伊東貫氏が解説するウクライナ・ロシア戦争

新日本文化チャンネル桜の「伊東貫の真剣な雑談」が面白いと評判だったので要旨を文字起こしして紹介したい。

以下、第六回 伊藤貫×水島総特別対談「ウクライナ危機の深層~危険なネオコンの思い上がりと戦後保守の愛国ゴッコ」より一部文字起こし。


水島聡(以下、「水」) (前略)中国とか色々ありますけども、この問題が今、大きな歴史の転換点に立っているんじゃないかと。今までの「真剣な雑談」の中でも、色々お話しいただいてますけれども、現在の状況の中でウクライナ、ロシアの侵攻をですね、この問題についてどんな形で見ておられるか、お話いただけますか?

伊東貫(以下、「伊」) 正直に言いますと、毎日、起きてテレビを見たり新聞を読んだりするのが大変不愉快であります(笑)。(注:伊藤氏は米国在住)。

この戦争は全く不必要な戦争なんですよ。不必要な戦争を始めて、それを長引かせようとしていると。それで最終目的は、単にプーチンを失脚させることではなくて、ロシア文明を破壊することを狙っていると。

どこかの国が、世界最強のスーパーパワーであるからと言って、千年以上の、しかも優れた文明を持つ国を根本から壊そうとしていると。ものすごいグロテスクな行為ですよね。

しかもそのようなグロテスクな戦争が、全く不必要であると。しかも世界中のマスコミが、日本だけじゃなくて、アメリカだけじゃなくて、世界中の、少なくとも西側諸国のマスコミが、アメリカが描いたシナリオの通りに進められている戦争に、拍手喝采して、いかにもなにか自分たちが正義の戦争をやっているように思いこんでいると。

で、僕はこれを毎日見せつけられるわけですね。これは大変に不愉快な話で、人類というのはこれくらい馬鹿であったかと。

こういうことを仕組むアメリカのやり方に対して腹が立つだけではなくて、それを全部鵜呑みにして、黄色い声を上げて「アメリカ頑張れ、ロシアはひどい」と叫んでいる、人類の全てのマスメディアですよね。それから、ごく少数を除いたほとんどの政治家に対して、人類の判断力というのはこの程度のものかと。

こういう非常に邪悪な戦争が誰かによって企画されて、ロシアをその戦争に参加せざるをえない立場に追い込んでいって、このままでいけば、ロシアの国家だけではなくてロシア文明自体も破壊されるかもしれないと。

で、何万人、何十万人のロシア人、ウクライナ人が死ぬわけですよ。それにもかかわらず、人類のほとんどが気がついていないと。何が起きているのかということを。

水 ロシア文明を滅ぼすというね、軍事的なものだけじゃなくて、一種のグローバリズムなんでしょうが、私達日本のことも考えていたんですよ。みごとに成功したのが、大東亜戦争のアメリカの勝利っていうね。もしかしたらずっと繰り返されているっていう気がしますね。

 そのことに関して、話がずれるんですけども、この前の僕の「真剣な対談」でご紹介したジャック・マトロックというアメリカの駐露大使がいるんですね。その人がスーパーパワーイリュージョンという本を書いて、それを読んでいたら、アメリカとロシアは平等な立場で冷戦を終わらせることに合意したと。

レーガン政権とブッシュ政権のロシアに対する態度は、ロシアを敗戦国として扱わないと。ところが、冷戦が終わったとたんにクリントン政権は、ロシアを封じ込めて、ロシア経済を全てアメリカの思い通りになるように作り変えようとしたと。

でね、マトロックさんが、冷戦後のアメリカは、ロシアを敗戦国日本のように扱っていると。そう書いてるの(笑)。

水 それは意図的なものなんでしょうね、ずっとね。

 そう、完全に企画されてまして、今日、本を二冊ご紹介したいんですけども、両方ともSTEPHEN COHENという人の本です。一冊目の本「Failed Crusade」は、1990年代にクリントン政権がロシアに対して何をやったかと。二冊目の本が「WAR WITH RUSSIA?」。これは2014年から2018年にかけて、アメリカがいかにウクライナを使って、対露戦争を準備したかという本なんですけども、スティーブ・コーヘンは、この戦争を、アメリカ国民にとっては、まったく知らされずに仕組まれた戦争であると。

この戦争を望んだのは、アメリカのごく一部のエリート集団であると。このエリート集団が、アメリカのマスコミと政治資金を支配してこの戦争をすすめたと。はっきりと書いているんですよ、スティーブ・コーヘンは。

アメリカ国民は何が起きているのか、全く何も理解していないと。そういうふうに書いています。

水 それは西側諸国の国民、皆そうですね。(アメリカの民主党政権はロシアを打倒しようとして色々やってきたが)これがその集大成なんでしょうね。

 さっきの本でいうと、一冊目(「Failed Crusade」)が、クリントン政権がロシアを徹底的にアメリカの属国にしようとしたと。で、ロシアの国有財産を徹底的に盗んだと。少なくとも2千億ドル、多く見ると5千億ドル。日本円でいうと25兆円から65兆円くらいの利益をアメリカに持ち去ったと。そのことを書いてあるのが「Failed Crusade」なんですね。

で、二冊目の本(「WAR WITH RUSSIA?」)が、オバマ政権がいかにウクライナを利用して、対露戦争を準備したかという本なんですね。だからクリントン政権からオバマ政権にかけてずっと準備をしてて、バイデン政権で遂に実行したと。だからこれはロシア人にとってはたまったものではないですよ。

ロシア人にとっては、「俺たちを殺すつもりか」と。そう思わざるをえないですね。

アメリカが世界を一極化して、アメリカだけが世界の経済と政治と軍事政策を支配すると。他の国は全部、アメリカの手下になると。スティーブ・コーヘンに言わせれば、世界で唯一、このようなプランに真正面から反論したのがプーチンであると。だからアメリカとしては、絶対にプーチンを倒さざるをえないと。アメリカから見て、世界で一番目障りなやつなんですよ。

以下略。


これで、まだ動画の7分の1くらい。ぜひ、動画で続きを御覧ください。