で、実現すればいいと私も願うが、現在の世界で実現するのは無理がある。我々には予算があって、その予算を越えてまで他者の生命に手を差し伸べようとは思わない。そこからこぼれた生命はどうなるのか?というと無残に死ぬのである。

こういう現実は、こういうものだと割り切って受け入れていかなければならない。実際、それ以上の何かなんてないのだ。

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