【コロナウイルス】日本人の集団免疫の獲得はすでに終わっている説、命の値段がインフレしていないか?

池田信夫氏がツイッターで、コロナウイルスは以前から日本に入っていて、日本人はすでに集団免疫を獲得している可能性があると書いている。

中国との交流が密な国ほど、今回のコロナウイルス騒動で感染者数が想定より少ないらしい。

この仮説が正しければ、コロナウイルスに対する対策は、多くの国でもっとずっと緩くてよい可能性がある。

インドやフィリピンのような貧しい人が多い国が、国民に一部地域で自宅待機を強いているが、死者数を基準にした場合、

自宅待機による貧窮による死者数 > コロナウイルスによる無対策状態での死者数

となっては意味がない。

医療データコンサルタントの方は、ツイッターで、「英国人の半数がすでにコロナウイルスにかかっている可能性がある」というニュースに関して、そのニュースは正しい可能性があり、「医療と経済」の両方がわかっている人がいないことが問題だと書いている。

※追記(2020/3/26)

池田信夫氏がブログに詳細を書かれたので、リンクを掲載。

日本人はすでに新型コロナの集団免疫をもっている?

特定の死因の場合だけ、命の値段をインフレさせないで欲しい

アメリカはコロナウイルスのために、約200兆円の予算を計上した。

アメリカ経済が受ける損害は、コロナウイルス対策のための各種自主規制によるものがほとんどだ。自主規制による損害が、仮に200兆円だとするなら、それによって何人の命が救えたのか、他の死因との比較が必要ではないだろうか?

コロナウイルスによる致死率が1.4%で、無対策の場合、90%のアメリカ人が感染するなら、予想される死者数は、3億2千万人×0.9×0.014=400万人である。

この場合、アメリカは一人の命を延長するために、5000万円を費やしたことになる(200兆円÷400万人=5千万円/人)。

日本が仮に30兆円の追加予算を組んだ場合、アメリカと同様に死者数を想定すると、151万人の命を救うために30兆円を費やすことになる(1億2千万人×0.9×0.014=151万人)。

この場合、日本は一人の命を延長するために、1986万円を予算計上したことになる(30兆円÷151万人=1986万円)。

実際には、日本での致死率は、もっとずっと低いだろうから、一人の命を延長するためにかけたお金はもっとずっと高いことになる。致死率が0.5%で、感染する人数が全人口の50%程度なら、死者数は、30万人程度になる。この場合、一人の命を延長するためにかけたお金は、1億円になる(30兆円÷30万人)。

今回のコロナウイルス騒動に対する対策で不明瞭なのは、コロナウイルス感染防止のための経済的な費用が、他の死因による死亡者減少の予算と整合しているのか?という点である。

餅の誤飲による死亡を防止するための費用が、一つの命当たり1986万円もかかっているはずがない。

各国の政治家は、いくらの費用をかけて、何人の命を延長させるつもりなのか、明確にした方がいいのではないだろうか。一つの命を延長させるための費用が、他の死因による場合と比べて、異常に高いなら、その政策はやりすぎだろう。

ここまで、命を救うではなく、命を延長させると書いてきたが、すべての人間はいずれ死ぬのである。ましてや、老人は先が短く、コロナウイルスで主に死亡するのは高齢者である。その点も勘案して政策の優劣を比較するとさらによいだろう。

たとえば、一つの命を延長するために100万円かけるとして、残りの寿命が10年と想定される人を助ける場合、100万円÷10年で、一つの命の1年の生存に10万円をかけたことになるが、残りの寿命が60年の人を助けた場合は、100万円÷60年で、一つの命の1年の生存に1.6万円をかけたことになり、前者より費用対効果が高い。

死者数を減少させるための政策を採る場合、一つの命を1年延長させるために、いくらのコストをかけるのか明らかにして欲しい(日本で予防的に死亡者数を減らせる費用対効果の高い政策は、中長距離ミサイルを配備することだろう)。