90年代、日本のスピリチュアル分野の担い手は男性ビジネスマンだった

90年代前後に日本で出版された霊性・スピリチュアル、そして時にはオカルトやトンデモ本の出版年月を記載してみた。


1989年7月1日 J・L・ホイットン「輪廻転生 驚くべき現代の神話」

1990年2月1日 イアン・スティーブンソン「前世を記憶する子どもたち」

1992年5月1日 船井幸雄「これから10年 生き方の発見」

1992年9月 ダニエル・キイス「24人のビリー・ミリガン」

1993年2月16日 天外伺朗「『超能力』と『気』の謎に挑む」

1993年4月1日 青山圭秀「理性のゆらぎ」

1993年5月1日 船井幸雄「これから10年 本物の発見」

1993年10月1日 比嘉照夫「地球を救う大変革」

1994年3月1日 青山圭秀「アガスティアの葉」

1994年1月 中村天風「運命を拓く」

1995年5月1日 比嘉照夫「EMで生ゴミを活かす」

1994年6月1日 立花隆「生、死、神秘体験ー立花隆対話篇」

1994年9月1日 天外伺朗「ここまで来た『あの世』の科学」

1994年9月1日 立花隆「臨死体験」

1994年10月1日 青山圭秀「真実のサイババ」

1995年5月1日 春山茂雄「脳内革命」

1995年5月8日 船井幸雄・高木善之編「『地球村』に生きる」

1995年10月1日 船井幸雄「これから10年 愉しみの発見」

1995年10月1日 船井幸雄「エゴからエヴァへ」

1995年10月 龍村仁「地球交響曲(ガイアシンフォニー)の軌跡」

1995年11月1日 高木善之「地球大予測 選択可能な未来」

1995年11月1日 木内鶴彦「宇宙の記憶 彗星捜索家の臨死体験」

1995年12月29日 足立育朗「波動の法則」

1996年6月1日 船井幸雄「百匹目の猿」

1996年6月 飯田史彦「生きがいの創造」

1996年8月 七田眞「超右脳革命」

1996年9月2日 ブライアン・ワイス「前世療法」

1996年10月 立花隆「証言・臨死体験」

1997年7月1日 村上和雄「生命の暗号」

1999年8月2日 ブライアン・ワイス「魂の伴侶 ソウルメイト」

1999年 菊谷泰明「聖母マリアからのメッセージ」

2000年6月1日 岡崎久彦「なぜ気功は効くのか」

2000年8月1日 マイケル・ニュートン「死後の世界が教える『人生はなんのためにあるか』」

2004年8月 デヴィッド・R・ホーキンズ「パワーか、フォースか」

2008年7月 NHK制作班「奇跡のリンゴ」

2009年7月23日 木村秋則「すべては宇宙の采配」

2009年11月20日 青山圭秀「神々の科学」

2011年4月 サティア・サイババ逝去

2014年1月 船井幸雄氏逝去


私が読んだことがあるもの、聞いたことがあるものだけを羅列した。

90年代なかば、日本のスピリチュアル熱は今よりずっと熱かった。というのも、その担い手が主婦層ではなく、ビジネスマン層だったからだ。

ここに羅列した本のほとんどは本屋のビジネス書籍の棚で売られていた。船井総合研究所の創業者で経営コンサルタントの船井幸雄氏がこういったスピリチュアル(?)ものが好きな人で、色々な人を世に紹介する名伯楽のような立場だった。

といっても、船井氏が好意的に紹介した本や人が必ずしも、信頼できるというものでもなかった。しかし、船井氏は別に蔑まれていたわけでは決してなく、渡部昇一氏や岡崎久彦氏のようなきちんとした人物とも共著を出している。

そして、ここに記載されたような本はめちゃくちゃ売れた。脳内革命は410万部、脳内革命2は134万部売れた。比嘉照夫氏の「地球を救う大変革」は27万部売れた。船井幸雄氏の本は、ビジネス書棚の一番目立つところに平積みされているのが常だった。想像してみてほしい!「エゴからエヴァへ」のようなタイトルの本がビジネス書で一番売れているのである。

この当時はあの立花隆氏も臨死体験に熱中していた。青山圭秀氏が紹介したサイババも話題になったが、青山氏は東大の博士号を2つ持っている優秀な人だし、天外伺朗氏はソニーの社員、高木善之氏は元松下電器で、飯田史彦氏は大学の経営学部の助教授で、それなりの経歴の人物も多くいた。

今で言えば、スピリチュアルな分野は女性が主な担い手となっている感がある。しかし90年代のスピリチュアルはタバコをモクモク吸っているような中年男性が主役だったのだ。そういう人たちがスピリチュアルな価値観について真剣に考えていたので、当時のスピリチュアル分野は天下国家・社会経済と結びついていた。

今ではスピリチュアルといえば、パーソナルな、個人的な事柄のような感じだが、当時はスピリチュアルな価値観を企業経営や国家経営、社会の仕組みに適用しようというような熱気があった。

地下鉄サリン事件(1995年3月)があったからというわけでもないだろうが、いつの間にか、こうしたスピリチュアルは往時の熱気を失ってしまった。個人個人ではまだ活躍されている人もいるが、ビジネスマンがこぞってこういう本を買い求める時代ではなくなってしまった。

こういった本が主流だったから、それ以降の日本企業は駄目になったのかもしれないし、こういった本が売れていたからこそ何か数字では測れないようなロマンがあったとも言えるのかもしれない。

中国や北朝鮮の安全保障上の危機が収まれば、またこういった本が男性にも売れるようになるのかもしれない。

80-90年代に発表された諸研究は欧米人の死生観に大きな影響を与えた

ここに書いてあるのは、日本語版の本の出版年月だが、80年代から90年代にかけて、死生観について影響を及ぼす重要な本が多く欧米で出版された。

イアン・スティーブンソンは、前世の記憶を持つ子どもの事例を集めた。

精神科医やセラピストが退行催眠をかけると過去世や中間世を思い出す人が多くいる事も発見された。

臨死体験については、脳の働きでは説明ができないような事例が多数シェアされた。これらによって、90年代以降、欧米で輪廻転生を信じる人が増えたはずである。

キリスト教の教会は輪廻転生を否定しているが、これだけ多くの状況証拠が積み上がれば、輪廻転生を信じる方が自然である。90年代の諸研究は欧米人の輪廻転生観に不可逆の影響を与えた。もちろん日本人も同様の影響を受けた。