私は何度も日経新聞を取るのをやめては、また購読し、ということを続けている。最近、投資情報を取得するために再び日経新聞を取り始めた。
しかしやはり違和感がある。日経新聞は世界の表層のうち、経済の要素のみを取り出して報じる。経済に隣接したり、経済よりもっと奥深いところにある地政学的な動機には触れない。
日経新聞上では、まるで世界各国がルールを守ってフェアな経済競争をしているかのような幻想が繰り広げられている。しかし実際には違う。
経済政策には戦争の前段階のジャブのような要素がある。恫喝のための一手段でもある。領土拡張のための撒き餌であることもある。技術を盗むために外国企業を誘致することもある。相手国の急所を押さえていざという時に言うことを聞かせるためのインフラ投資もある。廉価なハイテク商品は、経済的な利益を得るためというより、機密情報収集のためにばらまかれていることもある。
しかし日経新聞には、そういった各国の悪意がすっぽり抜け落ちている。経済的な利益獲得以外の動機がすべて消毒されている。
twitterで投資家のアカウントを見ていて気づくのは、このような日経新聞的世界観が日本人男性に非常に影響を与えているということだ。そしてこれらの態度が経済活動に携わる成人男性の間で「良識ある態度」として賞賛されている。
しかしこれらの態度は、ボクシングに例えると、相手がボクシングしかしてこないと思ってリングに上がっているボクサーのようなものだ。実際には相手はナイフを持っているかもしれないし、関節技を使うつもりかもしれない。最後は殺すつもりでいるかもしれない。
私は日経新聞が日本人男性に平和ボケを撒き散らし、腑抜けを増やしたと思っている。ケント・ギルバードがたまに言うIYI(Intellectual Yet Idiot)を量産していると思う。
常に動揺している民衆が政治問題を論ずるのを防止する為に、我々は別の飼料として商工業の問題を与えた。この問題ならば彼らがどれだけでも騒いでもよろしい。大衆を政治問題から離れていることに同意させるには他の楽しみを与えなければならぬ。(シオンの議定書13より)