【翻訳記事】同情心よりも憎しみが社会主義的政策への賛同の動機になっている

Study: Top Motivation For Hating Capitalism Isn’t Compassion, It’s Resentmentという記事を一部翻訳してみた。

先日書いた左翼浮動層の特徴は被害者意識の虜になっていることという記事にも通じるものがあると思う。

以下、抄訳。

(前略)

同情と羨望、どちらがより重要な要素なのか?

(社会主義的政策の)支持者はしばしば、持たざる人々への同情が彼らの社会主義志向の動機なのだと主張する。そして、彼らの税制に関する提案(金持ちへの所得税率を最高で70%まで上げる)は、民主主義を守り、社会保障への原資を確保するのだと言う。

このように金持ちや権力者に対して強く焦点を当てるのは、同情心から来るものなのか、それとも憎悪や嫉妬が大きな役割を果たしているのだろうか?

(略)

データはどう主張しているか?

新たな研究によって、私はこれら2つの競合する説明のどちらが正しいかテストした。つまり社会主義や、富裕層への増税、富の再分配などに対する支持は、成功者にに対する羨望や憎悪から来るのか、それとも貧しい人々に対する同情心から来るのかである。分析はCato 2019 Welfare, Work, and Wealth National Survey” of 1,700 Americansを基にした。

統計テストは、【成功者に対する憎悪】は、【同情心】よりも社会主義的な志向への支持を予測するのに2倍も効果的であることを明らかにした。社会主義的な志向とは、最高税率の上昇、富の再分配、資本主義への敵意、億万長者は存在すべきではないという考えなどである。しかし、【同情心】と【憎悪】の両要素は、等しく社会主義への支持の指標となった。

調査では回答者は、心理学者が【同情心】と【成功者への憎悪】の水準をそれぞれ別個に計測するために作成した質問群に回答した。これらの質問群は政治や富裕層には言及していない。例えば、

個人の【同情心】の水準を計測するために、調査では下記のような質問に同意するか同意しないかを答えさせた。「私は他人の悲しみを見て苦しむことがある」「私は私よりも貧しい人々に同情心を抱く」などである。

また、個人の【成功者への憎悪】の水準を計測するために、調査では下記のような質問に同意するか同意しないかを答えさせた。「とても成功している人々は、たとえ彼らが何も悪いことをしていなくても、時々こらしめられ、ひざまづかせられる必要がある」「とても成功した人々が時々失敗するのを見ることは良いことである」などである。

これらの質問への回答は、【同情心】と【羨み】のどちらが税制や社会主義や資本主義への意見に影響を及ぼしているのか計測するために使用された。

富裕層への増税

統計テストから、年間20万ドルを稼ぐ家計への増税、所得税の最高税率を70%まで上げること、富を富裕層から貧困層に再分配する政策への支持については、【同情心】よりも【憎悪】がより影響を及ぼしていることが分かった。

このことは、「とても成功している人々は、たとえ彼らが何も悪いことをしていなくても、時々こらしめられ、ひざまづかせられる必要がある」という問いに同意した人は、「私は他人の悲しみを見て苦しむことがある」という問いに同意した人よりも、富裕層への増税を望んでいることを意味する。

下図のチャートで【憎悪】を示す青い線は、【同情心】を示す赤い線よりも急であり、憎悪がより強い動機であることを示している。しかし、貧しい人々への【同情心】も統計的に優位な予測指標となっている。

このデータは、富裕層への増税と富の再分配は、【憎悪】と【同情心】に動機づけられている可能性を示しているが、【憎悪】がより強い動機であろうことを示している。

億万長者と不平等

次に、私は下記の信条の背後にある動機を調査するために一連の統計テストを行った。

  1. 私達の社会が億万長者の登場を許しているのは不道徳である。
  2. 億万長者は民主主義を脅かしている。
  3. アメリカでの富の再分配は不十分である。

結果はまたしても、これら3つの信条を予測するのに【同情心】よりも【憎悪】の要素の方が優勢であることが分かった。【憎悪】はより影響力があるだけでなく、【同情心】がある人々は「私達の社会が億万長者の登場を許しているのは不道徳である。」という信条には否定的だった。

さらに、【同情心】の要素は「億万長者は民主主義を脅かしている。」という信条と統計的に有意に結びついていなかった。【同情心】を持つ人々は、国家の富の再分配に関心を抱いているが、【憎悪】を抱く人々は、より富の再分配に肯定的だった。このことは、不平等に対する関心は、貧しい人々の暮らしを引き上げることよりも、成功者へ厳しい扱いを志向しかねない事を示している。

社会主義と資本主義

統計テストは、【同情心】よりも、【成功者への憎悪】が資本主義への敵意を予測するのにより影響力を持つ事を示している。しかし、【同情心】も【憎悪】も大きく、有意に社会主義への好意を予測する指標となっている。下図の『資本主義への敵意』を示す表では、【憎悪】の要素を示す青線は、【同情心】の要素を示す赤線よりも急であるが、『社会主義への支持』を示す表では、青線も赤線も似たような状態である。

(後略)

この記事から、社会主義的な政策への賛同は、貧しい人への同情心と成功者への憎悪の両方から得られることがわかるが、後者の影響が強いことがわかる。そして極端な左翼的政策(億万長者の存在を許すべきではないというような)を支持しているのは、圧倒的に成功者への憎悪を持った人たちだということもわかる。

ソビエトも中華人民共和国もカンボジアも、貧しい人たちへの共感から共産党が政権を取れたわけではなかったし、彼らが政権をとった後は民衆に対して過酷な政策を取ったことも、これらのデータからうなずける。