多くの人は馬鹿というよりも知的好奇心が高くない

説教おじさんというツイッターアカウントが、緊急事態宣言の延長を希望する人が8割という調査結果を見て、世の中には馬鹿が多い、物事を深く考えられない人が多いと書いていた。

確かに世の中には馬鹿が多い。想像もできないような思考をしている人がいる。

一方で、日本人は、きちんとした情報を与えられさえすれば、そこまで愚かな判断はしないとも思う。

例えば、最近見た世論調査の結果で言えば、9割以上の人が福島県産の食べ物は危険ではないと考えているし、過半数の人が原発再稼働に賛成で、憲法9条改正にも賛成である。

これらのトピックは、発生してから年月が経っていて、反対・賛成両方の意見に人々は十分に触れ得たはずで、その結果が、世論調査に表れている。

十分な時間を経て、賛成・反対両方の情報に接することができれば、日本人の過半数はまともな判断を下すのである。

コロナに関して、過剰な慎重論がいまだ根強いのは、慎重論以外の情報に十分に接していない人が多いからだろう。また、世上で権威があるとされている人々が、慎重論一色であることもその一因だと思う。

テレビメディアは全て慎重論(コロナ脳、恐怖煽り)、新聞も慎重論(中でも日経は確信犯的に恐怖を煽って、ニューノーマルとかいう価値観を植え付けようとして酷かった。また、左の朝日も、右の産経も慎重論だった)、政治家も全て慎重論(多様な意見の持ち主がいるはずの自民党の中から、緊急事態宣言等に反対する声がでなかったのは異常だ。石原慎太郎が現役だったら、「高齢者がある程度死ぬのは自然だ」くらいの事は言っただろうと思うが)、芸能人も全て慎重論(世の中を風刺するような知的な芸人はどこにいったのだろうか?)だった。

慎重論に与していなかったのは、ごく少数のメディア・情報発信者(アゴラ、週刊新潮、小林よしのり、ホリエモンなど)に過ぎず、多くの一般人がコロナに対して過剰な恐怖をいまだに持っていることをもって、日本人は馬鹿ばっかりだとは言い切れないと思う。

ただ、多くの日本人は、あるいは日本人に限らず人間全般は、知的好奇心がそれほど高くない。これは事実である。

だから、権威があるとされる人物や組織、メディアが主張する事柄をそのまま受け入れてしまう。積極的に逆の意見が存在しないかどうか調べてみて、自分の頭で考えようとする人はごく少数である。

私はご存知のようにスピリチュアル信奉者で、あの世や輪廻転生などを信じている。

「死んだらどうなるのか」「あの世はあるのか」などの事が気になって、真実が知りたくて、たくさんの本を読んだ結果、こういう価値観を持つに至った。

人間は100%死ぬが、死後の世界が本当のところどうなっているのか、科学者などの権威あるとされる人たちの言うところを無視して、文献を読み漁って、自分で調べて、真剣に考える人は少ない。

これも結局、多くの人は知的好奇心がそれほど高くないからだろう。コロナは目の前の出来事だから、何割かの人は真剣に考慮したのだろうけれど、多くの人にとって、死は確率的に数十年先の事だから、真剣に考慮されていない。

余談だが、私の妻は元々、物質主義者で無神論だったが、私のスピリチュアル話を聞き続けた結果、死後の世界の存在を信じるようになった。

では、あの世がどんな仕組みになっているか、もっと知りたいかというと、彼女はそれに興味がないのである。死後の世界の事は、死んでから対処すればいいそうで、別に知りたくはないのだそうだ。

私からしてみると、もしも死後の世界が本当に存在し、因果の法則や輪廻転生があるのなら、それらを考慮して、自分の世界観や行動規範を作り直すけれども、彼女は「死後の世界の話を聞いて信じた。以上。終わり」なのである。

私は彼女の反応を見て、養豚場の豚か!?と思ってしまった。養豚場の豚は、いつか解体されて肉として売り出されるが、その日の餌を人間が持ってきさえすれば、特に不満もなく生活できる。というか、遠い先の事は考えられない。

緊急事態宣言延長に賛成である多くの日本人もこれと似たような感じなのではないだろうか。多くのメディアで、あるいは職場で、コロナ脅威論を聞く。ネット記事をたまに見てみれば、「コロナはそれほど恐れるほどのものではない」という意見も目にする。

その2つを目にしても、結局はどうでもいいというか、目の前1メートルぐらいのことにしか興味がなく、比較してどっちが正しいか考えるという事はしないのだと思う。また、そういう人の方が現状肯定意識が強く、今に満足しているので、幸福だったりする。

意識の高い人、知的好奇心が強い人は本当に少数なのだ。ほとんどの人は物事を深く考えない。馬鹿である、というより、単に考えないのである。