【コロナ騒動】「理系思考」より「経済学思考」の方が大事だった

こんなツイートを昨日見かけたが、コロナ対策をどうするかは論争になりやすいトピックである。

コロナ騒動において、一部の理系知識人によって理系思考の優位さが説かれたが、しかし事態の推移を眺めてみれば、最初から最後まで経済学的(あるいは経営者的な経験から来る知識)な思考の方が優れていた。

*理系からの文系批判には例えば下記のようなツイートがあった。

今日のニュースによれば、コロナウイルスの患者が発生したことの届け出は、入院が必要な人のみにし、入院が必要な人は基礎疾患がある人や高齢者とする運用を来月から始める案があると報道されている。

こうした、コロナウイルスは普通の人(現役世代、基礎疾患なし)にとっては脅威ではないという考えは春から既に出ていた。事実を観察し分析する経済学系・経営者系の論者から主にそういった意見は出ていた。

コロナウイルスに対する対策は、経済学系・経営者系の論者が勧める方向に動いている。

トレードオフの概念が欠落していた一部の理系・医療系論者

一部の理系知識人や医療系知識人には、トレードオフの概念が欠落していたため、彼らの唱える政策は決してよいものではなかった。

トレードオフとは、「何かを達成しようとすると、他の何かがダメージを受けること」であり、初歩の経済学の教科書に載っている。

一部の理系知識人や医療系知識人は、コロナウイルスを封じ込めるためにどうすればよいかについて色々とアイディアを出したが、その対策を実行すると社会にどれだけ打撃を与えるかについては考察した形跡がなかった

コロナウイルスを封じ込めようとすればするほど、経済が打撃を受ける。本来、コロナウイルスの封じ込めから得られる便益と、経済への打撃から得られるマイナスの便益を比較して、どのような政策が採られるべきか考えるべきだが、一部の理系・医療系知識人にはこの部分が欠落していた。

また、人間は毎年、様々な要因で死んでいるのだが、コロナウイルスによる死を防止する費用と他の要因による死を防止する費用を比較することも少ないように見えた。

スピード感に欠けた理系論者

2020年の3月下旬には、BCGワクチンの接種がコロナウイルスへの感染と死を減少させている可能性が指摘されていた。これに対して、経済学系やビジネス系の人は積極的に活用するべきだと考えていた人が多かったように見えたが、理系知識人は「まだ証明されてはいない」事を理由に重きを置いていなかった人が多かったように思う。

ビジネスの現場では、結果を出すためにはスピードが大事であるから、こうした反応の違いが出たのではないか。今となっては、BCGワクチンの効果は証明されたようなものだから、春の段階で、BCGワクチンの積極的活用が成されていれば事態は全然違ったものになったのにと思う。

BCGワクチンの活用は、マイナスのリターン(副作用)が少なく、プラスのリターン(防疫効果)が見込めるのだから、期待値は大きくプラスで、経済学的・ビジネス的な感覚からすれば、採用しないという判断はありえなかった。

理系論者(あくまで一部の、である)には、期待値よりも証明が大切なようだった。

もちろん、経済学者でも変な事を言っていた人はいたが、全体的に見れば、コロナ騒動において必要だったのは、理系知識や医学の知識ではなく、経済学的(統計も含む)な知識だった。

経済学の知識は、それ自体がお金になったりしないし、経済学部を卒業しても就職がそれほど有利になるわけではないが、どのような政策が採られるべきかといった政治的な場面では、理系よりも法学よりも、経済学的な知識がものを言うように思う。

経済学部に進学しなくても、基本的なミクロ・マクロ経済学的な知識を持つことは有益だと思う。知識としての経済学は、もっと評価されて良い。

コロナ騒動でまともな判断をしていたと私が考える人とその属性↓(本名でないツイッターアカウントを含む)

池田信夫(経済学博士)

馬場正博(ビジネスコンサルタント)

サトウジュン(経営者、元コンサル会社勤務?)

戯画蛙(経済学系の大学教授だと思われる)

ホリエモン(経営者)

永江一石(ビジネスコンサルタント)

村西とおる(元AV監督)

小林よしのり(漫画家)

H.S. Kim(投資家)

説教おじさん(経営者)