歴史に比類するもののない絶対悪と祭り上げられたナチスによるホロコーストでは600万人が犠牲になったとされる。
しかしこの数は根拠に乏しく、実際には犠牲者数は100万人以下だったという推測もある。
第二次大戦下の米国では、ユダヤ系アメリカ人のヘンリー・モーゲンソー・ジュニアが財務長官を務めた。彼は反ユダヤ人政策をとるヒトラー政権を嫌っており、ドイツ民族をこの世から消してしまいたいと思っていた。
戦後ドイツの占領方針作成に財務長官のモーゲンソーの意見が取り入れられ、当初作成されていたプランよりもずっとドイツに対して厳しい占領計画(モーゲンソー・プラン)が出来上がった。この案の原案は、ハル・ノートを作成した、ユダヤ系でソビエト共産党のスパイでもあったハリー・デキスター・ホワイトが起草した。
モーゲンソー・プランはドイツの工業力を削ぎ落とし、農業国家に変えてしまおうというもので、戦後ドイツの機械類は接収または廃棄された。
産業がストップしたことでドイツは飢饉に陥り、五年間で900万人以上が死んだ。
単純に犠牲者数で比較すると、ナチスのホロコーストの犠牲者数を上回る数のドイツ人がモーゲンソー・プランによって死んだ。ホロコーストの絶対悪が強調されるわりに、モーゲンソー・プランによる大量死はほとんど言及されない。