死ぬまでに一度くらいは新築の家を建ててみたいと考えるようになった。
しかし、建築後30年経ってから、売却しなければならなくなったとして、その時の上モノの評価額がゼロではたまらない。
とはいえ、しかし、日本の中古住宅は築後30年も建っていれば、中古不動産市場での評価額がゼロになっているものも多い。40年も建っていれば、その中古不動産の売却可能な値段は
土地の価格ー取り壊し費用
となっていることが多いのである。
レジェンダリーホームというハウスメーカーを経営している加藤伯欧氏は著作の中で、なぜ日本人が欧米人と比較して貧しいのかを説明する要因として、日本では不動産の上モノの価格が築後30年もすればゼロになってしまうからだと書いている。
加藤氏によれば、アメリカやイギリスの家は建て替えられるまでにかかる時間が80年~100年超であるのに対して、日本では30年程度で建て替えられていると指摘している。それに呼応するかのように、中古不動産の価格がアメリカやイギリスでは経年によって下がらず、場合によっては上がるのに対して、日本では建物の評価額が30年程度でゼロになってしまうとも指摘している。
加藤氏は、こうした欧米と日本の中古不動産市場の違いは、素材とデザインによるところが大きいと説く。
経年によって味わいが出る自然素材を使って家を建て、適切なメンテナンスを重ねれば、家の評価は下がりにくい。
そして時代を超えて好まれる外観(デザイン)を選べば、50年後も100年後も価値を保てるはずだと説く。
なぜ日本の住宅のデザインがいまいちなのかといえば、それは先に家の中にどのような部屋を配置するか決めてから、それに合わせて外観をデザインするからだと言う。加藤氏は、まず外観のデザインを決めて、それに合わせて、内部の部屋割を決めるべきだと主張している。
この加藤氏の著作を読んでから、私も近所の注文住宅を注意して見るようになったが、確かにこだわりの住宅であっても、外観がいまいちなことが多い。そのデザインで50年後も積極的な買い手がつくのか疑問なものもある。
素材にこだわるハウスメーカーは検索すると結構見つかる。例えば、
などである。おそらく一都道府県に一社以上、こうした自然素材や木にこだわった注文住宅の工務店があるだろう。
どれもとても良さそうな素材を使っていて、素晴らしい。しかし、加藤氏が推薦するようなユニバーサルで時を越えて愛される外観を有しているかといえば、様々である。注文住宅の外観は客が決めるので、外観がいまいちだったとしてもそれは工務店のせいではないのだが・・。
築後50年、できれば100年価値を有する不動産を持つには、日本ではもっと外観に注力するべきなのではないかと思う。加藤氏は左右対称な家を推薦しているが、たしかに昔ながらの左右対称な家は美しい。
築後50年経って、価値が上がっているような家を建ててみたい。