経済学者のPeter St Ongeさんの動画「Central Banks Hedging “Collapse” with Gold」にShortShort Newsさんが日本語字幕を付けていたので文字起こし。
世界の中央銀行はゴールドを買って崩壊に備えている
世界の中央銀行が今年に入ってゴールドを買いまくっており、何か大きな事が起こると予想しているのではないかと懸念されている。
生の数字でみると、中央銀行によるゴールドの購入は前年比34%増となり、中央銀行のゴールド保有量はニクソン政権以前の記録を上回った。これは大変なことだ。
豊かな国からも貧しい国からも買いが殺到しており、中国、シンガポール、トルコ、インドが上位を占めている。欧州勢も買いをいれている。詳しくは後ほど。
2008年の金融危機以来、中央銀行がゴールドを買い続けていることは、ゴールド業界では最もよく知られている秘密の一つである。
言い換えれば、どのような安心感を与えるプレスリリースを出そうとも、彼らの行動は彼らが心配していることを示しているのだ。
ではまず、ゴールドを買うとはどういうことか?
中央銀行は、損をすることなく、納税者にツケをまわすことなく、刷っているお金を置いておくために様々な資産を保有している。
私は最近のビデオで、スウェーデン、英国、そして我が国の連邦準備制度理事会(FRB)がこの方法で見事に失敗し、損失を出し、スウェーデンと英国では救済に至ったことを述べた。
一方、連邦準備制度理事会(FRB)は、財務省との間で1200億ドルの損失を抱えている。
通常、中央銀行は泥棒が刷ったお金を国債に投資する。泥棒に仁義は無いという理由もあるが、国債の数が非常に多く、わたしたちは国債に溺れているため、世界で最も流動性の高い市場を形成しているという理由が大きい。例えば、不動産や企業債よりも、国債の方が簡単に1兆ドルを出し入れできるということだ。
長い間、中央銀行から愛されなかった資産はゴールドだった。1971年にニクソン大統領が金兌換を廃止し、世界的な金本位制が実質的に消滅して以来、中央銀行はかつて究極の支払い能力を保証していたイエローメタルを見捨ててきた。
しかしこの10年間、ゴールド買いは止まらず、それは現在急速に加速しているようだが、中央銀行は何を知っていて言わないのだろうか?
先週、オランダ中央銀行のエルト・ホーヴェン氏がなぜオランダ中央銀行がGDPの4%ものゴールドを買い占めているのかというインタビューに答えていた。
彼は、ゴールドは金融破綻の際のバックアップとして非常に有用であると答え、ほとんどのヨーロッパの中央銀行も同じことをしていると付け加えた。彼の言葉を借りれば、「すべてが崩壊すればゴールドの価値は急上昇する。そのうえそれをカバーする必要もない」。
言い換えれば、中央銀行にとってゴールドは世界経済全体を崩壊させるための保険であるだけでなく、金本位制を復活させるためにはゴールドはそれほど必要ないということを強く意識しているのだ。これが彼が言った「カバー」の部分だ。
私は最近のビデオで、金本位制が見た目よりずっと近いものであることを話した。なぜなら既存の中央銀行のゴールド保有は、実際に完全な金本位制を支えることができるからだ。
その理由は、もし市場がゴールドの兌換を信頼するならば、インフレを低く抑えることも信頼され、兌換の必要がないからだ。このこととゴールド価格の高騰を組み合わせれば、金本位制の再導入は驚くほど簡単なことなのだ。
中央銀行がパニックに陥って、保険を買っている時点で、それは悪いことだとわかる。それでも中央銀行はまだ保険の段階であって、実行の段階ではない。しかし政府支出の増大によってインフレ率がどんどん上昇していくのであれば(そしてそれは高確率で起きそうだ)、ますます多くの国がコントロールを失い、自国通貨をより価値が堅いものに交換することになるだろう。
エルサルバドルやアルゼンチンのように貧しい国々はドルに流れるかもしれないし、豊かな国はゴールドに流れるかもしれない。