新型肺炎について、統計的な数値を見れば、大したことではなく、それほど恐れる必要はないという意見がある。
池田信夫氏は、新型肺炎の感染力はインフルエンザとそれほど変わらず、中国以外の国での致死率はほぼゼロ、症状もインフルエンザとほぼ同じと書いている。
この池田氏の指摘が正しいなら、確かに新型肺炎は恐れられすぎである。
ただ、はっきりとわかっていないこともある。
感染力の強さについてまずよくわかっていない。クルーズ船内の人々が大量に罹患しているが、インフルエンザと同程度の感染力であんなに感染するものなのだろうか?
新型肺炎にかかった場合の社会的・経済的コストについても不明である。インフルエンザにかかった場合は、病院に通院した後、一週間程度自宅待機していれば職場に復帰できるが、新型肺炎ではどうなるのか?
無症状でない場合、入院が必要なら、インフルエンザよりも社会的・経済的なコストが高くなる。入院期間も2-3週間に及ぶだろうから、高コストになる。入院患者が増えれば、病院がパンクしてしまい、他の患者に悪影響が及ぶことにもなる。
検査で陽性であったけれども、無症状の場合、厚生労働省は、他者に感染させるリスクが低いため、2日の入院でよしとするようだが、本当に感染リスクが低いのかどうかよくわからない。
日本とクルーズ船の感染者を見る限り、致死率は低そうだ。この点は安心材料である。しかし、感染した男性に不妊症をもたらす可能性があるという情報もあり、致死率の低さだけで安心はできない。
新型コロナウイルス、男性が感染すると腎組織と精巣にダメージを与え、不妊症を引き起こす可能性がある
日本の対応が過剰なら、中国の対応も過剰なのか?
日本の対応が本当に大丈夫なものなのか、もっとも不安にさせるのは、当事国の中国の反応である。
日本は、新型肺炎に対して、世界のどの国よりも理性的(?)に対処しているが、発症させた当事国である中国は、省や市の交通を限定し、人々の外出を制限することまでしている。人の命の価値が軽く、経済成長を重視する中国で、なぜこんなに厳しい措置をしているのだろうか?
池田氏が指摘するように、新型肺炎がインフルエンザ程度の病気なら、中国の対応はやりすぎである。
彼らは過剰反応をしているのだろうか?それとも公的には発表していない恐ろしい情報を持っていて、それに基づいて行動しているのだろうか?
また、中国で個人がネットにあげた情報と公的な情報には食い違いがある。火神山病院に勤めているという人がネットに書き込んだ情報では、毎日200-400人の患者が入れ替わっている(死んでいる?)とあった。
武漢の隔離施設「毎日、数百人死亡」技師が匿名サイトで書き込み
中国では、多くの人が病院でまともに診断されていないので、患者数と死亡者数は低く算出されているはずであり、中国が発表する公的な数字は信用できない。
また日本より情報収集力がある米国が、早くから中国からの外国人入国を制限したのも気になる点である。
日本政府の緩めな対応が正解だったと後でわかればそれに越した事はないが、現状、リスクや被害の全容を見切るには、まだ早いと思われる。
しかし、日本やカンボジアの対応が正しく、アメリカ・ロシアの対応が間違いだったとわかる未来なんて来るのだろうか??