日本の小型株投資は以前より儲けるのが難しくなった、と思う投資家が増えているのではないだろうか?
端的に言って、「人がいない」「出来高がない」「強く買い上げてくれる資金が存在しない」。そんな感じである。
日本の小型株が閑散状態となり儲からなくなってきた理由は、主に以下の2点にあると思う。
1.投資ファンドの資金が小型株に入ってこなくなった
ひふみ投信、大和投信などの小型株も買っていたファンドがめっきり小型株から遠ざかってしまった。特に大和投信(大和アセットマネジメントと今は言うそうだ)があまり買ってこなくなった影響が大きい。
2015年のsak氏のツイートから画像を拝借すると、当時、大和はこんな銘柄を大量に買ってくれていた。
今の時点から見ると、相当に地味な銘柄を大量に買ってくれている。
さらに2015年9月にはイチケンを10%超保有して、その他に下図の銘柄を5%超保有。地味どころが多い。
2015年10月は下図。
今でも大和は中小小型株を買っているけれども、以前ほど豪快に買ってはくれていない。
当時の感覚では、個人投資家が、業績がよく割安な小型株を開示を見て即買うと、ワンテンポ遅れて大和が買い上げてくれて、個人投資家がすんなり利確できた。
大和の豪快な買いが鳴りを潜めたことで、儲けにくくなってしまったというのはあると思う。
2.米国株に資金が行ってしまった
もう一つの日本の小型株の過疎化の原因は、投資資金が米国株に流れてしまったことにもありそうだ。
こちらの記事によれば、日本の投資家の米国株の売買高が20兆円にまで増えているのだとか。マザーズの売買高が24兆円で、ほぼマザーズ一つ分の資金が米国株に流れているのである。これではマザーズやジャスダック、東証二部が過疎るのもむべなるかなである。
若い投資を始めたばかりの人は米国株に流れているようだ。
他に仕手筋が検挙されて、祭りのような銘柄が減ったせいもあるだろう。
消えた仕手筋
加藤あきら氏 2015年起訴、2011年新日本理化などを仕手化。
ミハイル・ジョウダン爺さん 2013年頃消える
山田亨(とんぴん)氏 2021年逮捕
※私は仕手筋の恩恵をあまり受けたことがないが、仕手筋の方々が相場を盛り上げてくれると小型株市場が全体的に温まるので、居てくれた方がありがたい。
投資ファンドの資金、個人の資金の両方が日本の小型株から流れてしまったことが過疎化につながり儲けにくくなった原因だと思う。
他に暗号資産に資金が行ったという意見もあった。確かにそのとおりで、GMOコインだけでも一ヶ月の暗号資産の売買高は30兆円ほどある。
今は仮想通貨なんかもあるし、投資対象が分散して資金が分散しちゃってるのもありそう…
— ぱすてる (@sirofanta) May 16, 2021
追記:大和の資金はキラキラグロースへ行った?
大和中小型株マザーファンドの組入資産明細表(2020年8月末時点)を見ると、小型株を買ってはいてもグロース重視に変わっていることがわかる。バリュー投資系個人は儲からなくても、グロース投資系個人は大和の買いで儲かっているのかもしれない。
大和の主な売買銘柄で比べると2015年は下図。2015年8月の純資産総額は3億円強。JR西日本、ノジマ、東北電力、いすず自動車などバリューっぽい銘柄が並ぶ。
2020年の主な売買銘柄は下図で、純資産総額(8月末)は7.8億円。AI INSIDE、ラクスル、弁護士ドットコムなどグロースで高PER銘柄が目立つ。
地味系バリュー銘柄から、キラキラグロース銘柄への転換が伺える。