デビッド・ウェブ「大収奪」の翻訳、第1章イントロダクション

デビッド・ウェブ「大収奪」の適当な翻訳。

第一章 イントロダクション

これは何についての本であろうか?

担保となったモノ全てが収奪されるかもしれないこと、世界的な債務の膨張の最終局面に関することについて書かれている。

この計画は長期に渡って、知的に設計されてきたが、その大胆さとスケールの大きさは常人には理解し難いだろう。

全ての金融資産、銀行預金、株、債券、企業が所有する資産(在庫、工場、設備、土地、鉱山、発明、知的所有権を含む)が収奪の対象に含まれる。ローンで購入された個人所有の不動産や、融資を受けた個人企業も含まれる。

この収奪が部分的にでも成功すれば、世界の歴史上最大の略奪になるだろう。

我々は現在、多くの欺瞞に満ちたハイブリッド戦争の渦中にいる。この戦争は(認識を通して行われるので)大きなエネルギーを要さない。他国に向けられた戦争ではなく、全人類に向けられた戦争だ。

ごく少数の人々が中央銀行を所有し、ひいては貨幣創造の力を手にし、全ての政党、政府、諜報機関、無数の組織、軍、警察、巨大企業、メディアを操作できるようになった。これらの少数の人々が計画を作っている。彼らの計画は数十年かけて実行されている。

彼らは現在のハイブリッド戦争をひきおこしている主体であるが、わたしたちは彼らの代理人の顔しか見ることができない。

ここに書かれているようなことは狂人の戯言にちがいないと考えて慰めを得る人もいるかもしれない。そんなことはかつて起きなかったのだから、と。

しかし、実際には過去にも収奪はあった。20世紀前半の大恐慌と世界大戦の時期にである。

しかし、現在実行が謳われている「グレートリセット」はそれらの時を超えた富の収奪と独占を可能にする発明を備えている。ワールドエコノミックフォーラム(WEF)の連中は、人々が何も所有しなくなると大胆に予言したが、それはどのように実現可能なのだろうか?彼らが言っているのは、「賃貸の方が便利だ」とか言う話ではない。

金融バブルとその崩壊というおなじみの物語が展開される。このようにだ。

我々全員に責任がある。我々は多くを望みすぎた。我々の強欲さがこのような世界的危機を生んでしまった。規制当局は一般人の行き過ぎた強欲が社会を破壊しないように努力してきた・・。規制当局の立派な働きは過去数十年で証明されている。だから彼らを責めることはできない。結局、我々全員に罪があるのだ。前を向こう!金融システムはゼロから再スタートする必要がある。そうすればまた我々はあなた達に信用を供与できるし、それが仕事を生み出し、経済を成長させることにもつながる・・。

今回の収奪では、あなたの全ての財産が持っていかれる。その代わり、中央銀行はあなたのスマホにデジタル通貨をプレゼントしてくれる。これこそノブレス・オブリージュというやつだ。

お金は、とても効率的な統制システムだ。人々はお金のために自分を制御する。物理的に人々を拘束するような危険で困難でエネルギーを必要とするような設備は必要ないのだ。しかし、こうしたお金による統制システムも、貨幣のスーパーサイクルの終わりには壊れてしまう。そうした終わりを示すのは、貨幣の流通速度の低減である。

貨幣の流通速度とは、一定の期間内に貨幣が使われた回数のことだ。これは一定の期間内に生産された財とサービスの価値の総和(GDP)と、現金と現金と同じように使用できる預金の価値(マネーサプライ)を比較することで計算できる。

したがって、

貨幣の流通速度✕マネーサプライ=GDPとなる。

貨幣の流通速度が下がるとGDPも下がる。

ミルトン・フリードマンは金融史の研究で有名な経済学者だが、彼の著作「米国の金融史 1867-1960」には次のような一節がある。

1880年から第一次世界大戦まで貨幣の流通速度は急減速したにちがいない・・。

貨幣流通速度の減退は19世紀から第一次世界大戦に至るまで起こっていた。数年の間にロシア帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、オスマン帝国、清王朝が消滅した。ドイツの経済は破壊された。その後、大恐慌、第二次世界大戦、大英帝国の緩慢な崩壊が続いた。誰もが無傷ではいられなかった。勝者無し・・・だったのだろうか?

