「適度なリスクや損失の受容が、利益を増加させる」。これはこの世界に広く見られる法則である。
ゼロリスクや、完全な安全性を求めた場合よりも、適切なリスク、適度な損失がある状況を選んだ方が我々は多くの見返りを得られる。
この現象には何か名前が付いていそうだが、どんな名前かわからないのでご存知の方がいたら教えてほしい。
適度なリスクや損失の受容が利益を増加させる例として、下記のような事柄が挙げられる。
- 預金や国債に100%資金を振り向けるよりも、株式や国債以外の債権、不動産などのリスク資産にも投資した方が利益が大きくなる。
- スポーツをすると怪我をするかもしれないが、体が鍛えられ、より健康になる。
- くだらないコンテンツの視聴や、悪い友達などとの交友によって逆に世間知が得られる(皇室の某女性も、こうした経験があったなら他の男性を選べたかもしれない)。
- 老木が一定程度、死んでいくことで若木が成長するスペースが生まれる。老木と若木が、順次、入れ替わっていくことで生態系が強化される。
- 人間の世界でも、高齢者や身体的弱者が適宜死んでいくことで、次の命が生まれる社会的スペースが生じる。
- 感染症に罹患したり、雑菌にふれることで免疫が強化される。
- 拒絶されるリスクを受容して、異性を積極的に誘う方が恋人を獲得する可能性が上がる。
- たくさんのビジネスに挑戦することで、自分が成功できるビジネスを見つけられる可能性が上がる。
- スピリチュアルな観点から言えば、人間はあの世や過去生の記憶を一時的に忘れ、赤ん坊として生まれ、数々の苦しみを経験することで、魂の成長を早めている。
このように、この世では適度な苦しみや損失、危険性を受け入れる事が何らかの見返りと表裏一体になっている。
一方で、ゼロリスクを求めたり、損失や苦しみを完全に拒絶したりすると、個体や生態系は逆に弱くなる。あるいは得られるものが減ったり、成長する機会を逃す。
例えば、
- 家の外での苦しみを拒絶して引きこもると、長期的には却って苦しむことになる。経済的に得るものもないし、精神的な成長も得られない。
- 異性からの拒絶を恐れてアタックしないでいると独身のままで終わる可能性があがる。
- 無菌状態で暮らしていると病気への抵抗力が下がる。
- この世の悪や愚かしいものに触れないでいると、世間知らずになり簡単に騙される大人になる(かもしれない)。
日本のコロナ対策にはたくさんの批判があるが、適度の損失(死者の発生)を拒絶したことで、社会や経済の生態系全体を弱めてしまったと言える。
コロナ対策に限らず、年々、社会にはゼロリスクを求めるかのようなおかしなスローガンが増えてきている。適度なリスクや損失、苦しみの受容が長期的には我々に大きな見返りをもたらすことを忘れずにいたい。
↓過保護を助長し、弱い子供を育ててカモにしていた「ザ・ファブル」の登場人物。