実は違う。広範な収奪が起こっていた時、選ばれた銀行群は、強制的に倒産させられた銀行の担保を収奪した。無数の人々や企業の担保も収奪した。また、国民が保有していたゴールドも没収されてしまった。

しかし、最も重要なのは、そのような事態の中で、中央銀行と貨幣の創造をコントロールする力はあいかわらず、例のごく少数の人々に秘密裏に保有されたままだったことだ。当然、前述した社会の鍵となる組織、つまり政党、政府、諜報機関、軍、警察、大企業、メディアも彼らに掌握されたままである。

この支配的地位の継承者は、貨幣の流通速度の崩壊が再び起こることを何十年も知っていた。彼らは準備をしてきたのである。彼らにとって、崩壊とグレートリセットの後も支配権を維持することは絶対に必要なのだ。そうしなければ、彼らの存在が暴かれ、調査され、起訴されるかもしれない。

ここには何も崇高な目的は存在しない。我々は以前と同じようにマネーが崩壊する過程の渦中を生きている。貨幣の流通速度は1997年にピークをつけた後、減少を続けている。ちょうどアジア通貨危機が起こった頃である。その数年後にはドットコムバブルが弾けた。

この期間、私はロング・ショートのポジションを持つヘッジファンドを運用していた。そして、連邦準備制度が市場の方向性に影響を与えているという見方を深めていた(しかし、この考えは陰謀論とみなされていた。ヘッジファンドの共同運営者にもそう見られていた)。当時は、ニューヨーク連銀が米国債の現先契約を利用して実施した公開市場操作を通じて金融市場に影響を与えていた。

私は当時、もっとも広範なマネーの尺度だったM3(今はもう公開されていない)の伸び率を追跡し始めた。その結果、個々の週において、アメリカの年間GDPの1%を超えるマネーが創造されていることを発見した。そして、マネーの創造に比してGDPの伸びが見られなくなっていることにも気づいた。これは貨幣の流通速度が下がっていて、貨幣創造の伸びがGDPの伸びを上回っていることを意味していた。

作られたマネーは実体経済に流れ込まず、金融バブルを引き起こしていた。私はこのことにリアルタイムで気がついていた。私にこのことがわかっていたのだから、アラン・グリーンスパンらにも当然わかっていただろう。ではなぜ彼らはそのような真似をしたのか?それはおそらく、金融危機は偶然に起きたのではなく故意に引き起こされたということなのだろう。権力をより強化するため、後々必要となることの準備のため・・。

ドットコムバブルが隆盛だった1999年の第4四半期までに、マネーサプライが前年比40%以上増加していたのを目撃した。そして貨幣の流通速度が急減少していることも理解した。このような急減少は、マネーの創造が高度に行われているのに経済が成長していない時に起こる。

Hoisington Managementが作製した非常に重要な図I.1を見てほしい。歴史に影響を与える真の要因が見て取れるだろう。貨幣の流通速度の急減は1907年の金融恐慌を引き起こし、それが連邦準備制度の設立の正当化に利用された。連邦準備法は1913年のクリスマスの前に静かに成立し、その半年後、フェルディナンド大公は暗殺された。

図 I.1 1900年から2021年第1四半期までの年間の貨幣流通速度。

第一次世界大戦中に貨幣の流通速度は一時的に回復したが、再び減少に転じ、それが1933年の銀行閉鎖とゴールド没収につながった。第二次世界大戦中に貨幣の流通速度は回復したが、1946年には過去最低となった。しかし現在、貨幣の流通速度は、大恐慌や世界大戦の時期よりも下がっている。貨幣創造によって経済成長を生み出す力が使い果たされてしまえば、貨幣創造はもはや役に立たなくなる。

グレートリセットは、地球温暖化や第四次産業革命によってではなく、この貨幣現象が動機づけになっているのかもしれない。

何かが我々の前に計画されている。しかし、その計画は我々が耳にしているような理由によって作られているのではない。計画実行者の意図を、どのようにしたら我々は知ることができるだろうか?彼らがしてきた準備に注目すればわかるかもしれない。

第一章翻訳終わり